価格設定方法(Pricing)
マーケティングにおいて重要な役割を持っている価格設定について解説する。
3つの主な価格設定方法
主な価格設定方法は以下の3つである。
1. コスト志向的価格設定法
2. 需要志向的価格設定法
3. 競争志向的価格設定法
1. コスト志向的価格設定法
製造原価に一定のマージン(粗利)を加算することにより、販売価格を設定する方法である。
これはコストプラス法とも呼ばれるが、近年、単純なコストプラス法では販売が困難であると言われている。
単純なコストプラス法が通用しない理由
インターネットの普及などによって企業と消費者の間の情報格差が小さくなり、価格が品質を判断するための機能(価格の品質バロメーター機能)を果たしていた状況が崩れつつあるからである。つまり、消費者が価格以外の尺度で商品の質を測るようになってきているということだ。これにより、企業側の都合で設定された値段は受け入れられない可能性が高まってきている。
2. 需要志向的価格設定法
コストよりもむしろ需要に重点を置いて価格設定を行う方法であり、消費者が知覚する商品価値を基準に価格を設定したり、価格に対して抱く心理を活用して価格を設定したりする方法である。
1)知覚価値法
消費者がその商品にどれだけの価値を知覚するかに基づいて価格を設定する方法である。
類似商品や代替商品の価格帯から推計する方法や、市場調査による方法がある。
2)差別価格法
市場をいくつかのセグメントに分け、同一もしくは原価がほとんど変わらない商品に対して異なった価格を設定する方法である。
例えば、運賃に大人/子ども料金を設定することなどが挙げられる。他には、時期によって価格を変えていく方法などがある。
(参考) ダイナミック・プライシング
3. 競争志向的価格設定法
製品市場での競争状況を反映させて価格設定を行う方法である。
1)実勢価格設定法
競合他社や業界のプライスリーダーの価格を念頭において自社の価格設定を行う方法である。
2)入札による価格設定
請負契約による受注を入札で決定する際に、入札参加企業が採用する価格設定方法である。
この場合、入札する競合他社の動向を想定して、入札価格を決定するため、競争志向的な価格設定方法であると言える。
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