都市の大企業×都農町の社長×小中学生でサーキュラーエコノミー&地域課題解決を考えて提案するスタディツアー
サントリー・SOLIZE・東北特殊鋼・三菱重工パワーインダストリー・ヤクモの5社12名が都農町に!知識創造プリンシプルコンソーシアム(KCPC)が主催する「ダイナモブートキャンプ」のプログラムで2泊3日のフィールドワーク。
1.なぜ都農町に?
きっかけは、前職時代、フューチャーセンターでご縁があった仙石さんが、「ひなたMBA講座」で宮崎に来る際、ぼくが移住したことを聞いて、共同代表の荻原さんと一緒に、都農町へ立ち寄って下さったとき。
KCPCで『ダイナモ人を呼び起こせ」を出版、大企業の新世代リーダーを対象とする「ダイナモブートキャンプ」を立ち上げられてたタイミングでした。
昨年は、リアルダイナモ人としてブートキャンプ参加者へお話をさせて頂き、今年は都農町へフィールドワークの企画をして頂きました。
なぜ都農町か?という必然はそれほどないのが正直なところですが、ぼくらの特徴は、日々、町で暮らしながら事業者や小中学生と近い距離にあるリアル。
そんなリアルな環境をいかして、東京から見た地方創生、机上のまちづくりではない、過疎地の課題解決を通して、企業変革・新規事業に共通するダイナミズムを感じて貰えばいいなぁという思いでプログラムを企画しました。
都農町の事業者から4社長。さらに、つの未来財団と都農中学校の「まちづくり部」、小学生の選抜チーム「GreenHope」を交えたディスカッションを経て企画を練り上げていくことに。
2.フィールドワーク
KCPC代表の仙石さんから、開会のことば。
いきなり、オジサンたちではじまるとかたくなってしまうので、イツノマから都農町クイズを6問出題!
一気に場は和み、優勝チームには都農ワインをプレゼント。
夜のお楽しみとしてもらいました。
ぼくから都農町でビジネスを考える際、一番むずかしいポイントとして「需要を創る」必要性をお伝えしました。
この3日間を通して、都農町の事業者がリアルに抱える経営・地域課題を解決する企画を考える際、必要な視点として3つを紹介
今回、参加してくれた方々は企業の中で中軸を担っている30〜40代。事前課題のリーン・キャンバスもよく考えられていてさすがだなぁと感心。
ただし、当然、都農町のことはまったくイメージわかず、町の人の顔も見えないため、考えてきた仮説に少しでもリアリティーを肉付けしていくことをスタートとします。
フィールドワーク1件目は、都農ペレット工業。
翌日のディスカッションにも参加する河野章弘社長から工場のご案内。
参加者の半分以上が工場・エンジニア系ということもあって、ぼくがこれまでご案内してきたなかで、もっとも専門的な内容で、かつ長時間にわたって意見交換がなされました。
都農神社で参拝後、向かったのは都農ワイン。
赤尾社長も翌日参加のため、まずはブドウ畑を見てから、醸造・生産・販売の一連の現場をご案内。
ここではエンジニアというよりは、ひとりのワイン好きとして、みなさん興味津々。夜の懇親会のイメージをもって、商店街に移動。
3.アイデア100
シャッター商店街を通り過疎地の現状を体感。
商店街の一角にあるぼくらのオフィス「YARD1927」で、1日目のハイライト、中学生と一緒に、都農高校をサーキュラーエコノミーで活用するためのアイデア100個出しを行います。
12名の大人たちと、都農町の地域クラブ「まちづくり部」所属の中学1年生はそれぞれ2チームに。
明日の企画に備えて、中学生といっしょにとにかくアイデアの量を出し、頭も気持ちもやわらかくしてもらう趣旨。
中学生たちは、以前にも100個だしをしていたこともあり、付箋が次々に出されて、大人たちとあわせて100個は1時間かからずコンプリート!
最後に各チーム、BEST 5を選んで共有。明日の企画に活かせるアイデアがあるかどうか?
夜はHOSTEL ALAの庭で懇親会。
乾杯も締めも当然サントリー流「スコール!」で。地鶏や宮崎牛、サントリーのビールや都農ワインはあっという間になくなりました。
アルコールも入って、舌も滑らかに。大企業の最前線で働く厳しさや悩みもたくさん共有することができました。過疎地も大変だけど都心の大企業も大変だ。。
4.都農町の社長とディスカッション
2日目は、いよいよ8時間缶詰の企画day。
昨日は中学生たちと楽しくやわらかいアイデアだしでしたが、今日はリアルな都農町の社長4人から、事業紹介と課題出しを受け、考えてきた仮説をベースに本格的な提案づくりへ。
12名の仮説を、ぼくらなりに分類して4チームに集約。親和性の高そうな町内事業者へ分散、最終的には3人1組で各事業者へ提案します。
後半は、4チームにわかれてグループディスカッション
河北の課題は「人手不足」。3DプリンターやAIの活用は採用面でも重要。九州でも有数の生コンプラント建設も視野に。
都農ペレット工業の課題は、工場の稼働率アップにつながるペレットの販路拡大。非常用電源の機能をもつ小型発電機へのニーズも。
都農ワインでは、ブドウの栽培や草刈りまで含めて人手不足が大きな課題。
南国CBFでは、ふるさと納税用商品に代わる商材の開発が課題。
5.都農町への提案
各事業者の課題を踏まえて、自分たちが考えてきた仮説をベースに企画へ取り組みます。
ぼくも順次、テーブルをまわりながら、各事業者の実情や、都農町という町の規模や特性を踏まえた情報提供を。
15:30より、都農町のゼロカーボン施策提言・推進をする小学生チーム「GreenHope」のメンバーが順次会場へ。
ランドセルを背負って入場してくるところは微笑ましかったですが、テーブルに入る際にはしっかりと名刺交換。活動3年目を迎え、小学生たちも大人との交流に慣れてきました!
夏休みには、同じ都農高校の会場で、26名の高校生(日吉ヶ丘高校)たちと一緒にワークショップをやったこともあり、スムーズに議論へ参加。
今回のスタディツアーのテーマでもある「子どもがワクワクする提案か」をジャッジする役割も。
普段は上司に稟議、提案している大人たち、心なしか緊張の様子も。
17時を前に、再び都農町の社長たちが会場入り。
各チーム5分間でプレゼンのスタート。
廃校の教室を活用して、3Dプリンター、ドローンを体験しながら学べる「サーキュラーテック・ラボ」企画。3DプリンターメーカーのSOLIZEさんがいるだけに、実現性と説得力は抜群。
小学生からも「ワクワクした」の感想。
非常食とラジオをテーマにしたチームの提案に、南国CBFの社長も「いますぐできそうですね」と気色ばむシーンも。
都農ワインのブドウの搾りかすを肥料にしてブランド豚育成へ、の提案もサーキュラーエコノミーの文脈において実現したくなる要素がいっぱい。
ペレットチームは「ペレットを活用したキャンプ場ビジネス」の提案。短時間で各社混合の寄せ集めチームながら、
みなさん集中して、可能性を感じさせる企画提案に結びつけました。
6.リアリティーをあげる
前日の4チームの提案を見て、最終日のプログラムづくり。大企業のサラリーマンとして働いていて、一番イメージがわかないのが「投資」かな、と思い、前日考えた企画に「投資」「調達」「収入」「支出」の要素を加味して企画のブラッシュアップを行ってもらいました。
過疎地の小資本ホステルは成立するのか?をテーマに実際にぼくらが経営しているHOSTEL ALAの実例も参考に紹介しました。
最後に各チーム5分プレゼン。前日と同じ内容ながら、お金のニオイもしてきたことでリアリティーが増してきました。
ぼくの方から、都農町で実現するためには?という観点で提案やフィードバックをさせて頂きました。
大企業における組織変革、新規事業提案も過疎地の課題解決提案に通じるところとして共通するのは、
もう1週間ぐらい一緒にやれたら、移住してやってもらえそうかなぁとか妄想を膨らませつつw、無事に2泊3日のツアーを終えました。
「ダイナモブートキャンプ」は年度末まで続くので、今回の都農町の経験が最終アウトプットにどう反映していくのかどうかはまだわかりませんが、1人でも多く、地方や過疎地の課題解決、企業コラボにつながるような提案をしていただき、またご一緒できる日を楽しみにしています。
12名の参加者とKCPCのみなさま、3日間お疲れ様でした!
都農町へ来ていただき、本当にありがとうございました。