まちづくりにおける、子育て空間のデザインについて、幼児施設を600件以上設計してきた建築家の日比野拓さんと考える
進む一方の少子化と、老朽化が進む園舎。
建て替える財源もなければ、そもそも子どももいなくなるし。。
でもこのままだと建物も危ない。保育士はいないし。。
都農町に限らず、全国の地方、特に過疎地において切実な課題をテーマに、「つの未来会議」第6回を開催しました。
ゲストとして、日本全国から海外まで、幼児・福祉施設に特化した建築家であり、自らも保育園やカフェダイニングを経営する日比野拓さんに都農町までお越しいただきました。
町長をはじめ保育・幼稚園関係者、町役場、町民の方々と、理想的な子育て空間について、200枚以上の設計実績を見ながら話し合いました。
1.なぜ、子どもの空間は大切なのか
日比野さんが子ども施設をデザインする際のアイデアの源泉は、いまだに3歳のころの実家にあった空間の記憶。
2.遊具はいらない
ニューズウィーク誌で『世界でもっとも前衛的な幼児教育』と評されたイタリアのレッジョエミリアの事例も共有、園庭に遊具はほとんどなく、自然に勝るものはないと。
3.色やキャラクターはいらない
これはぼくも感じるところ。
日本の子ども向け施設は、どうしてこうパステルカラーとか虹色が多いんでしょうね。
中国でも同様なことを感じました。
キッザニアの設計をする際にも、大人と同じ色彩感覚でつくったことを思い出します。
この写真は面白かった。
雨が降ったほうが、滑りやすくなるので子どもたちは泥だらけで遊びに夢中。大事なことは大人が止めないことだと。
4.本に触れられる環境が大事
次のテーマは『本』
日比野さんから、本と学力の関係を踏まえて、どう本を読みたくなる空間をつくるかについてお話がありました。
5.食の空間
5歳児の肥満時は過去最高だそうです。
結論は「ジャンクフードの食べすぎ」「運動不足」と日比野さん。
6.身体を動かす遊びを増やす
山梨学院の中村和彦教授によると、幼少期に子どもが経験すべき動作は36あるそうです。
日比野さんが都農町に到着してから、都農町内をまわったのですが、外で遊んでいる子どもをほとんど見かけられなかったのが残念だと。
これはぼくも最初に来た頃、同様の印象を持ちました。
7.意味のある段差
日比野さんは、幼児施設の設計で、積極的に段差を取り入れてます。
もちろん、保育士や保護者からすれば「危ない」と反対されることを承知でチャレンジしています。
園庭の事例紹介では、もともとの土地の形状をいかして、高低差のある園庭にしたことで、いつでも子供達はかけまわっているそうです。楽しそう!
日比野さんから最後にまとめのメッセージ
8.遊びの導き役
1時間近く、日比野さんから200枚以上の幼児施設のスライドを見た後で、参加者同士で話し合い、質問がポストイットで集められました。
町長も交えてパネルディスカッション。
盛り上がったテーマは「公園は必要?」
都農町は自然豊か、都会に比べれば公園面積も広い。
にもかかわらず、町民、特に子育て世帯からは子どもを安心して遊ばせる公園が欲しいという声をよく聞きます。
町長が子どもの頃は、神社や川や畑をかけずりまわって遊んでたそうで、今、環境は変わらないはずなのに、なぜ遊ばなくなったのか?
子どもの変化というより、大人の変化かもしれませんね。
9.小さな町だからできること
最後は、参加者一人ひとりが、「都農町の未来への提案」
理想の子育て施設を考えて発表しました。
参加者のみなさんからいただいた「アンケート」と「未来への提案」
建て替え、移転の必要性も高まってきた町立保育園をはじめ、これからの都農町にとって、子育て施設をどうしていくかは重要課題。
今後の企画の参考に、積極的に取り入れていきたいと思います。
【都農町の理想の子育て施設】
自分の可能性を伸ばしていけるか、開花させてあげれるか。
ものごとをゼロからつくりあげていく力をつけるのに遊びは重要。
小さい町は、やる気になって変革しようと思えば早いので大きな行政にインパクトをあたえることができるよう、地域をあげて子育て空間の仕掛けとしくみをつくっていきましょう!
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