熊野古道伊勢路を歩くday3#3
馬鹿曲がりのある聖なる山を抜けてしばらく歩くと国道と合流し、更に進み神瀬で旧道に入る。
国道や山道と違って歩きやすい道だ。
旧道に入って少し歩いたところに、多種神祠と呼ばれるものがある。
一つの祠に、山の神、皇大神宮、津島天王、庚申さんの神様が祀られている珍しい神祠だ。
このルートは神社仏閣やお地蔵さん。神様の祠などたくさんある。
これらを見るたびに色々な神様に守られている感じがして穏やかな気持ちになる。
この先には、神瀬橋と呼ばれる眼鏡橋や殿様井戸跡と呼ばれる面白そうな名所がある。
まだまだ周りの景色を楽しむ余裕がある。
神瀬橋への入り口も、道路沿いのガードレールから外れる山道をいくようだ。
今日のルートで何度も助けてくれた道標が、今回ばかりは微妙にズレていて少し悩んだが、馬鹿曲がりのワクワク感を思い出して山道を進んだ。
ガードレールから外れて、道を下がる。足元は再び未舗装の山道だ。
周りの雰囲気も一気に変わって、竹林の中を進む事になる。
15cmほどの太さに育った立派な竹に囲まれた道は時折竹がぶつかって鳴る音に耳を傾けながら進むことができた。
竹がぶつかり合って鳴る音に合わせて川のせせらぎも聞こえてくる。
後で知ったのだが、脇谷川が流れている。
古道から旧道を見上げる場所に、脇谷川に架かる橋がある。通称、眼鏡橋だ。
明治40年に作られた橋は、熊野古道を歩く人々には見ることのなかった橋だが、明治の偉人たちのおかげで素晴らしい技術と景観を見ることができた。
ここからすぐに旧道に上がる。
少し戻って眼鏡橋を渡る事もできるが、渡って終えばただの橋(失礼)。
やはり、眼鏡橋は見る橋かも知れない。
このまま旧道を歩くかと思えば、すぐにまた山道へと別れている。
殿様井戸と行き倒れの墓があるという。
やはりここも入り口が判りにくいが、看板のお陰で少しだけ迷って進むことができた。
進むことができたとは言え、井戸はともかく行き倒れの墓はあまり立ち寄りたくない。
が、このルートを進むことにした。
殿様井戸へ向かう道は、眼鏡橋へと続く道とよく似ている。
木々から溢れる日差しが心地よく一歩一歩進んで行く。
足元がじんわりと湿った感じがする。そう感じたすぐ先に小さな橋が架かった小川がある。今回のルートはこのような橋が多い。
その先に、水の綺麗な小池があった。
どうやらこれが殿様井戸と呼ばれる溜池の様だ。
隣に立つ看板によると、江戸時代、どこかのお殿様がお忍びで鷹狩りに来た時に必ず休憩を取った場所らしい。この場所、池は年中枯れることなく居心地の良い場所だったらしい。
僕もお殿様になった気分で、家から持ってきたコーヒーを飲んでホッと一息ついた。
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