熊野古道伊勢路を歩くday2#2
多気町に入る少し手前で、県道13号線から一本脇道に入る。
ちょうど石佛庵がある辺りだ。
この石佛庵の隣には、巡礼道引観世音がありお地蔵さんが並んでいる。
近くの人は親しみを込めて金比羅さんと呼ぶそうだ。
そう言えば、香川県琴平市にもこんぴらさんがあった。漢字は金刀比羅宮。そこは、海の安全を祈願する所だと聞き、20年程前に行ったこともある。
20年も前の旅の思い出を蘇らせながら、お地蔵さんたちに旅の安全を祈願した。そして車通りの少ない脇道を楽しく進んだ。
前回、猿田彦神社を紹介したが、ここにも「猿田彦ゆかりの地」の碑と言うものがあった。
確か、鈴鹿にある椿大神社も猿田彦大本宮とある。色々な歴史の事情があるのだろう。
猿田彦ゆかりの地から程なく、永昌寺と言う立派なお寺が出てきた。
この辺りは旧家が並ぶ街道が続くので、歩いていても気持ちがいい。そして、とうとう女鬼峠の案内も出てきた。熊野古道を歩いている実感が湧いてくる。
案内標識に従って進むと、神社のある小さな山が出てきた。いよいよ女鬼峠か?と胸を躍らせるも、峠と言うには低く簡単に迂回できそうな円墳の様な山だ。女鬼峠への案内板とは逆の方向に神社の鳥居が続いている。
違和感を感じて、地図で調べてみたら女鬼峠はまだまだ先で、ここは西外城田神社の鳥居だった。先ほど通った蚊野にあった東外城田神社とは別に多気町笠木には外城田神社のあるそうだ。おそらくはこの三社は何かしらの繋がりがあるのだろう。
東外城田神社の山を迂回して、田んぼ横にまっすぐ伸びる道をひたすら歩く。
もう直ぐ女鬼峠だと意気込んだ心を落ち着かせるために少しばかりはやる足を抑えながら歩みを続ける。
桧皮池横を進み栃ヶ池に着いた。
栃ヶ池の横には、2019年に文化庁に選定された「歴史の道百選」の女鬼峠ウォーキングコースの看板があった。
ここからちょうど5kmになるウォーキングコースは、ちょうど熊野古道を歩くルートとなりルートを確認するにはちょうど良かった。
女鬼峠。
女の鬼とは何やら物騒な名前がついた峠道だ。
「メキ」ではなく「メギ」と呼ぶこの峠道。調べてみるとあまり良い話は出てこない。
昔、近くに女性専用の処刑場があり女性の霊が出るからだとか、熊野古道で命を落とした女性の霊がとか。。オカルト話には興味はないが知ってしまうと気になってしまう。
おそらくは、伊勢へと向かう最後の峠道。また、熊野古道伊勢路の中でも一番楽な峠道とも言われるこの女鬼峠。古く人々は、幽霊や鬼の名を借りて、気を引き締めて歩くことを伝えたかったのだろう。
そう考えながら僕も靴紐を結び直して、峠道の入口へと進んでいった。
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