廣瀬 修也

東京学芸大学附属小金井小学校で教師をしています。 専門教科は国語です。子どもが考える問…

廣瀬 修也

東京学芸大学附属小金井小学校で教師をしています。 専門教科は国語です。子どもが考える問いを基にした学びを研究しています。

最近の記事

ICT✖インクルーシブ教育セミナーvol.7

ICT×インクルーシブセミナーvol.7で公開授業をさせていただきました。 子どもたちが一人一台の端末を持つようになり、ICTの活用が日常的になってきています。 今回の授業をふり返ろうと思います。 ICT✖インクルーシブ教育セミナーとの出会い 主催している鈴木秀樹先生と佐藤牧子先生に、ICT×インクルーシブセミナーで授業をしてみないかとお話をいただいたのが1学期でした。今回は7回目でしたが、実は数年前、このセミナーに参加したことがありました。そのときは、ICTを巧みに使っ

    • 国語における子どものやる気とは?

      国語の時間に新聞作りをしています。 以前は、物語文のまとめとして新聞を作る活動を多く取り入れていました。まだ、一人一台端末の話も無かったので、全員手書きです。 「ごんぎつね」「わらぐつの中の神様」「やまなし」「海のいのち」といった物語文を読んだまとめとして新聞を作っていました。その当時も「問いから物語文を読む授業」を実践していたので、まとめの新聞には問いについて話し合った内容を子どもたちが書いていました。学んだことの記録にするつもりだったと記憶しています。 今回は、新聞のテ

      • 「調べ学習」の壁

        例えば、4年生で「工芸品について調べて魅力を伝える」学習の場合。 ただ「調べよう」と投げかけたところで子どもは困ってしまいます。 ・何を調べていいのかわからず、呆然とする。 ・とりあえずタブレットを操作する。 ・自分なりの問いをもって調べ始める。 情報が多すぎるので、子どもが見つけるであろう情報を教師が全て把握できるわけではないと思います。 図書室に行けば、資料が見つかるかと言えばそうとも言えません。本の冊数が限られていたり、課題に対してちょうどいい本が無かったりします。

        • 授業において、子どもの声を拾うこと

          教育実習生から質問をもらいます。 とても熱心に実習に臨んでくれています。 質問というのは、子どもへの接し方、授業のこと等です。 特に、実習生の授業後に「あの場でどうすれば良かったのでしょうか」という質問が多いです。 子どもの声を拾って授業を展開しようとすると、発言が多すぎて収拾がつかなくなる。けれど、教師が全て引っ張るのも何か違う気がする、といった内容です。 私自身が、授業においてどうやって子どもの声を拾っているのかをふり返ってみます。小学4年生「ごんぎつね」で問いの価値を

        ICT✖インクルーシブ教育セミナーvol.7

          「ごんぎつね」問いを基に読む国語➁

          追究内容の発表 「ごんぎつね」(新美南吉作)を読み、自分たちが決めた問いをグループで追究していました。追究した内容は、学級全体に発表します。 追究の注意点として、子どもたちに示したのは ----------------------------------------------------------------------- ・本文のことばから考えられること ・登場人物の言動から気持ちを考えること ・新しい問いが生まれたら、その問いについても考えること ---------

          「ごんぎつね」問いを基に読む国語➁

          「ごんぎつね」問いを基に読む国語

          今、担任しているクラスの国語では「ごんぎつね」を読んでいます。 自分が追究する問いを選び、追究方法は子どもが決めて読み進めています。 タブレットを使い、スライドを作っている子が多いです。 登場人物の気持ちを考える おそらく、ほとんどの小学校の国語で物語を読むときには、「登場人物の気持ち」を考えているでしょう。なぜ、ここまで登場人物の気持ちを考える必要があるのか。 本文にあることばから気持ちを推測することを通して、ことばの解釈の幅を広げていくため。日常でも人の気持ちを考えら

          「ごんぎつね」問いを基に読む国語

          ことばの意味を子どもが考える

          「◯◯とは、どういう意味なのか。」 改めて問われると、「ん〜…どう言えばいいんだろう?」とことばに迷うことがあります。 例えば、「優しい」って何だろう。 こう問われると、子どもは自分の経験から「優しい」ということばの意味を考え始めます。 ・「一緒に遊ぼう?」と言ったら、「いいよ。」と言って一緒に遊んでくれた。 ・怪我したときに、保健室に連れて行ってくれた。 ・委員会の仕事で困っていたとき、手伝ってくれた。 その子の生活経験から、ことばの意味を紡ぎ出そうとするのだと予想できま

          ことばの意味を子どもが考える

          子どもの問いとは

          ここ数年、「子どもの問いから学びを創る」ということばをよく見るようになりました。私自身が小学生だった頃から言われていたのかもしれません。 教師になってから数年経った頃、所属していた研究会で「子どもの問いを基に物語を読む学習」がよく話題になりました。 当時は、漠然と授業が活性化しそうだと思って自分もやっていました。 やり続けている内に、確かに子どもたちは自分の問いを基に授業が展開していくことを楽しんでいるように感じ始めました。 小学生は、「問いは先生(または大人)から与えられ

          子どもの問いとは

          なぜ国語を学ぶのか

          新年度、最初の国語の授業では「なぜ国語を学ぶと思いますか」と投げかけています。学年を問わず、毎年このように質問します。 子どもたちはきょとんとします。けれど、自分なりの考えをノートに書いていきます。 その中で、最も多いのが「将来のため」です。「大人になったときに必要になるから」「仕事をするときに、コミュニケーション力が必要になるから」「漢字を知らないと恥ずかしいから」そういった理由を書く子が多いのです。 学校教育は「子どもたちが、将来自立した大人になること」を目指しています。

          なぜ国語を学ぶのか

          「ごんぎつね」の問い

          先週の土曜日、本校国語部が主催する「こがねいこくごセミナー」が開催されました。 私は「ごんぎつね」の授業を公開させていただきました。 物語文の授業というと、読解の場面、あるいは読解の成果を発表する場面の公開が多いと思います。 今回は「問いの要件」を考える授業を公開しました。 問いを基に物語文を読む授業を、10年程続けていますが、どういう問いがいいかということを明確に整理したことがありませんでした。 これまでの授業で、子どもがどういう問いを考えてきたのか、そしてどの問いだっ

          「ごんぎつね」の問い

          プロフィール

          東京学芸大学附属小金井小学校 教諭 東京都公立小学校、お茶の水女子大学附属小学校を経て、現在の学校に着任しました。 専門教科は国語です。子どもが考える問いを基にした学びを研究しています。子どもの問いを基にした物語文の学習は10年程続けています。 研究会で実践発表をしています。 学生時代、「学びには無限の可能性がある」ということばを知りました。 当時の自分は、学びには正解があってその答えに上手に辿り着くのが良いと思っていました。もちろん、答えに行き着く学びもあります。 国語

          プロフィール