よく食べ、よく走る ~ドウデュース~
こんにちは!栗東の青木です😄
ようやく寒くなり始めた12月4日、多くの競馬ファンに愛されている<あの馬>の取材をさせていただきました。
厩舎に着いてスタッフの方々に挨拶をしつつ中に入り、馬房を覗くとやはり一生懸命ご飯を食べているその馬はドウデュース。
引退レースである有馬記念に向けて、英気を養っておりました🔥
というわけで、今回はドウデュースについて前川和也助手にお話を伺いました!
楽しんで読んでいただけますと幸いです🙇🏻♀️
プロフィール
ドウデュースという馬
ー散々聞かれていると思いますが、改めてドウデュースはどんな性格ですか?
元気ですね。
あんまり物怖じもしないし、度胸もある。
ーなにかにビックリするというイメージが全くない馬だなと思います。
ほかの馬が暴れたり、ファンファーレとかの物音にも動じない。
東京2400mのスタート地点はお客さんの目の前で、それに加えてこの前のジャパンカップはいつもと違う楽器も鳴ってて他の馬は驚いて暴れていたけど、この馬は知らん顔してた。
豊さんが「何考えてんだろうね」って言ってたよ(笑)
ーそういう馬だと安心して乗れそうですよね。
元気な面があったり行きたがったりする分、そっちに集中できるかな。
ビックリして人を落とすということもないし。
3歳くらいの時にスタンドのとこで放馬して、女の子を追っかけまわしてたことはあるね。すぐ捕まったけど。
ー最初に入厩してきた時と、今の印象は違いますか?
担当し始めたのは2歳のアイビーSからだけど、性格は変わらずかな。
馬っ気は強くなってきてるけど、昔から度胸があって大人しくて操縦性は良かったよ。
もともと別の人が担当してたんだけど、その人が手一杯になったのがきっかけで担当することになったんだよね。
ーいつも角部屋のイメージですが、馬房の位置に意味があったりするんでしょうか。
今の位置は偶然ここになってるだけ。
ダービーのときは13番の馬房にいたんだけど、そのときは新聞屋さんに「馬番13番だからですか?」って聞かれたよ。
そのときもたまたまだったんだけどね(笑)
強さの秘訣
ーご飯をよく食べる以外で強さの秘訣はありますか?
度胸があるのもそうだし、結構冷静で頭がいいからタメが効くというか。
調教でもこっちが「行かんといて」って指示したら従ってくれるし、それがレースで直線に入ったら弾けることに繋がっているんだと思う。
ージャパンカップのジョッキーカメラでは時速69㎞が出てましたよね。
短距離馬ならあれくらいのトップスピードもあると思うけど、そうじゃなくて天皇賞(秋)やジャパンカップの最後にあれを持って行けるのがハマってきたのかな。
ードウデュースといえばプールによく入っているイメージですが、心肺機能の強化という面のほかにどんな効果があるんでしょうか。
度胸つけるためだったり気分転換だったりかな。
あと、乗るのって限界があると思っていて。乗るのが一番いいけど、脚元がある動物だからね。
元気な馬だから、どこかで体力を削らないといけないんだよね。元気すぎるからといって飼葉を減らして成長が止まってしまうのは良くない。
元気すぎて厩でケガをすることもあるし、どこかで発散させないといけない。
ードウデュースに乗っているときの感覚を言語化するとどんな感じですか?
難しいね(笑)
たまにだけど、チーターみたいかなって感じる。
遅いところはぽやぽやして遊んだりふざけたりしてるんだろうけど、直線になって速くなると耳をパタンって閉じてチーターみたいに走る。
ートレセンでの動画や写真を見ると、関節や首などがとても柔らかいように見えますが。
体は柔らかいと思いますよ。
歩いてるときに首が弾んでるのは「早く帰りたい」んじゃないかな。
ご飯が待ってるし。真面目にやってないよね(笑)
でも、それがいいんだと思う。
ずっと真面目だと乗り難しかったりするから。
関係性をつくる、馬をつくる
ー曳き運動や立ち写真の際、引き手にかなり余裕を持っていらっしゃいますよね。なにか意識されていることがあるのでしょうか。
人それぞれではあるんだけどね。
がっつり持ったら気は乗るけど、自分の場合は歩かせたりパドックみたいに人に見せるときは、基本的に馬のテンションを上げないようにしてる。
ー引き手を持つ距離で変わる面があるんですね。
躾をちゃんとしてるから緩められるのは大きいね。
パドックとかで、馬に気合が入っていて馬に主導権があるような「曳かれ馬」になっていることがあるけど、そうじゃなくて自分が主導権を持っている「曳き馬」をしたいなって思う。
ドウデュースみたいに気の強い馬は「自分のほうが上だ」って自己主張してくるけど、「違うよ」と教えることが大事。
立ち写真のときは自分が写らないようにとか、馬が綺麗に写るようにしたいから、離れても動かないようこちらに集中してもらうように教えてるかな。
ーよく指を立てる動作をしていますよね。
どんな動作でもいいと思うけどね(笑)
「手を挙げたらこっちを見て」っていう意味かな。
担当した日から少しずつ教えていって、だんだん理解してもらえるようになったね。
うちの厩舎に入ってくるどの馬にも重賞を勝てる素質があるから、大きなレースを使うことや海外に行くことを意識して馬をつくっていかないと、後々自分が困ることになる。
ー馬との関係性をつくっていく上で、どんなことを大事にしていますか?
「若い時からいろんなことを経験させる」ということは意識してるかな。
乗り運動するにも、トレセン内のいろんな場所に行ってみたりとか。遠くの厩舎まで行ってみたり、コースもCコースだけじゃなくてEやPを使ってみたり。プールもそのうちの1つだね。
あとは障害かな。飛ばさなくても横木を跨がせることならできるし、この馬もすごく低い障害ならちょこっと飛ぶことができるよ。
とにかく新しいことを経験させるのが大事だし、そうすると度胸がついてくる。
とくにプールや障害を経験すれば、競走生活のなかでそれ以上に怖いことってあまりないから。
とにかく若いうちに経験させる。
ラストラン、有馬記念に向けて
ーいよいよ次がラストレースになりますが、どんな想いですか。
ここまできたらもう無事にという気持ち。
幸いなことに馬も2回使って良くなっているし、今日(12/4)もめちゃくちゃ良かったよ。
こんなん冬の毛艶じゃないよ(笑)
いいレースをしてもらって、無事次の仕事に送り出すことができればいいかな。
あとがき
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
どの媒体、どの関係者のアカウントを見てもドウデュースという馬の人気の高さには感嘆するばかりですし、今回そんな素晴らしい馬を取材させていただけて本当に幸せだなと感じます。
2022年のダービー世代は、ちょうど競馬を見始めた頃で2歳のときから応援している馬が多いこともあり、個人的に思い入れの深い世代です。
9月に厩舎にお邪魔させていただき、本人(馬)を目の前にしたときは言葉にならないほど感激しましたし、発言が支離滅裂であまり会話が成り立っていなかったのではないかなと思います。(推しを目の前にすると混乱するとはこういうことですね笑)
何かすごいことを成し遂げた人は特別なオーラだったり纏う空気が違ったりすると思うのですが、ドウデュースを初めて間近で見たとき「馬も同じなんだな」という印象を持ちました。
毛艶が良すぎて物理的に光っているというのもありますが、競走馬として「圧倒的に強いんだぞ」というオーラを放っていて、こちらが思わず一歩引いてしまう雰囲気がありました。(ドウデュースはただご飯を食べていただけですが)
後にも先にも、そう感じさせる馬は彼だけなのではないかなと感じます。
22日の有馬記念は会社のテレビで観ることになりますが、画面越しに目に焼き付けたいと思います。
ドウデュース、前川さん、武豊騎手が大歓声に包まれる姿を最後に見れますように。
最後に、お忙しい中お話をしてくださった前川さんとドウデュース号に心より感謝申し上げます。