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穂高小屋番レスキュー日記

宮田八郎 2019 山と渓谷社

長野、岐阜県境にある穂高岳の山小屋で20年以上にわたりレスキュー活動を行ってきた著者のノンフィクション。

臨場感たっぷりで、山の恐さと素晴らしさが文字だけで伝わってくる。

印象に残ったフレーズを3つほど紹介。

・下界の肩書きなんぞ山では何の役にも立たない

山では、社長だろうがホームレスだろうが、同じ人間であり、偉い偉くないなどはない。

誰であろうと平等に、山を舐めているようであれば戒め、助けを求められれば絶対に助ける。

・山に民主主義はそぐわない

山では多数決などをしている余裕はない。

絶対的なリーダーの判断力が重要である。

それが正しいか間違っているかなどは後で考える。

救助の局面で1番大事なことは、「できるかできないか」である。

・生というものを実感しようとすれば死の存在を意識せざるを得ないのです。

自然の脅威の中で命を落としていった者たちに「わざわざ死にに行くなんてバカげている」という声が浴びせられる。

しかし、都市の中でリスクや危険を感じずに生きることを、生きるということができない人々は確かに存在している。

彼ら彼女らは死と隣り合わせの状態で命が最も輝くということを知っている。

死を肯定しているわけではないが、そのような魂はとても美しく輝いている。

著者も海の事故で亡くなってしまったそうだが、輝きに満ちた穂高岳での人生が文字を通して伝わってきた。

昔と比べてはるかに生きやすくなったからこそ、刺激を求めてチャレンジャーたちは今日も魂を輝かせる。

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