読書メモ『コンセプトのつくりかた』
コンセプトに関する本を読みました。
仕事柄、お客様の新事業に対して多少なりとも意見を求められています。会社内でも新事業(といっても小さな会社の小さな新事業)を任され、少しでも良いものを生み出せられたらと思い手に取りました。
任天堂でWiiの企画・開発に携わられた玉樹真一郎氏の「コンセプトのつくりかた」。
Wiiとは2006年12月に発売され、全世界で約1億163万台の大ヒットゲーム機です。それまで”一人で遊ぶ”、”ずっと座っていて不健康”といったイメージが定着していたゲーム分野の印象を大きく変えたゲーム機です。
ぼくが関わらさせてもらえる事業はWiiとは比較できないほど小規模です。だけど、ぼくの手が届く範囲で人から愛される商品にできればなと思ってます。
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本書は、3部構成で進められます。
・コンセプトとはそもそも何なのか
・コンセプトをどうやって作るのか
・コンセプトをどうやって活用するのか
まずはコンセプトは何か。良いコンセプトとは何か、ということを理解するところから始まります。そしてコンセプトをどうやって考えつくのか、言語化するかです。
本書では、コンセプトをどうやって作りのかを、Wiiの開発・企画会議をベースにして進んでいきます。なのでイメージしやすい。自分に当てはめるとどうなるか、会議の進め方はどうやってということを想像しながら考えれます。
漠然と悩んでいる段階のぼくが読んでも理解できる内容だから、どんな人が読んでもいいんじゃないか?と思える一冊でした。
そして自分の人生に迷っている人にも読んでもらいたい。
筆者の玉樹さんもコンセプトを深く考えたことで任天堂を退職されて、地元にUターンされています。コンセプトについて考えた結果、「人生のコンセプト」を考えざるを得なくなり、退職する結論に至ったとありました。
自分の目標を知るためにも一度考えてみるのも面白いかもしれないですね。
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本書では、特に2点気になった箇所がありました。コンセプトの定義と考え方です。
コンセプトはカッコよくなくていい。
コンセプトってどんなイメージなんでしょうか。カッコよかったり、おしゃれなものが”いいコンセプト”ってイメージじゃないですか。
そう思う人はコンセプト=キャッチフレーズ的に捉えてしまっています。ぼくはまさにその通りでした。
本書で良いコンセプトの大原則として、『覚えやすい・伝わりやすい・変わらない』とあります。
生成AIにゲーム業界でおしゃれなコンセプトを考えてくれと依頼したら、「ネオンの夜明け」や「鏡影の迷宮」など覚えられないし伝わらないコンセプトを考えてくれました。
まさにって感じですね。AIのは説明するだけでも時間がかかるし、数多くのコミュニケーションを通したら形が色々と変化しそうな気しかしない。
まずは誰もがイメージできて、簡単に言語化できるコンセプト。背伸びせず、想いのままのコンセプト設計をしてみよう。
コンセプト=「良い」ということは逃げである
”良い”なら問題ないじゃないかと思ってしまいます。
しかし、本書で”良い”という表現は堕落へと導く悪魔の誘いのようなものとありました。
良いという言葉がなぜ悪魔の誘いなのか。それは、良いと定義できるということは「既知の良さ」であるということです。既知の良さを実現するには、お金や時間、労働力というリソースが必要になる。そして真似されやすいという危険性を含んでいる。
良いという土俵で戦うことは、莫大なリソースを持っている大手企業が当然有利になります。
だから、コンセプトは「未知の良さ」を形にしたものにしようという。未知の良さというのは言葉にできない良さを持っています。
初めてiPhoneが発売された時、何が良いか説明できる人はいたでしょうか。今考えれば簡単です。「画面が大きくて、直感的に操作できる」とか。それは今というベースがあるから。いきなりスマホを渡されても何が良いとか具体的に言えるのかなと思います。
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これから色々と考える中で活かしていきたいです。そして何よりも人生のコンセプトじゃないけど、ぼくはこんな人間なんだっていうコンセプトを考えたいです。
まずは自分がどうしたい、どうなりたいかを設定しよう。