サくら&りんゴ #128 Physically challenged、盲目の少女と
なんとも美しい朝日。岸辺の窓ガラスが、そして普段はくすんでいるなんでもないメタル製の手すりさえも、その光を受けて金色に輝いている。
ほぼ毎週末、ご近所の兄弟2歳と4歳の男の子たちがうちにやって来る。お母さんは仕事で、お父さんも家のリノベーションで忙しい。
はじめはダディダディと別れ際に泣いていた2歳のルカも(お父さんがいつも二人を連れて来る)今ではすっかりわんぱくである。
さてこの日、英語でいうところのPhysically challenged つまり身体的にチャレンジがいる5歳の女の子も参加することになった。
私にとってもチャレンジである。
モンテソーリ教師の国際資格を取るための勉強をしていた時、マリア・モンテソーリに一番感心したのは、その卓越した子供を見る目、観察力である。もともとは精神障害のある子供たちのためにカリキュラムや手法を考え出していたのが、それが子供たち全般に通用することを悟って、モンテソーリメソッドを作り上げたのである。
だからまずはこの日私は、女の子の事を観察して理解し、そしてゆっくりと関わって行こうと思う。
彼女は生まれつき目が見えない。完全な盲目ではなく、光を感じたり、青色や赤などは区別がつくらしい。
室内ではある程度手探りながらひとりで歩くことができる。
普段はジュニアキンダーガーテンの普通クラスに入っているので、お友達とも慣れているはずである。
モンテソーリのプリスクールにお手伝いに入っていた時は、クラスに自閉症傾向のお子さんが二人いて、先生方は個別によく対応されていた。モンテソーリだからできるんだろうなと思う。
子供たちを預かっていてもここにはモンテソーリの道具など何もない。益々チャレンジングな日であった。
さて二歳のルカは、私がここを離れて日本に一時帰国した時はまだ1歳と8か月。再びここでお預かりが始まった時、きっと覚えていないんだろうなと思っていたのが、ドアを入ってすぐ、じ~っと私の事を見ている。じぃ~っと。ず~っと。
以前はDaddy, Mommy そしてI see you が言えた。
そしてそのじ~っとは言葉はないがI know youの瞳である。
もう四歳半になっているお兄ちゃんの方は、私の事をちゃんと覚えているのである。
ふと、目が見えない女の子は私の事を覚えてくれるかなと思う。どんな風に覚えてくれるのかなと。次に会ったときI know youと感じてくれるかなと。
ひとまずこの日は、女の子は短い時間の参加で終わった。それでも少し信頼関係が築けていたらいいなと思う。
そして男の子たちとの間にも。
朝日を受けて金色に色を変える透明な窓ガラス。同じ湖水のはずなのに太陽の光によって刻一刻と色を変える湖。
見えている物が真実だと思い込んでいるけれど、触った感触だったり匂いだったり音だったり、結構そっちの方が真実を伝えられているんじゃないかと思っている。
ところで
恐竜や動物や乗り物を一列に並べて遊ぶのが決まって男の子なのは日本もカナダも同じ(笑)
それも並べている間凄い集中力なんです、たいてい。