#002_建築から学ぶ「美しいシステム」とは? ~ITアーキテクトの重要性~
今回は、「美しいシステム」構築に欠かせないITアーキテクトの重要性を建築家の役割と比較して考えてみたいと思います。
まず、建築家の役割を広辞苑で調べてみると、
「建物の設計や監理を職業とする人」
と書いてあります。
次に、話題のChatGPTに聞いてみると
「建築家は、建築物や空間を設計し、建設する専門家です」
と答えてくれました。
なんか無機質な表現で私にはしっくりきません。
そこで、もっとしっくりくる表現がないか調べてみると・・・
「建物や空間をつくる」ためのプロセスに限らず、社会のさまざまな場面やフィールドで活用でき、確かな価値を発揮する」*1)
というなかなかいい表現を見つけました。
私が知る建築家とはこのイメージに近いです。
クライアントの意向に加えて、土地の形状、気候、法律などの制約を前提に「人が幸せに過ごせる時間と空間をつくる」*1) 、これが建築家の役割だと思います。
別の言い方をすれば、建築家はクライアントの人生を、地域を、社会をプラスに転じるほどの影響を持っているのです。
この建築家の定義を参考に、ITアーキテクトの役割を考えてみたいと思います。
先ほど書いた建築家の役割の対象を「建物や空間」ではなく、「システム」に変えてみました。
「システムを開発する」ためのプロセスに限らず、社会のさまざまな場面やフィールドで活用でき、確かな価値を発揮する」
私には違和感はなく、しっくりきました。
私は、SIerと呼ばれるシステム開発会社で、オンプレミスのシステムやパッケージ製品を自ら開発してきました。2014年以降はクラウド化の流れの中でシステム開発経験を活かして、人事関連のクラウドサービスの導入コンサルタントとして50社以上のクライアントの導入や運用に携わりましたが、クライアントから、こんなネガティブな言葉を耳にしました。
・使いにくい
・このツールの開発者って、人事のことわかっている?
・この規模でシステム運用したら、運用が回らないの想像つかないのかな?
建築の世界では、建築家が、こんなクレームをクライアントから言われることはほとんどありません。いやむしろ、クライアントは想像を超える出来栄えに感動を覚えます。
一方、システムは、感動を与えるどころか、クレームを言われる。
これが何を意味するかを、私なりに考え、出た答えが、「システム開発現場では、ITアーキテクトが不在なのでは?」という仮説でした。
その証拠に、建築の世界では、ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、日本人では安藤忠雄、隈研吾などの名前を聞いたことがある方もいると思いますが、
システムの世界で、有名なITアーキテクトの名前を挙げて、と言われて答えられる方は少ないのではないでしょうか?
こうして建築家と比較すると、ITアーキテクトは、「クライアントに感動を与えるべき重要な役割」であり、「美しいシステム構築において必要不可欠な存在」であるということ、それにも関わらず、実際の開発現場ではITアーキテクトが不在であるという仮説をご理解いただけるのではないでしょうか。
というわけで、次は「美しいシステム」構築において必要不可欠なITアーキテクトが、なぜ不在なのか、今後開発現場ではどうすればいいのか、をまた建築と比較することでついて考えてみたいと思います。
*1)引用:BEYOND ARCHITRCTURE ケンチクとカルチャーを言語化するメディア
最後に、参考までに・・・
私がLinkedinでフォローしている川添さんの投稿でMicrosoftの復活を例にした建築家のリーダシップ関する記事がありましたので興味ががある方はぜひ読んでみてください。