インターネットの普及が価格設定に与えた影響

はじめに

 インターネットの普及に伴い、消費者の購買行動が大きく変化したのは前記事で書いた通りである。

 今回のテーマは、企業あるいは消費者を取り巻く環境の変化が、価格設定にどのような影響を与えたのかについて、である。

AIDMAモデルとAISASモデル

 前記事と内容が重複するが、購買意思決定プロセスの旧・新モデルについて解説しておく。

AIDMAモデル(旧型)
Attention(注目)…製品に注目する
Interest(興味)…製品に興味を持つ
Desire(欲求)…製品に対して購入欲が沸く
Memory(記憶)…製品を記憶する
Action(購買行動)…実際に購入する
AISASモデル(新型)
Attention(注目)…製品に注目する
Interest(興味)…製品に興味を持つ
Search(検索)…製品について調べる
Action(購買行動)…実際に購入する
Share(共有)…サイトやSNS上でレビューを行う

このように、インターネットの普及を境に、消費者の製品に対するアプローチの仕方が激変したのである。では、この変化が価格設定に与えた影響を以下で見ていこう。

価格設定における主導権の変化

 インターネット普及以前、価格を決めていたのは主に製品を販売する企業側であった。それは、情報の非対称性などで企業の持っている情報が消費者の持っている情報を上回っていたからである。

 しかし、インターネットの普及以後、消費者はSearch(検索)とShare(共有)を行うようになった。これは、購買の前後で大量の情報に接することが可能になったためである。事前に価格や品質を他人のレビューなどをもとに比較・検討し、購入後は自らが感想をSNSで述べるなどしてレビューに貢献するようになった。

 この購買行動の変化により、企業はもはや自分たちの都合で価格を設定することが困難になった。競合他社の価格と常に比較されながら、高頻度で価格を更新するスタイルが多くなった。また、ネット通販の普及に伴って、地域による価格差も小さくなったと言われている。

 こうして見ると、価格設定の主導権が企業から消費者に移ってきたことが分かる。

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