熊野古道伊勢路を歩くday2#5
展望台の上で出会った紳士のお陰で歩く楽しみが増えたのは事実だ。
僕は、コーヒーを入れた水筒をカバンに戻し、熊野古道歩きを再開した。もちろん彼にはお礼と行ってきますの挨拶を交わした。
展望台から降りたが、切り通しの道を歩いて茶屋跡まで戻った。
松阪市飯高町にある珍布峠に比べると岩の規模が小さいが、昔の人の努力を感じるには充分だった。
名号碑と如意輪観音像を過ぎてさらに峠を下ると、大神宮寺相鹿瀬寺跡に出た。女鬼峠の相鹿瀬側まで下りてきた感じが湧いてきた。
この辺りまで来ると舗装された歩きやすい道に戻る。
が、時折逸れた小道を入るルートもあり、深谷橋を超えた先には、深谷石地蔵が見守ってくれている。
深谷石地蔵の少し手前には、浄保法師の五輪塔がある。なんでも伝染病に苦しむ村人のために自ら生き埋めになって救いを祈ったそうだ。
本当に知らないことばかりだとつくづく思う。
途中まんじゅう屋の跡を見つけたが、今は鬱蒼と生い茂る竹藪だった。そろそろ甘いものが食べたくなってきた時に、まんじゅう屋の跡地を見つけて落胆した。
更に歩みを進め、栃原観音千福寺まできた。ここのご本尊である観世音菩薩像は聖徳太子の神勅によって造られたとの逸話もある立派なお寺だ。ただ僕は、ここの酒まんじゅうが食べれると楽しみにしていたが、毎月18日しか売っていないと知りまたまた落胆した。
熊野まで146kmの道標を超えると、元坂酒造の酒造所が見えてくる。酒屋八兵衛と言うお酒が有名な酒蔵だ。
元坂酒造の軒下には、大きな杉玉がぶら下がっていた。この杉玉も神様への感謝を捧げるものとも言われている。
元坂酒造をすぎてしばらく進むと、猿の大群に出会った。
多くの猿は僕の姿をみて山へ逃げていったが、堂々とした猿だけは動じずマイペースを気取っていた。
人通りの少ない道。風を遮り日差しが暖かくそそぐ昼下がり。お休み中の猿たちの邪魔をしたようだった。
これから先、もっともっと山に森にと歩き入ると思う。
先人たちと同じ想いを動物だけでなく植物や景色に気持ちを寄せて歩いていこう。