出逢った日から
「初めまして」
そうあいさつがしたくて
足元に近付くと
ボクを見てみんな口を揃えて言ったんだ
「臭い!」
「ボロ雑巾みたい」
でもね
そんなのいつものこと
気にしてなんかいられない
生きていくために
ご飯を探さなきゃいけない
なんとなく覚えてる
小さいときのこと…
いつもみたいに「お出かけしようね」って
でもいつもとは違う
今日は段ボールに入ったんだ
あったかい毛布にくるまれて
ご飯もいっぱいあった段ボールの中で
ボクは寝ちゃったんだ
目を覚ますとすごく静かで
寂しくなって外に出てみると
一人ぼっちになってた
それからはずっと外で暮らしていたから
ボクの身体は真っ黒で
ノミだらけになっちゃった
痒くて痒くて
傷とカサブタだらけになっちゃった
こんなボクだから
撫でてもらったことは覚えていないし
追い払われてばかりだった
でもね
ボクには行く場所も
帰る場所もないんだよ
その日もトボトボ歩いていると
声をかけてくれたお姉さんがいたんだ
「どうしたの?」
ご飯をくれて
追い払ったりしないで
頭を優しく撫でてくれた
そして
「一緒に行こうか」って
抱っこしてくれたんだ
こんなボクでいいなら
今すぐに“招き猫”になるよ
見てて!
それからボクは毎日毎日
お姉さんと一緒にお店に行って
ドアの前にちょこんと座った
「どうも!ボクが招き猫です」
チャームポイントは“真っ白くて長い尻尾”と
名前の由来にもなった
“空のように青くて大きな目”
「初めまして!
ボクは“アオゾラ”です。」