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教科における問いの違い

子どもの問い、主体的な学び

小学校の国語の授業。
どの学年も物語文を読む機会があります。研究会等で実践発表を聞くと、物語読解の授業についての発表が多くあります。
ここ数年、「子どもが考えた問い」を基にして読む授業が多いと感じています。なぜでしょう?
おそらくですが、子どもが自分で疑問に思ったことを基に学習が進むことで、自分事として捉え、主体的な学びになるからだと思います。
教師からの問い、いわゆる発問。発問の質によって、子どもの学びが変わることはあります。それでも、どこか受動的な子どもの姿もあります。そこで、子どもが自分で考えた問いを基にして授業を構成することで、主体的な学びにつながることが期待できるのではないかと考えます。

子どもの問いから学びを進めるときに気をつけたいこと

では、子どもの問いだけで学習を進めていけばいいのかというと、そうでもないと思います。
子どもが考える問いには、すぐに答えが出るものもあります。例えば「この物語の作者は誰でしょう?」「この登場人物が手に持っていたものは何でしょう?」等。または、叙述を基に考えられない問いもあります。「この登場人物の名前は何でしょう?」等。
これらの問いは、子どもが素朴に感じたことであり、考えるのが楽しくもありますが、ことばの学びへとつながるように、教師が物語のことばに着目しておくのが大事だと思います。
そうしたときに、教師が働きかける必要があります。子どもが見えていないところや、ことばの意味を投げかけ、より物語を読み深められるように授業を展開していきたいと考えます。

内容に関する問い、形式に関する問い

「問い」の分類はいくつかありますが、「内容」と「形式」に分けて考えてみます。物語の場合、「内容」に関する問いが多くなる傾向にあります。「海のそこをおよいでいるスイミーはどんな気持ちだろうか?」「なぜ、ごんはつぐないを続けたのだろうか?」等。高学年になると、「形式」に関わる問いを考える子もいます。「宮沢賢治は、どうして『やまなし』を2枚の幻灯で表現したのだろう?」等。
ところが、「話す・聞く」活動の場合、「形式」に注目することが多い傾向にあります。スピーチを聞いて「声が大きくて良かったです」「聞いている人のことを見ながら話していました」といった感想が多いのではないでしょうか。最初に受け取る情報が音声言語だから、かもしれません。

様々な教科で問いが生まれる

算数で面積の学習をしています。
1㎡=10000㎠
を学んだ後、2㎡=40000㎠なのでは?と考えた子がいて、話し合いが盛り上がった場面がありました。
1㎡のときは、正方形を基にして考えたけど、2㎡だと長方形を基にして考えるから…。㎡を㎠にするには、10000倍するから…と、自分たちの考えを発表し合っていました。
この話し合いのきっかけは、2㎡が20000㎠になる理由が分からない、知りたいというある子の思いでした。この疑問が出されたとき、教師の空気が変わりました。子どもの疑問が表出して、学級全体で共有されたときに、「問い」の価値が生まれるのではないかと思いました。
「知りたい」「分かりたい」「なんで?」、子どもが疑問を感じる瞬間は、様々な教科、もっと言えば学校生活の中に散りばめられているのかもしれません。

来月、社会科見学に行きます。「これを見てきたい」という思いをもって事前学習をしています。現地に行って、体験することで生まれる疑問もあるはずです。子どもが何に疑問をもつのか、その疑問が学びに発展していくための支援も、教師の役割の一つだと考えています。

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