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ICT✖インクルーシブ教育セミナーvol.7
ICT×インクルーシブセミナーvol.7で公開授業をさせていただきました。
子どもたちが一人一台の端末を持つようになり、ICTの活用が日常的になってきています。
今回の授業をふり返ろうと思います。
ICT✖インクルーシブ教育セミナーとの出会い
主催している鈴木秀樹先生と佐藤牧子先生に、ICT×インクルーシブセミナーで授業をしてみないかとお話をいただいたのが1学期でした。今回は7回目でしたが、実は数年前、このセミナーに参加したことがありました。そのときは、ICTを巧みに使っている子どもたちに驚くばかりでした。
インクルーシブ教育と聞いたとき、学びに困難を抱える子への配慮をすることだと思っていましたが、どうやらその一言だけでは終わらない深いものであることが分かってきました。
そもそもどんな困難を抱えているのかは子どもによって違うし、困難を抱えているのが見えづらい子もいます。その見極めは、日々子どもと接する中でやっていくことかなと、今のところは思います。
授業について
光村図書小学4年下、令和6年度版から掲載された「友情のかべ新聞」を読む授業。
東君と西君という登場人物は仲が悪く、いつも対抗心を燃やしていた。あるとき、ケンカが原因で花瓶を割ってしまい、2人は担任の中井先生に叱られる。そこで中井先生は2人で協力してかべ新聞を作るよう提案する。「ぼく」は、その2人の行動の様子を注意深く見ている内に、ある謎に気づき、推理を始める。という物語です。
「友情のかべ新聞」は、これまでの教科書にはあまり掲載されてこなかったミステリーの要素を含んでいます。物語の中で発生する謎について、「ぼく」が推理をしますが、その推理について読み手が考えることもおもしろいと思います。
この単元では、この物語を読んでもっと考えてみたいことを問いにして、その問いについて追究していきます。単元の目標の一つが「登場人物の気持ちの変化や性格,情景について,場面の移り変わりと結び付けて具体的に想像することができる。」であるため、追究する問いには「登場人物」「場面」に着目したものが入るようにします。
昨日の授業では、まず自分たちが選んだ問いとその理由を共有しました。
「なぜその問いを選んだのか」、理由を説明する中で問いに対する答えを話し始め、いつのまにか読解が始まっています。そして、互いの意見を聞き合う過程で、他の問いに対する考えも出されていきます。
それは成果でもあり、課題でもあると思っています。読みが深まっていることは感じるのだけど、話が拡散しています。
そうなると、ついてこられない子がいるのではないかと思います。
昨日のセミナーの主眼は「インクルーシブ教育」なので、授業中に展開されている話題についてこられない子への対応を考えなければなりませんでした。そのためにICTを活用しようとしました。
デジタル教科書、Teams、Padletを使いました。
子どもによっては、ノートに書く子もいれば、デジタル教科書にある「マイ黒板」の機能を使う子もいます。
本文を読むときも、紙の教科書を読む子、デジタル教科書を読む子がいます。
日常の授業でも、学習方法を選べるようにしています。子どもによって、学びやすさが異なるからです。一律にしなければならないこともあるかもしれませんが、できる限り子どもが自分自身で学習方法を選択できた方がいいのではないかと考えています。
ICTが入ってきたことにより、学びの選択肢が広がったのだと感じています。これまでも、「もっとこうできたらいいのに…」と思っていたことが少しずつ実現できているのではないでしょうか。
もちろんICTを使うときには、授業のねらいや子どもが何を目指しているのかを明確にする必要があります。
課題
ICTを活用することで、大勢の意見を一覧できるという良さがあります。
一覧することは、たしかに可能かもしれません。
ただ、話し合いになったとき、その話を追いきれない子への配慮はどうしたらいいか、という課題が見えました。
授業後の協議会では、いくつかご意見をいただきました。
・今日の4年生は、タイピングに慣れているようだがいつぐらいからここまで打てるようになったのか。
・ICT活用によって共有できる良さがあるが、「自分の意見を知らせたくない」という子がいることも考えなければならない。
・学級経営が前提にないと、ICTを活用しても効果が望めないのではないか。
・Padletを使用していたが、情報量が非常に多くなる。その情報を処理するのに、時間がかかるのではないか。
ICT活用の前に、教師が考えておかなければならないことがたくさんあります。
今後の展望
昨日の授業や協議会でいただいたご意見を基に、今後の見通しを考え始めています。
・国語の中でどうICTを活用するのか。
・デジタル教科書の効果的な活用方法。
・「ICT✖インクルーシブ教育」の視点を取り入れた授業展開。
・生成AIをどう授業の中で使うのか。
学びの可能性が広がることを感じた1日でした。
ご参会いただいた皆さま、ありがとうございました。