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【オルタナティブスクール実践・テーマ探究】小学生、お店(レストラン)を開く②

24年度の4月から神戸にあるオルタナティブスクールのラーンネット・あーるにて「テーマ学習(コンセプト探究)」の時間を担当させていただいています。
実際に子どもたちに関われる時間をいただけることは本当に楽しいです。
そんな日々の中で、子どもたちは思いがけない変化を見せてくれたりします。
今回はこの4月から7月まで実施してきた「テーマ学習」の内容と、その実践の中でみられた子どもたちの様子を書いていきたいと思います。


🔸テーマの時間とは?※前回

🔸テーマ「お店」の実践内容

さて、前回は理論編で抽象的な話をつらつらと書かせていただきました。
ここからは具体的に「どんな想いで何をしたのか」を書いていければと思います。

主要課題「私たちは日々『価値の交換』をしながら生きている」

今回のテーマ「お店」では最終アウトプットとして、近所のレンタルスペースSoWeluさんをお借りして出店をしようと決めていました。
そのアウトプットを加味して、主要課題(上記の「概念的な学び」)を何にしようかスタッフと話し合った結果、
「私たちは日々『価値の交換』をしながら生きている」
ことを子どもたちに知ってほしい、感じてほしいよね。
となり、今回はこの主要課題に決まりました。

「価値の交換」と聞くとまず思い浮かぶのはお金を媒体とした交換だと思いますが、お金に限らず僕たちは日々の生活の中でさまざまな価値を交換しています。
そもそも人の価値になりうるものはお金やものだけではなく「優しさ」「愛情」なども含まれるのではないでしょうか?

さまざまな人の「優しさ」「愛情」を含むお金や商品、サービスを交換しながら色々な人に支えられて生活していることを少しでも知ってほしいという思いでこの主要課題を選びました。

商店街マップづくり

最初にやったのは近所の商店街を散策することです。
商店街のお店で行われている価値の交換を調査し、
それを大きなマップにまとめていきました。
ものだけでなく、さまざまなサービスを提供しているところ、
神社や初回無料サービスなどお金がなくてもできるところ、
スポーツ用品店の2階に卓球場があるところ、
色々な種類のお店と、価値の交換を見つけられました。

お店で見られる「価値の交換」ワークシート

商店街マップづくりで実際のお店を見た後は
各お店がどんな価値の交換をしているかをワークシートにまとめていきました。
項目は「お客さんの困りごと/欲しいもの」「お店やさんのすること」「お客さんのハッピー」「お店やさんのハッピー」です。
興味深かったのは「お客さんのハッピー(価値)」と「お店やさんのハッピー(価値)」を聞いた時にあまりお金が出てこなかったことです。
お金のやり取りをしていることは理解していると思うのですが、
「お客さんが満腹になって喜んでいる顔がお店やさんのハッピー」といった内容が目立ちました。

損益計算

お店を出すにあたり、どうしても避けて通るべきではないと考えていたのが「お金を使った交換」です。
そのため子どもたちにはどのような仕組みで誰がどれくらいの金銭的価値を得る仕組みでお店を出すかを考えてもらうことにしました。

まずは簡単な損益計算表を使って「収益」「費用」「利益」の理解と、算数の練習を行いました。
こういった計算練習は子どもたちには嫌がられるかな?と想像していたのですが意外とみんな真剣に取り組んでくれて、何度も何度も計算が正しいかを確認しにくる姿が印象的でした(クイズ感覚だったのかな?)。

次に自分たちが出す商品の値段を決めるために、
実際の費用(仕入れ値)、想定されるお客さんの人数、自分たちがあげたい利益を考えていきました。
さらにお家の方々に「ランチにいくら払う?」と調査をしてきてもらい、そこから大体の相場を考え、商品の値段は激動の議論の末に決定しました。

料理教室

今回、お店を開くにあたり子どもたちが選んだ商品は「小物」と「料理」でした。
小物は子どもたちが手作りしたものを売るので大人の力をほとんど借りずに販売準備を終えました。
もう片方の料理はハンバーグ定食を作ることになり、「食の豊かさ」をテーマに教育を提供している株式会社omochiのお二人にご協力いただきました。

料理の練習は本番でお店を開くSoWeluさんに場所をお借りして実施したので子どもたちも本番のイメージを持ちながら練習ができたと思います。

2回の料理教室を行い、練習のたびに料理に慣れていきました。
また、作った料理を自分たちで食べてみて、そこからメニューを改善したり、デザートやドリンクを考えたり、少しずつお店の詳細を決めていきました。

時には大人目線で厳しいフィードバックをもらうこともありました。
食中毒が出ないように手洗い消毒はこまめに何度も行うこと、
お店の中で走り回っているとお客さんからは遊んでいるように見えること、
手が空いた人は忙しい人を手助けしないと準備が遅れること、
色々な観点で出店するにあたり重要なことを伝えていただきました。

農家さん訪問

今回、レストランで出す料理に使う野菜をSoWeluさんと関係のあるBio Creatorsさんという農家さんから仕入れさせていただきました。
そこで、野菜についても畑で学ぶために実際に農家さんを訪問しました。

さまざまな野菜や穀物、雑草を食べるヤギなど有機野菜を作る農家さんの想いと日々の活動に触れました。

季節によって取れる野菜は違うことや、同じ野菜でも形や大きさはさまざまであることを知り、そういった野菜を使って定食を作っていくことを改めて認識しました。

お店(レストラン)出店

7月上旬、子どもたちはついにお店を開きました。
お店は2日間限定、お客さんは保護者を含めて2日間で40人(事前予約制で満員御礼)。
1日の営業は前半後半に分けてお客さんが10人ずつの合計20人です。
転換があるので前半のお客さんが帰った後は急いで後半の準備をしました。

子どもたちは「料理」「接客」「物販」の3つのチームに分かれて各々の仕事を行いました。

「料理」チーム
調理チームは自分たちが食べるのとは違い、細心の注意を払いながら調理しました。
その後、時間がない中で綺麗に盛り付けをし、料理を提供。
提供した後は自分たちで作った料理説明シートもとに料理の説明まで行います。

「接客」チーム
接客チームは来店したお客さんへの挨拶、人数とお名前の確認をし、先に会計をお願いします。
会計が終わったら決められた席にご案内、席についたお客さんにセルフサービスのドリンク説明とデザートの確認を行いました。

「物販」チーム
物販チームは商品の陳列をして物販準備。
お客さんが来たら食後のタイミングを見計らって営業、商品説明を行います。
商品の会計まで行いました。

1日目のタイムテーブル。これを2日間

🔸子どもたちの様子※次回

🔸振り返り※次回

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