熊野古道伊勢路を歩くday3#4
殿様井戸で一息ついて英気を養った僕は、行き倒れの墓方面へ歩き始めた。
少し荒れた山道を登ると整備された旧道へ出た。
もしかしたらお墓を通り過ぎたかもと思ったが、特に気にせず先に進んだ。行き倒れの墓とはあまり気の良いモノでもなさそうだからだ。
が、少し先に竹藪の中へ伸びる道があった。どうやらこの先が行き倒れの墓らしい。
遠く伊勢の地を目指して歩いた人が、志半ばで倒れ命を落としたのがここらしい。
色々な想いが頭をよぎるが、一番最後に敬意を感じたのだった。
ここから先は、しばらく旧道を進む道が続きそうだ。茶畑とソーラー発電所が並ぶ道を進みながら、昔の人たちには見ることができない景色を嗜んだ。
馬鹿曲がりと言い殿様井戸と言い刺激的なルートを進んだ後には少し物足りなく感じるルートだったが、それなりに歴史的な建造物もたくさんある。
何より、自宅の目の前を熊野古道が通っているとは、なんて素敵なのだろう。
しばらく進むと、下楠と呼ばれる地区に出る。
ここ下楠には旅館阿波屋の跡がある。
今はもう古い家屋となっているが、昔は栄えていたのが想像できる。この辺りの横を流れる宮川の渡しがあり、かつては旅人たちで賑わっていたそうだ。
川添に入り、川添小学校の前に道標があった。
熊野まで138kmとある。
かなり進んだつもりだが、まだまだ先は長い。
ここにもまた天王さんと庚申さんの祠がある。この台座には天保の銘が彫られているから、今から200年ほど前からここで旅人達を見守ってくれている事になる。
観音寺を越えてしばらく歩くと、奥伊勢のまちかど博物館がある。
休憩ができる様だが、コーヒーでも買わないとベンチに座れそうもなかったので、そのまま進んだ。その先は、国道42号線と合流する。
じわじわと登る国道を高奈から下三瀬までの間約 3km弱を進む。山道や旧街道に慣れたところにこのルートは少しつまらなく感じる。
今回のルートは、紀勢本線と国道42号線を交わりながら進むルートとなる。だから線路沿いと国道沿いを織りなす道を進むときもあるのだ。
普段車で走り慣れた道も歩いてみると新しい発展もあった。
紀勢自動車道をくぐった先に、弁慶岩と呼ばれる岩があった。
その昔、紀州から旅をしてきた武蔵坊弁慶が腰を下ろして休憩したと言われる岩だそうだが、正直眉唾物だ。
けど、僕も弁慶になったつもりで腰を掛けて少しだけ休憩した。
弁慶岩の隣には、道中安全祈願地蔵さんがある。
僕が、セルフタイマーを駆使して撮っていた姿を見られているので、照れ隠しながら、道中の安全も祈願した。
遠くには、大台町の街がかすかに見える。あそこが今日のゴールだ。まだまだ多くに感じるが、見えただけでも元気になる。
単調に歩くだけだと、足が痛くなったり上がらなくなったりとネガティブになりがちだが、些細な楽しさを見つける事で、不思議と身体が軽くなる。
今まで出会った沢山の神様のおかげかもしれない。
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