![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/154364518/rectangle_large_type_2_8e98779285fc29a8ab08203df485721f.png?width=1200)
青空文庫で読む谷崎潤一郎
重厚な百科事典や文学全集をお部屋のインテリアにする時代は終わった。
我が家の古い日本文学全集でも谷崎潤一郎は読めるのだが、2段組の活字は目に優しくない。
いつでもどこでも気軽に読める青空文庫はとても重宝している。
母の手術を待つ間、スマホで谷崎潤一郎の『卍』を読んでいた。
お蔭で深刻な気持ちにならずに済んだ。
この物語は、ヒロインが先生なる人物に、スキャンダラスな事件の顛末を告白する形で進行する。
長編『細雪』同様、登場人物は阪神間の富裕層だ。
夫は大阪で弁護士事務所を開業し、趣味は日本画という有閑マダムと、裕福な家庭で育った稀に見る美しい令嬢が主な登場人物。
この令嬢というのが、なかなかのくわせものでして…
同性愛、中性的男性、不倫、
ドロドロした人間関係がネチネチと絡みつくように語られる。
コテコテの関西弁で。
際どい場面はほとんどないのに、濃厚で独特な愛の駆け引きが繰り広げられる。
のらりくらり、あーでもないこーでもない。
騙したり騙されたり、激怒したり赦したり。
可愛さ余って憎さ百倍。
愛憎渦巻く谷崎潤一郎ワールドを堪能した。
まったく、この人たち
何をやってるんだか…
でも、
なんか好きなんやわ
こういうのん
青空文庫では、他に芥川龍之介、太宰治、江戸川乱歩などを隙間時間によく読んでいる。
昔読んだものを読み返したり、初めての作品に出会ったり。
読み放題の太っ腹に感謝。