会話どろぼうに抵抗してみたが、結局時間どろぼうされて撃沈した
会話泥棒ということばを初めて知った。
いるわ。
いるいる。
友達にも親戚のおっちゃんにもいる。
私:今度箱根旅行するねん。
相手: 箱根いいよね。以前行ったとき○○ホテルに泊まったんやけど、このホテルの部屋風呂がよくてさぁ、・・・延々と続く。
こんな感じで話をすぐ自分の話に持っていく人。いわゆる自分語り。常に会話の中心でいたいという体。しかもちょっと自慢入ってるし。
まあ、それでも面白い話もあったりするので、友達が会話泥棒だとなかなか気が付かなかったが、そういえばいつも私が聞き役だ。
会話だけじゃない。
ラインでのグループチャットでもそうなのだ。いい人だし面倒見の良いおばちゃんタイプなのだけど、悪気がないのでなかなかしんどい時もあったりする。
そんなこんなのタイミングでその彼女と会う予定があった。でもここで私の悪い癖がでてしまった。
検証してみたい。
子供の頃から好奇心が旺盛で、やってみたい気持ちが抑えられず、よく怒られていた。ろくな結果にならなかったからだ。
三つ子の魂百まで。
策は色々考えた。
はてさて会話を防御できるのか。
そしてXデーはやってきた。
久しぶり~♪と挨拶をかわし、どうしてた?変わりない?と、いきなり会話のボールを渡された。
なので近況を話していると、秒で泥棒される私。ルパン三世でもそんなに早くはないで。
いつもならどのタイミングで自分の話をしようかとモンモンとしていたが、その日はちがった。私には策がある。今日こそ私を諸葛亮孔明と呼ぶがいい。
対策① スマホをチラチラ見る
着信電話を見るふり、ラインをチェックするフリをする。退屈という空気を醸し出すためだ。
しかし、全く気にする様子もない。逆に私が落ち着きのない子みたいではないか。こんな小手先ではダメか…と思ったら、
「ライン? 遠慮せず返事して」
気をつかってくれてありがとう(棒読み)
対策② 相手の話の腰を折る
その日はランチをしながらだった。話が長いな~と思ったところで「ちょっとこれ、めちゃくちゃおいしいで!」と奇襲攻撃をかけた。
相手もいきなりの攻撃に戸惑いつつも、「ほんまやな。これおいしいわ~」と言って乗ってきた。ここぞとばかりに違う話題に。それもつかの間、気がつけばまた泥棒されている。マジックのようだ。
対策③ 目には目を
あのハムラビ法典に定められている一説。逆にこちらが会話泥棒をするのだ。
しかし、これまた隙がない。流れるように話している。割り込めない。鉄壁のストーリーテラーだ。ネットワークビジネスで喋らせればきっとナンバーワンになれるだろう。
対策④ 気のないあいづちを打つ
「ふ〜ん」「へー」「ほお」の3段活用を乱用してみる。だめだ。全く伝わらない。3段活用延々のループにはまる。サンプリングマシーンと化すわたし。
対策⑤ 彼女の知らないであろう世界のトピックを選ぶ
世間話をネタにするから持ってかれるのでは?と考えた。彼女の知らない世界の話題ならいけるのではないか。
私 「なあなあ、フクロウのうんちって3種類もあるの知ってた?排泄コントロールできないから、飼うと大変なんやって。」
フクロウの排泄にまで興味のある人はそんなにいないだろう。
友達 「食べてる時にウンチの話はやめて」
すみませんでした……
対策⑥ 頭の中で違うことを考える
今ここに集中するというマインドフルネスの反対をする。つまり心ここにあらずのマインドレスネス状態にする。
ここでのコツは、上記の3段活用を用いつつ、頭の中で違うことを考えるのだ。
これ思ったよりよいではないですか。頭の中で今晩のおかずのことも考えられるし。相手も思い存分話せてるし。想定外のwin-winじゃないですか!
しかし!
思わぬ方向から弾が飛んできたのだ。
「うらモモちゃん、どう思う?」
まさに死角であった。思いっきり被弾した。なんで?ずっと自分のことばかり話してたのになんで急に私の意見聞きたがる?
ここで、「ごめん晩御飯のおかず考えてた」とは言えない。あんなにあいづち打ってたし。そんなこと言えば私が非人間になってしまう。何と答えれば?生殺与奪の権を他人に握らせるな!さあどうする孔明?
「…ま、まあ…人生色々あるわな。
don't worry be happyや」
相手はなんと「そんなもんやんな」と納得してくれてた。
何事も浪花節と松岡修造のセリフでなんとかなるものだ。サンキュー修造。
なんと含蓄のある汎用性の高い、しかも再現性もあるフレーズなのだろう。言葉に救われるとはこのことか。(いや、ちがう)
結局泥棒されつづけて終わりました。お疲れ、私。
得た教訓
会話泥棒と二人きりで会わない。世の中、浪花節と松岡修造氏の名言でなんとかなる!
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