「調べ学習」の壁
例えば、4年生で「工芸品について調べて魅力を伝える」学習の場合。
ただ「調べよう」と投げかけたところで子どもは困ってしまいます。
・何を調べていいのかわからず、呆然とする。
・とりあえずタブレットを操作する。
・自分なりの問いをもって調べ始める。
情報が多すぎるので、子どもが見つけるであろう情報を教師が全て把握できるわけではないと思います。
図書室に行けば、資料が見つかるかと言えばそうとも言えません。本の冊数が限られていたり、課題に対してちょうどいい本が無かったりします。
地域の図書館に団体貸し出しをお願いするにしても、近隣の学校と単元の時期が重なっていて資料をなかなか借りられないということもあり得ます。
「ちょうどいい資料」を見つけるのはなかなか難しいです。
「ちょうどいい資料」を自力で見つける力も必要かもしれませんが、分からないまま授業時間を過ごすのが良いとも思いません。
観点を示す
そこで、観点を示すようにしています。
「どこの工芸品なのか・歴史・なんのために作ったのか・誰が作ったのか」等。それを調べた上で自分が考える魅力をまとめます。
調べている本人は当たり前と思っていることでも、初めて知る人にとってはわからないことも多いです。この視点をもてるかどうかが、「わかりやすく伝えるコツ」の一つなのだろうなと考えています。
ある子が「完成したリーフレットは誰に見せるものですか」と質問をしました。
相手意識をもって課題に取り組んでいることが分かります。
成果物を見せる相手を想定しながら情報を選択しようとしている姿だと言えます。
個別指導
一斉形式で説明しても調べ方が分からない子はいます。
そこで、個別指導をします。
個別指導の内容は・・・
・資料に漢字が多くて読めない場合
→その内容を要約して伝える。だが、それでは子どもが情報を見つけただけになる。情報を精査して、メモする力を子ども自身が身につける必要がある。
・調べ方が分からない、どんなキーワードで検索したらいいか分からない場合
→実際に、キーワードを入力して見せる。または、小学生にも分かりやすいサイトを紹介する。
教師の対応
タブレットを使えば、一人一人がインターネットで調べられます。しかし、調べ方を知らなければなんとなく検索して、内容を理解しないままなんとなく写して終わり、ということもあります。
調べ学習で子どもがつまずくことは、国語に限らず、他の教科でも起こり得ることだと思います。
予め教師が閲覧するサイトを指定するか、小学生でも読みやすい資料を印刷しておくか。それだと子どもが調べてまとめた、とは言い難いですね。
調べ学習をする前に、一斉形式で調べる観点や注意事項を伝えた上で、個別の指導をどうしていくか。積極的に質問に来れば、その子が何に困っているかはわかるのですが、何も言わずにいる子への声かけをどうするか。
個での調べ学習は、様々な場面で取り入れられています。
子どもの主体性を重視することに価値が置かれる中で、教師の居方を考えなければならない、という課題に直面します。