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【理想の身体を手に入れる】カロリー制限のメリット

今回は毎日の食事からちょっとだけカロリーを減らすだけで、理想の身体を手に入れる方法を紹介します。

皆さんにとっての理想はなんですか?

ギュッと引き締まったウエストですか?
病気を寄せ付けない、健康的な身体でしょうか?
いつまでも若々しくいることですか?

そんな皆さんの理想を叶えてくれるのが、カロリー制限です。

やり方は、1日たった12%の摂取カロリー減らすだけ。例えば、1日2000キロカロリーを摂取する人ならば、240キロカロリーです。

わずか240キロカロリーを制限するだけで、
痩せられて、
病気にも負けない、
老いない身体を
手に入れられるとしたらどうでしょう?

実際に、私もカロリー制限をすることで人生が大きく変わりました。以前は、好きな時に好きなものを好きなだけ食べる、という生活をしていました。
その結果、BMIは25を超え、お腹周りはすっかり逞しくなっていました。

それを変えてくれたのがカロリー制限です。
体重が落ち、身体は軽く、体調を崩しにくくなりました。


今回は、そんな私の人生を変えたカロリー制限について、2017年にデューク大学医学部が行った研究をベースに解説していきます。

The CALERIEと呼ばれるこの研究は、人間が長期的にカロリー制限することで起こる影響を調査しました。 (1)(2)

21〜51歳のBMI21.9〜28.0の成人を218名集めました。標準体型から、やや肥満傾向のある人達です。

参加者には、25%を目標に2年間カロリー制限を行ってもらいました。

しかし、25%のカロリー制限は、大変厳しかったみたいです。参加者のほとんどは、達成することができませんでした。

結果、彼らが達成できていた12%をベースに、カロリー制限の効果を評価しています。

それでは、この研究からわかった5つの健康効果について解説していきます。

効果その1 中性脂肪を落とす!

1つ目の効果は、体重減少です。

12%のカロリー制限を2年間行うことで、なんと7.6Kgもやせることができたのです。
ちょうど生後半年の赤ちゃんが7kgほどの体重です。
人間の身体から赤ちゃん一人分がいなくなったことになります。

ウエスト周りも約6cmも縮まりました。
こんなに縮まると、いま持っているズボンは全てお直しが必要かもしれません。

毎日の食事から240キロカロリーを減らすだけで良いのです。間食をしていた人は、それを我慢するだけで達成できます。毎日ジョギングする必要もありません。

注意点は、筋肉の低下です。
体重が落ちた原因のほとんどは、中性脂肪がなくなったためです。しかし、少しだけ筋肉の低下がみられました。

1日少しだけでも良いので、軽く運動や筋トレをすると良いかもしれません。筋肉が落ちるのを防ぐことができます。


効果その2 老化を止める!

12%のカロリー制限は、老化を止めます。

老化というと、
皆さんはこんなことを思い浮かべませんか?

身体が疲れやすくなったり、シワができたり、病気やがんになりやすくなる、などです。

その原因となるのが活性酸素です。

細胞の中には、酸素を使ってエネルギーを作るミトコンドリアという器官があります。

しかし、壊れたミトコンドリアは、活性酸素という細胞を傷つける物質を作り出してしまうことがあるのです。歳をとると壊れたミトコンドリアの割合が増え、活性酸素の量が増えてしまいます。
その活性酸素が細胞を傷つけることで、疲れやすくなったり、シワができたり、がんになりやすくなるのです。

カロリー制限は、活性酸素の量を減らすことで、老化を止めるといわれています。

以前、カロリー制限をしたことがある人は、
このような経験がありませんか?

カロリー制限を始めた頃は体重が一気に落ちたけど、だんだんと体重が落ちにくくなるということです。

これを代謝適応といいます。

摂取エネルギーよりも消費エネルギーの方が多い期間が続くと、身体は消費するエネルギーを減らします。要するに、身体がエネルギーを節約するようになるのです。

ダイエットしたい人にとって、代謝適応は邪魔以外のなにものでもありません。

しかし、代謝適応こそが活性酸素を減らしてくれます。(3)
痩せるためには必要ない代謝適応ですが、老化を防ぐためにはなくてはならないのです。


効果その3 糖尿病を防ぐ!

カロリー制限は、糖尿病の原因であるインスリン抵抗性を改善します。

インスリン抵抗性とは、血糖値を下げるインスリンが効きにくくなることです。インスリンは、ご飯を食べて血糖値が高くなったときに分泌されます。

いいかえると、血液中から細胞に糖分を届けるのがインスリンの役割です。

しかし、常に血液中にたくさんの糖分がある糖尿病では、細胞はお腹がいっぱいです。

これ以上、インスリンが糖分を届けないように、インスリンに反応しにくくなるのです。つまり、インスリンが細胞の壁をノックしても居留守を使います。
その結果、細胞に糖分を届けられないので、血液中に糖分が豊富にある状態、高血糖になってしまうのです。

血液中の糖分は、血管を攻撃します。

細い血管ほどダメージを受けやすいので、眼、腎臓、神経障害は、糖尿病三大合併症と呼ばれます。
カロリー制限は、インスリン抵抗性を改善することで、細胞に糖分が行き届くようになります。

その結果、血糖値が改善することで糖尿病を予防したり、悪化させないようにするのです。


効果その4 がんを防ぐ!

カロリー制限には、がん細胞の増殖を抑える効果があります。

これは、カロリー制限が IGF-1 という成長ホルモンの分泌を抑えるためです。

IGF-1 は、インスリンに形が似ていることから、ヒトインスリン様成長因子と呼ばれます。

でも、成長ホルモンに悪いイメージを
持っている方はいませんよね?

実際に成長ホルモンは、子どもの成長にはなくてはならないものです。細胞を増やすには成長ホルモンが必要です。

しかし、大人は違います。

過剰な成長ホルモンは、私たちにとって必要のない細胞すらも増やしてしまうのです。

つまり、がん細胞の増殖です。
IGF-1 を減らすことはがん細胞の増殖を止め、がんの予防になります。


効果その5 心臓病を防ぐ!

カロリー制限は、心臓病を防ぎます。

心臓病の原因として、高血圧動脈硬化があります。

高血圧は、氾濫寸前の川と同じです。血液の量が増えて、流れも速くなっています。そんな血液が行き来する心臓には、大きな負担がかかります。
さらには、血液の通り道である血管にも大きなダメージを与えます。

繰り返されるダメージによって血管は固くなり、動脈硬化を引き起こすのです。

動脈硬化は、ドロドロした脂肪を摂りすぎることでも起こります。ドロドロとした脂肪とは、お肉やバターのような常温で固体の飽和脂肪酸です。
こういった脂肪を摂り過ぎると、身体の中でLDLと呼ばれる悪玉コレステロールが増えてしまいます。

適度な量の脂肪であれば、身体は肝臓で分泌される胆汁酸を使って、脂肪を分解してくれます。

しかし、過剰な脂肪分は、肝臓で分解できず、処理に困ってしまうのです。
そこで登場するのが悪玉コレステロール。
悪玉コレステロールは、肝臓で処分に困った脂肪を血管にまき散らします

まさに脂肪の不法投棄です。これにより血管の壁に脂肪がたまった状態、プラークが作られます。

これが動脈硬化の原因になります。
さらにこのプラーク、とても厄介なことに破れます

プラークが破れると、なかから脂肪やら血栓が血液中に飛び出して、細い血管を詰まらせてしまうこともあるのです。

これが心臓の血管を塞いでしまうと、狭心症や心筋梗塞の原因になります。

そんな厄介な高血圧と動脈硬化の原因となる悪玉コレステロール。

カロリー制限には、血圧を下げて、悪玉コレステロールを減らす効果があります。さらには、HDLと呼ばれる善玉コレステロールを増やす効果もあったのです。

善玉コレステロールは、悪玉コレステロールと反対の働きをします。
つまり、血管に不法投棄された脂肪を肝臓に回収するのです。

まさに、血管の掃除家さんです。

このように、カロリー制限は、高血圧や悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やすことで、心臓病を予防するのです。


まとめ

以上、理想の身体を作る、カロリー制限の5つの効果でした。

いかがだったでしょうか?

実は、カロリー制限の歴史はとても古く、1935年から研究が始まりました。(4)

マウス実験がスタートし、確かに寿命を伸ばしたのです。そして1980年には人間によく似た動物、アカゲザルでの研究が始まりました。(5)
アカゲザルは人間でいうところの130歳を超え、アカゲザルとしては最も長生きをしています。

そして現在では、ついに人間を対象した研究が始まっています。

はたしてカロリー制限は、今回紹介した健康効果だけでなく、人間の寿命すらも伸ばすのか。

その結果がわかるのは、近い未来かもしれません。

それでは、次回の記事もよろしくお願いします!


参考文献

(1) Das SK, Roberts SB, Bhapkar MV, Villareal DT, Fontana L, Martin CK, Racette SB, Fuss PJ, Kraus WE, Wong WW, Saltzman E, Pieper CF, Fielding RA, Schwartz AV, Ravussin E, Redman LM; CALERIE-2 Study Group. Body-composition changes in the Comprehensive Assessment of Long-term Effects of Reducing Intake of Energy (CALERIE)-2 study: a 2-y randomized controlled trial of calorie restriction in nonobese humans. Am J Clin Nutr. 2017 Apr;105(4):913-927. doi: 10.3945/ajcn.116.137232. Epub 2017 Feb 22. PMID: 28228420; PMCID: PMC5366044.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5366044/

(2) Dorling JL, van Vliet S, Huffman KM, Kraus WE, Bhapkar M, Pieper CF, Stewart T, Das SK, Racette SB, Roberts SB, Ravussin E, Redman LM, Martin CK; CALERIE Study Group. Effects of caloric restriction on human physiological, psychological, and behavioral outcomes: highlights from CALERIE phase 2. Nutr Rev. 2021 Jan 1;79(1):98-113. doi: 10.1093/nutrit/nuaa085. PMID: 32940695; PMCID: PMC7727025.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7727025/

(3) Redman LM, Smith SR, Burton JH, Martin CK, Il'yasova D, Ravussin E. Metabolic Slowing and Reduced Oxidative Damage with Sustained Caloric Restriction Support the Rate of Living and Oxidative Damage Theories of Aging. Cell Metab. 2018 Apr 3;27(4):805-815.e4. doi: 10.1016/j.cmet.2018.02.019. Epub 2018 Mar 22. PMID: 29576535; PMCID: PMC5886711.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5886711/

(4) McCay CM, Crowell MF, Maynard LA. The effect of retarded growth upon the length of life span and upon the ultimate body size. 1935. Nutrition. 1989 May-Jun;5(3):155-71; discussion 172. PMID: 2520283.

https://academic.oup.com/jn/article-abstract/10/1/63/4725662?redirectedFrom=PDF

(5) Mattison JA, Colman RJ, Beasley TM, Allison DB, Kemnitz JW, Roth GS, Ingram DK, Weindruch R, de Cabo R, Anderson RM. Caloric restriction improves health and survival of rhesus monkeys. Nat Commun. 2017 Jan 17;8:14063. doi: 10.1038/ncomms14063. PMID: 28094793; PMCID: PMC5247583.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5247583/

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