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内沼晋太郎さんと話した、これからの過疎地における本のある場「シェア型書店2.0」
ブック・コーディネイター、出版社、書店経営者。本と人、場をつなぐ専門家、内沼晋太郎さんをつの未来会議にお招きし、人口1万人の過疎地における「本のある場」を話し合いました。
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内沼さんとは、前職UDSの神保町ブックセンターでご一緒して以来のご縁。世界一の本の町の中心で、岩波書店に特化したブックカフェ。
会場でもある廃校となった都農高校、いま跡地活用で、本のある場づくりを企画中。単なるトークイベントを超えて、明日以降のヒントを期待して。
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冒頭で、内沼さんから自己紹介。
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なんのために仕事をしているのか?
本に携わる人はみな本屋。
世界に本屋さんを増やしたい。
子どもに最初の本を出会わせる親も、広義では本屋。
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本のある場所が増えれば
ものを考える人が増え
世界が動いていく
1.ビールが飲め毎日イベントがある書店
内沼さんが、人と本との「あいだ」を考え、仕掛けをつくってきた実績のひとつめは、続けられる新刊書店のかたち、「本屋B&B」
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ビールが飲めて、毎日イベントを開催する新刊書店で、毎日イベントを開催、新刊の著者を招いて、その本をつくった背景や思いを対談します。
B&Bは、Book&Beerの略
「なんでBeerだったんですか?」
「Beerが好きだったから。。笑」
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2.地元書店と連携する行政直営の書店
2つめの事例は、八戸ブックセンター
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八戸市は、人口23万人。当時の小林市長が、3期目の選挙公約に本の町、八戸にする、八戸ブックセンターをつくることを掲げたそうです。
市長が本好きで、本によって育てられた思いが強く、いまの八戸に自分が読みたい本がない、いまの若者に世界を広く見てほしいと思い、行政が直営する本屋で多様な本を取り扱うことを選挙公約に掲げたそうです。
当選後、役場の人だけではできず、民業圧迫にもならないよう、どうやってつくるのか困って、内沼さんに相談がありました。
内沼さんは、どういうふうにしたらやれるか、市内の書店、図書館、読書団体、八戸市内の本に関わる人たちに2年ほどかけて役場の人と話を聞きにいって、プランをまとめました。
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結果、コミックや売れ筋の本、ビジネス書、雑誌など民間の書店で売れるものは置かないことを決めました。
文芸や海外文学、人文・社会化学とか芸術系、ビジネスでは置けない本を揃えたそうです。
市内の書店3社と提携、あたらしく民間で法人民間LLPをつくり、本の発注、返品、レジ、カフェの業務を委託。
他に、市役所の職員と、東京や盛岡など有名な書店勤務経験があって、本のセレクトができる経験者に移住してもらって、選書や売場づくり、ギャラリーやイベントの企画、まちづくりを任せています。
行政と一緒になってつくっていくという意味では、都農町の参考にもなるかもしれません。ただし、20万人の都市だからできたことで、都農町には大きすぎますよね。
3.最近、増えているシェア型書店
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都農町の規模にあわせた本屋さんとして、内沼さんから、最近増えているシェア型書店のやり方の紹介がありました。
本棚一個を個人が月何千円か払って棚主になって、みんなでシェアしながら本屋さんをやるしくみです。
本棚が100個あって、2,000円払う人が100人いたら20万円。
家賃が10万円、常駐管理する人が10万円なら成り立つモデル。
私見ですが、課題として、売場全体の魅力をあげる努力がしにくいことが挙げられます。
1個1個の棚は家賃払っている人たちのものなので、お店全体がいい感じの状態を目指しにくいことがありえます。
この人の棚、全然売れてないなと思っても、その人がやる気なかったらずっとそのまま。家賃払ってるから文句言いにくいみたいなこと。
全体がジャンル分けされてないので、お客様からすると、見にくい、面白くないと思う人もいるかもしれません。
4.都農町でシェア型書店2.0を目指す?
都農町では、シェア型書店のしくみを活用しつつ、長続きさせるため、もう少し全体を編集してはどうか?と内沼さんから提案。
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思いつきで実現性はわかんないですけど、道の駅みたいな本屋さんができるといいかなと思って。
内沼さんは、生産者がバーコードを貼って、野菜やくだものを持ち込むしくみを本に置き換えてはどうかと提案します。
ブドウはブドウ、ほうれん草はほうれん草、みたいに並んで、ほうれん草の中にAさんとBさんのつくった違うほうれん草がある。道の駅の商品管理システムをつかって本をジャンル別に並べる感じで。
イニシアチブは運営サイドがとりつつ、みなさんから本を集めてみんなの本屋としてやっていく、道の駅みたいな本屋さんはあまりないので、つくったら発祥の地になるかもしれませんね。
シェア型書店の問題は、売れないものが売れ残ったままあること。
運営サイドの裁量で、半年間動かなかったものは、100円コーナーにいきますよ、と最初から決めたり、100円コーナーに半年おいておいて動かないものは申し訳ないけど古紙回収にまわしますよとか。そういうふうにしないと売り場が滞留しちゃう。澱んでく。
品揃えが足りなかったら、仕入れればいい。他の地域から本を持ち込む人を歓迎してもいいし、古本買い取ってもいいし、新品の本を仕入れてもいいし、売り場の魅力を、町内だけの供給だけじゃなく調整する感じで。
5.何を求めて人は本屋に来るのか?
内沼さんからのお話が終わり、後半戦は会場の人たちからの質問を参考に、対談形式で、これからの本の楽しみ方について続けます。
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何と求めて人は本屋に来るのか?と問われて内沼さんは即答します。
昔は答え、今は問い。
これはとても腹に落ちる言葉で、自分もそうだなと思いました。
インターネットがないときは、本屋に行くしかありませんでした。
でも、答えは本屋に行かなくても検索すればわかるようになりました。
何がわからないかわからない人が行くのではないでしょうか?
「これが知りたい」ではない、
「なにか面白いものがほしい」
「ちょっともやもやしている」
「もっとプラスをくれ」
「いまマイナスなんだけど、なにか薬がほしい」
答えが決まっている人はいなくなってきている。
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本屋は一番身近にある世界一周旅行です!
世界のいろんなものに対して窓があいているというか、世界のいろんなものについての本が並んでいるから。
それなりにまとまった量の本がある場所っていうのは、人がなにかに興味を持つのに必要だなと思います。画面見ているだけだと、身体的に経験できない感じはある。
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amazonは人を本好きにすることはできない
本が好きな人は来る、人を本好きにするのはでっかい本棚、世の中広いなぁと思った人がamazonで買うことはできないけど、最初は無理。
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6.過疎地に本のある場をつくるポイント
最後に、都農町のような過疎地に本のある場をつくるポイントについて聞きました。
大きい本棚は重要だけど100万冊はいらないでしょうね。子どもにとって途方もなければいい。
アクセスできるものが多くないということは、必ずしも悪いことばかりではないと思います。
いろんな作家や本の仕事をしている人と話してて、「どうして本好きになったんですか?」というでよくあるパターンは、友達が少なくて図書室で本ばかり読んでた、端から端まで読んでたという話です。
親の都合で海外いったけど、言葉わからなくて、家にあった100冊の本ばかり繰り返し繰り返し読んでたとか。
繰り返し読んだだけ得るものがあるし、そこが都会じゃないことのマイナスは、本という扉があいてることで、強みに変えていける、没頭する対象になりやすい。
都会にいるとどれだけいい本棚があっても、目移りする対象が多い。
過疎地は、本好きになるのにいい環境である可能性もある。
選択肢が少ないことでいいこともある。
要するに、本の量ではなく、人に合わせて何度でも繰り返してよみたくなるような本が身近にあるということ。
7.都農町にほしい、こんな本屋さん
内沼さんからの話を受けて、会場のみなさんにも「都農町にほしい、こんな本屋さん」を提案してもらいました。
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