日本最後の秘境を歩く4日間
賑やかな室堂、扇沢などと比べると、地味な登山口、折立
だけど、自分の中でこんなに憧れる登山口は多くない
この登山口から日帰りで登れる山は実質なく、短くても一泊で行く薬師岳が最短
更に登山道は先に続き、雲ノ平、黒部五郎岳方面に伸びる
更に先にも道は伸び、水晶岳、鷲羽岳と、北アルプス最深部に突入する
ここまで行くなら三泊は必要であり、気軽な気持ちでは、なかなか踏み入る事はできない
そんな山歩きの起点、折立
ここから山に入ることは、人生で訪れるのだろうか?
そこまで思っていた
もし折立から登るのならどこへ行く?
思いついたのは、薬師岳、雲ノ平経由で水晶岳、鷲羽岳、黒部五郎岳の百名山4座を取る周回コース
行くならテントを背負い、3泊4日歩くことになる
最後の2日間は、テント装備の俺の足では、それぞれ13時間オーバーの行動時間となる
そんなコース、俺に歩けるのか?
急ぎの納期の仕事がなくなり、いつでも休みが取れる状態がやってきた
折立からの周回、やってみるか
西日本に台風が停滞していた
天気は一向に良くならない
毎日毎日海外の天気図Windyを軸に天気予報を見続ける
数日後台風が熱帯低気圧に変わる
雲は多そうだが雨は心配なさそう
車を富山に走らせた
1日目、薬師岳
折立に向かう有峰林道ゲート通過が許されるのはは19時20分まで
無事にゲートを通過し折立へ
平日だというのに登山口近くの駐車場は満車、臨時駐車場で車中泊をした
近日のニュースで、薬師岳付近でのくまの目撃情報が多いことが伝えられていた
駐車場でも軽トラの荷台が熊に荒らされたらしい
この付近は熊に要注意
4時にヘッドライトを点けて行動開始
熊に怯えながらも暗い樹林帯を進む
空も明るくなり、森林限界を超えると気持ちのいい景色が待っていた
太郎平小屋でテント場の受付を済ませ手からテント場へ
太郎平小屋、テント場ともに水は豊富
テント場のトイレは洋式、過去の怪我でしゃがむことが辛い俺としてはとてもありがたい
テント場は平らな場所はそれなりにあるのだが、週末の混雑時は斜めの場所に張ることになるだろう
俺は平で静かな場所に張れた
設営後、アタックザックに必要なものを詰めて、薬師岳を取りに行った
無事薬師岳登頂♪
雲は多かった
遠くの山々は見えなかった
それでも近くの山はよく見え、アルプス特有の風景を堪能した
下山開始
テント場に戻った
無事に1日目が終わったが、旅は始まったばかり
2日目、雲ノ平
初日と同じ4時に行動開始
太郎平小屋近くに太郎山がある
最終日に歩けばいいのだが、最終日の行動時間を少しでも短縮するため、ここで太郎山に登っておいた
そして雲ノ平を目指す
まずは薬師沢へ
吊橋を渡ると梯子があり、河原へ降りる
よって増水時は通行不可
急登が始まる
ただ急ではなく、大岩で濡れていてツルツル
すれ違う人ほぼ全てが滑って滑って大変と言っていた
こんな急登は過去一かもしれない
薬師岳、薬師沢でも会った女性と再会、高天原温泉に行くそうだ
いつか俺も行きたいぞ
祖母岳では男性と会話、赤牛岳経由で黒部湖に降りるそうだ
さすが最後の秘境、雲ノ平
ここに来る人に、なんちゃって登山者みたいな人はほとんどいない
みんなガチ、ガチガチだ笑
雲ノ平山荘でテント場の受付を済ませテント場へ
片道30分以上離れているので、雲ノ平山荘とはここでお別れ
雲ノ平山荘での水は有料、テント場は水場があるが、メインの水場は枯れていて、サブ?の水場は問題なく出ていた
寝る前、もう一度雲ノ平を見に来た
明日の朝も早く暗い
雲ノ平の風景を目に焼き付けておいた
3日目、水晶岳、鷲羽岳
行動時間が長いのが分かっていたので、いつもの30分早い3時30分に行動開始
まずは祖父岳へ
祖父岳山頂でちょうど明るくなった
美しい
朝はこうでなくては♪
ワリモ北分岐でザックをデポ
アタックザックで水晶岳を目指す
雲ノ平から見た水晶岳は、急峻で荒々しく遠くに見えた
あんな山までほんとに行けるのか不安はあった
なにか問題が起きたら、水晶岳は外して先を行くのもありだと思っていた
向かってみると、3日目にして初めての雲がない空だったのもあり、過去に歩いたアルプスの中で、トップクラスの山に感じた
この山歩きの中で、この山を外さないで本当に良かった
達成感の余韻をのんびり楽しんでばかりはいられない
この日の行程のまだ半分も歩いていないのだから
来た道を引き返し、鷲羽岳へ向かう
黒部五郎小舎へ向かう登山道ですれ違った方が、熊がいたから気をつけてと教えてくれた
薬師、黒部五郎付近は本当に熊が多い印象
この日の宿泊地、黒部五郎小舎テント場に着いたのは17時頃
長い一日だった
黒部五郎小舎に着いたとき、友人と合った
なんでここにいるの?!
まあ、山をやっているので、こんなこともあるのだろうが、高尾山とかならまだしも、黒部五郎だなんて!
黒部五郎、鷲羽、水晶を取って新穂に降りるルートの途中なんだそうだ
もっと話をしたいところだが、明日は今日以上に長い行程
早めに就寝した
4日目、黒部五郎岳
さあ、最終日
山という特殊な環境だが、4日目となるとこれが日常になり始めている
もう何泊でもできそうな気すらある
長い行程だったが、あっさり13時過ぎに太郎平小屋に到着し、名物ラーメンを食べることができた
しかし、ここで旅は終わりではなく、折立まで下山、更には有峰林道ゲートを20時までに脱出するミッションが残っている
そしてそれも難なく成功
温泉に入って夕飯はかつや、ロースカツ定食の豚汁大にした
これが4日間山にこもっていた体には美味すぎた
今年食べた食事の中で一番美味しかった
いやまじで!
夢のような憧れの4日間が終わった
本当に成功したんだよな?
喉元すぎればなんとやらで、長い行程の日々がすでに過去のものになり始めている
総行動時間52時間11分
総歩行距離61.3km
総獲得標高4,870m
総消費カロリー1,1158
三泊四日の山旅は過去対
行動距離は過去最長
まだ知らない道が俺を待っている
テント内での最低気温は6度、行動時間の最高気温は22度
おわり