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【読書メモ】「心」が分かるとモノが売れる

タイトルに惹かれてタップ。Kindleでグイグイと読んでしまいました。

著者は、鹿毛康司さん。今は独立されていますが、エステー株式会社宣伝部長でした。2011年の東日本大震災直後に手がけた「消臭力CM」は好感度日本1位を獲得(CM総合研究所11年8月)しています。

このCMの制作の背景には、企業としての覚悟があります。詳しくは、本書をお読みください。

マーケティングとは何か

読み始めた際の期待は、顧客のインサイトをいかに得るかという方法論でした。もちろん、その内容も書かれていますが、いかに自分自身も含めた人間の「心」に向き合うかという考えに感銘を受けました。

マーケティングとは単に「モノを売ること」ではありません。「人に向き合い、人に喜びを提供する活動」だと考えています。
出典:「心」が分かるとモノが売れる

「人に向き合い、人に喜びを提供する活動」これは、あらゆる企業の存在意義です。マーケティングは、ここを出発点にすべきなのだと改めて気づかされました。

存在意義とは「あり方」が問われた結果だと思います。人間でいえば人格です。これは、企業にも同じことが言えます。

私たち一人ひとりに人格があるように企業にも人格があり、心があります。この「企業の心」を体現しているのが、企業理念です。
出典:「心」が分かるとモノが売れる

多くの会社が「企業理念」を掲げています。

このとき、「それはわが社の心である」と考える社員はどれくらいいるでしょうか。「こんな「心」を持つわが社だから、みなさんにこんな商品・サービスを提供して、世の中に貢献したいのです」とちゃんと説明できる社員がどれくらいいるでしょうか。

心と向き合う力を磨く

以上の様なマインドを出発点とした場合、お客様に喜んでいただくために私たちが磨くべきことは何でしょうか。

本書には以下のように書かれています。

お客様を動かす「心のツボ」を探り当てるには、自分自身の心のツボを見つけるスキルを磨くのが先決です。
出典:「心」が分かるとモノが売れる

私たちの行動は、9割以上が潜在意識によるものです。自らの顕在化された行動を振返ると辻褄の合わないことをたくさんしています。他人の心はおろか、自分の心さえ分からないのが人間なのです。

それでもモデル化して捉えようとしてきた結果、4PやSTPなどのフレームが生み出されました。もちろんこれも大切です。分解して捉えないと手が打てません。ただ、最後にカギを握るのは、9割の潜在意識にあります。

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出典:「心」が分かるとモノが売れる

上記は、マーケターの「視点」の変遷を整理したものです。1990年代以降は、顧客理解の研究が重要なテーマになったとあります。

このとき、「お客様の望むものを理解する」だけでは不十分です。自分自身の心にも向き合い、何をしたいのかを問うことが大切です。そのように問いかけてみると、実は取り繕っていることもたくさんあります。プライドが邪魔をしているようなこともあるでしょう。

それも含めて人間の心です。

私たちは、無意識のうちに行動し、一方で、辻褄をあわせるような説明を考えます。結果、本来、感じていたことや本能的に欲している事、避けたいことに蓋をしてしまうことがあるのです。

逆に言えば、そこを読み解ければ、本当にお客様を喜ばせることができます。なぜなら、お客様自身も知らなかった喜びだからです。

人間の心を知り、お客様との絆を深める

本書では、こうした自分自身の「心」を深く知ることを出発点として、お客様の「心」を深く理解するための考え方やトレーニングが紹介されています。

同時に、著者の経験やそこから感じたことも包み隠さず書かれています。所属していた会社の不祥事や東日本大震災などの危機に直面した際に感じた心の動きに触れています。顧客を獲得しようというマーケティングではなく、人間の心に向き合い、社会をより良くするためにお客様との絆を深めていこうとする、真のマーケティングのあり方が語られています。

AIやビッグデータの時代となり、マーケティングのあり方は変わるでしょう。しかし、本質は変わらないはずです。むしろ、データがあふれる中で、人として持つべき「心」に向き合い、お客様を喜ばせるために何ができるかを考えられるかどうかで、今まで以上に差がつく時代になっていくのではないでしょうか。

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