【カレーレポ】"カレーで音楽を食べる"至福の体験「『曲咖哩』SPICE meets Dragon Ash」が最高だった
「カレーと音楽は、どちらも感性を刺激する魔法のような力を持っている」
前書き
カレーが好きな皆さん、音楽は好きですか?
僕はカレーも音楽も大好きです。
カレーは、間借りカレーやったり、ビリヤニ教室をやったり、カレーのためだけにインドに行って現地の料理教室に参加したり、Youtubeにレシピ動画撮って投稿したり、noteにカレーにまつわる駄文を書きまくってしまうくらい好きだし、
音楽は、バンド歴10年以上、新しい音楽を求めてネットの海から無名インディーズバンドを探してきて聴いたり、ライブハウスにも足を運ぶくらい好き。
カレー界隈では、
「カレーと音楽は似ている」
「カレーやってる人音楽もやりがち」
なんて言われることが多々ある。
実際、カレー屋店主がガチの音楽好きや現役バンドマンだったり(Afterglowイリベさんとか堕天使かっきーさんとか)
逆に、ミュージシャンがカレー屋をやっていたり(Dragon Ash櫻井さんとか曾我部恵一さんとか)というケースはめちゃくちゃ多い。
「カレーと音楽は似ている」
カレー作りと音楽作りには共通点が多いというのは、自分自身カレーもバンドも両方やってるから、感覚的によくわかる。数年前には友人バンドの自主企画ライブで、そのテーマに合わせたカレーを提供したこともあり、自分なりに「音楽をイメージしてカレーを作る」ということの楽しさは知っているつもりだ。
「こういうイベント、もっとあればいいのに」なんて思っていた中で発表されたのが、今回行ってきた「『曲咖哩』SPICE meets Dragon Ash」というイベント。
「『曲咖哩』SPICE meets Dragon Ash」とは
ということで、簡単に言えば
「日本のミクスチャーロックバンドの代表格 "Dragon Ash" の楽曲を、日本屈指の個性的なカレーを出す名店 "Japanes Spice Curry WACCA(東京)" "堕天使かっきー(大阪)" "Afterglow(福岡)" がカレーにする」
というとんでもない変態企画。
カレーも音楽も大好きな僕は「こんなん絶対に行くしかねえだろ!」ということで、週替わりで変わる3店舗を全制覇してきたので、その感想をカレー好きと音楽好き両方の視点から書いていこうと思う。
SESSION1「Japaese Spice Curry WACCA」×「I LOVE HIPHOP」
一週目は東京のJapanese Spice Curry WACCAの「I LOVE カツカレー」
「I LOVE HIPHOP」をイメージして作られた、WACCAによる全く新しいカツカレー。
カレー視点の感想
いわゆる普通のカツカレーは、ドロドロのルウカレーに薄いとんかつがトッピング的にのった、あくまでカレーライスが主役でカツはおまけ的なのものだが、WACCAのカツカレーはカツもカレーも両方が主役であり、互いの要素が渾然一体となり昇華していくというテーマのもと作られたそう。
選べる2種のブランド豚 ”岩中SPF” と ”TOKYO X” を使った厚切りのとんかつは、どちらも豚肉の力強い味わいが楽しめる。まずとんかつ単体が専門店をも凌ぐレベルのクオリティで超美味い。カレーの前にカツだけで2000円以上の価値がある。
そこに合わせるのはサラサラの出汁カレー。鰹出汁のベースに、ブラックペッパーやフェンネルが主体のチェティナードを意識したスパイス使い。このカレー出汁とスパイスが互いの風味を高めあって一つの新たな味になっていて、よくある出汁カレーとは一線を画すクオリティ。
鰹出汁にスパイスが見事に調和した、ブラックペッパー主体のサラサラカレーからの豚の力強い肉の味が流れるように口中に広がる。口に入れた瞬間から飲み込んだ余韻までのグラデーションが美しい。とんかつもカレーもどちらも単体で美味しい主役味なのに、ケンカすることなく互いが互いを高めあうかけ算的美味しさ。
想像以上の美味しさだった。 衣のザクザク感・肉の脂感・それに合わせた油があっさりとした出汁カレー。写真に写ってないが付け合わせのブンディライタ風キャベツサラダも箸休めとして秀逸。
音楽視点の感想
I LOVE HIPHOPのロックとヒップホップのミクスチャーに対する、カレーとカツのミクスチャー。ミクスチャーロックの「互いが互いを高めあう」という要素が上手くカツカレーで表現されているのがとても面白かった。 メリハリのあるパワーコードのギターリフを、ブラックペッパーの辛味の立ち上がりの速さと衣のザクザク感・豚の力強い味で表現されているように感じた。
SESSION2「堕天使かっきー」×「静かな日々の階段を」
二週目は大阪の堕天使かっきーの「過去・現在・未来 静かな日々の階段を登っていきたい進んでいき鯛カレー」(鯛出汁のビーツのカレー しらすとくるみのバタフライピー坦々飯 百合根のソース)
「静かな日々の階段を」をイメージして作られた、堕天使かっきーの"らしさ"全開の個性的なカレー。
僕がカレー作りにハマったのは、マツコの知らない世界の間借りカレーの世界で紹介されていた堕天使かっきーの自由なカレーをみて興味を持ったのがきっかけ。
青空食堂でやっていた頃にも大阪まで食べに行ったし、(このとき店にかっきーさんいなかった)かっきーのカレーのコピーをやったことあるくらい好きなので嬉しかった。
この日はかっきーさんに初めて直接会えてご挨拶もできてよかった…。
カレー視点の感想
鯛・ビーツ・坦々・百合根と、味の想像がつかない不思議な組み合わせなのに、食べてみると見事に調和していてとても美味しい!
一番印象的だったのはカルパシがほんのり香る百合根のソース。百合根という素材の甘味が存分に引き出されていて、ほかのアイテムと合わせると、味に厚みが出る。
食材の組み合わせや香りの組み立て方が個性的で、自分の物差しでは言語化できない唯一無二の美味しさだった。
全体的にスパイスの主張は優し目。主役はスパイスではなく、素材の風味・アロマ。スパイスは食材の風味を下支えするような使い方。とにかく食材の風味・アロマをとても大事にしていることが伝わってくる一皿だった。
音楽視点の感想
音楽を聴いたときに迫力があることを、「音圧がある」と言ったりするのだが、これは単に「音量が大きい」という意味ではなく、「より多くの情報を同時に知覚する」という意味。楽器ごとに音域を層を作るように棲み分けたり、リズムをぴったり合わせたりすることで、楽器ひとつひとつの音量が大きくなくてもとても迫力があるように感じる。…という理論的なものがあるのだが、
かっきーさんの作るカレーは、ひとつひとつのアイテムが繊細な味わいながら、五味や食感のバランス・香りの層の重ね方で重層的な美味しさが作り上げられていて、まさに「音圧がある」カレー。
また、「静かな日々の階段を」には、add9th系を中心に”テンションコード”という煌びやかな和音が多用されていて、その華やかで明るい響きのイメージをカラフルなカレーで美しく表現しているように感じた。
そして、青いごはんと赤いカレーの色使いにDragon AshベーシストのIKÜZÖNEへのリスペクトも感じられる一皿だった。
SESSION3「Afterglow」×「Fantasista」
三週目は福岡のAfterglowの「カレープレート」
「Fantasista」をイメージして作られた、ライブハウスで徐々に上がっていく高揚感・サビで大爆発する大盛り上がり感をプレートで表現。
カレー視点の感想
一つのプレートに12種類もアイテムがのっている。情報量すごい。
メインのカレー3種がそれぞれ主役級に美味しくて主張もしっかりあるタイプ。そこにさらに尖った味のチャトニものっていて、さらに途中から飛び道具のふりかけとアチャールをぶっこむというカオス状態。なのに互いが喧嘩せずにプレートの中で一体感をもって美味しさが押し寄せてくる感覚は食べていてテンションが上がってくる。すごかった。
この辺りのバランス感覚や創造性はまさにファンタジスタな一皿。
音楽視点の感想
「イントロ」を味噌汁風サンバル、「Dragon Ashの楽曲」を3種のカレー、「オーディエンスの歓声」をチャトニ・副菜、「サビで飛び交うダイバーたち」後がけのふりかけとアチャールで表現するという、ライブでfantasistaを演るときのライブハウスの盛り上がりやカオスさが見事にカレーに落とし込まれていた。
楽曲単体に注目するだけでなく、ライブアンセムであるfantasistaを演ったときのライブハウス全体が盛り上がる様子まで表現するという発想は、大の音楽好きでフェスやライブに参戦しまくっているイリベさんだからこそ思いつく発想だと思った。
DESSERT「Dragon Ash 櫻井誠」×「光りの街」
イベント期間中通しで提供されていたデザート、Dragon Ash 櫻井さんの 「ピュアミルクのアイス クリームチーズソース添え」
「光りの街」をイメージした、Dragon Ashメンバーご本人の櫻井さんが作られたスパイスデザート。
かっきーさんのカレーを食べたときにいただいたのだが、ちょうどその時櫻井さんがいらっしゃった。学生時代DAを聴いてライブにも行っていた僕は、嬉しさのあまり櫻井さんにお願いして一緒に写真も撮っていただいてしまった。(櫻井さん、お忙しい中本当にありがとうございました。)
学生時代の自分に教えたら驚くだろな…。
カレー視点の感想
濃厚なミルクアイスに、レモンやヨーグルトで爽やかに仕上げたクリームチーズソースが口中をすっきりとさせてくれる。ピスタチオとアーモンドの食感・振りかけられているカルダモンとシナモンの香りがアクセントになっていて、食べるたびに味が変わっていく最後の一口まで楽しい一皿。
櫻井さん、ミュージシャンとしてだけでなく料理人としても凄すぎます…。
音楽視点の感想
光をイメージした純白のミルクアイス、カルダモン・シナモンの華やかな香りとクリームチーズソースの軽やかさが「光りの街」のイントロのアルペジオからイメージする光が差すような雰囲気を表現されているように感じた。
まさに希望の光が降り注ぐような一皿。
「カレーと音楽はどちらも感性を刺激する魔法のような力を持っている」
今回のイベントを全力で楽しんで思ったのは、
「カレーと音楽はどちらも感性を刺激する魔法のような力を持っている」
ということ。
冒頭にも書いた「カレーと音楽は似ている」「カレーやってる人は音楽もやってる」の正体・共通項はこれだったんだと。
食べる人・聴く人のお腹も耳も心も満たされまくる素晴らしいイベントだった。また第二弾・第三弾と別のアーティストや別のカレー屋さんのコラボでもぜひやってほしい。
ていうかあるなら自分がやりたいな…。
今の自分にやれる実力はないかもしれないが、曲咖喱にいつかカレー側で出ることを夢見てカレーの知識経験技術を磨いていきます。精進します。
最後まで読んでいただきありがとうございマサラ。
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それではまた別の記事で。皆さまの音楽ライフとカレーライフが充実することを願って…。フィルミレンゲ~。
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