おっさんのテレワークメシ#3 カチョ・エ・ペペ
第3弾はイタメシです。普通に考えればボロネーゼとかカルボナーラとかになりますが、本レシピのコンセプトは
「テレワークによって失いかけているおっさんの家庭内人権の復権」
です。コンビニのレトルトで売ってるようなレシピじゃあ
「パパ、コンビニの方が早いし美味しいよ」
「そのくらいあたしが作ったほうが早いし安いしうまいし」
とか言われてさらに権威が失墜してしまいますので。
というわけで、今回は発音すら謎のカチョエペペでございます。
カチョ・エ・ペペは、イタリアではかけそばに匹敵するほどシンプルな食べ物で、ローマ名物とされていますが、平たく言えば
「黒胡椒とチーズのパスタ」
でございます。本来は具を入れず、黒胡椒とチーズだけで作るやたらシンプルなもので、アーリオ・オーリオ(ニンニクとオリーブオイルのパスタ)と双璧の素パスタです。
うんちく:
カチョ・エ・ペペはcacio e pepeと綴ります。cacioはチーズ、pepeは胡椒。
ローマ名物3大パスタの一つとして知られております。ちなみにアマトリチャーナ(トマトと玉ねぎ)、カルボナーラ(チーズと卵とパンチェッタ)、そしてカチョ・エ・ペペです。男塾で言えば三面拳の雷電がカチョ・エ・ペペです。
で、ローマ名物のチーズパスタはペコリーノ・ロマーノという羊のチーズを使わないといけません。実はカルボナーラもそういう事になっています。とは言っても、パルミジャーノなんかでも代替できて十分うまいので気にしなくていいと思います。本物の江戸前寿司は東京湾の素材じゃないと、と言ってるようなもんです。多分。
実はシンプルが故にすごく難しいパスタと言われていますが、その理由はチーズが焦げたり固まったりしてパサパサになるから。でも解決方法は簡単で、パスタの茹で汁を絡めればほぼうまくいきます。水だとうまく行かないのが妙に化け学な感じ(小麦粉成分でチーズを乳化させるようです)。
参考情報:
Wikipedia --- カチョエペペ
https://bit.ly/3auCS4S
Bacchette e Pomodoro--- 本格カチョ・エ・ぺペ
https://bacchetteepomodoro.com/ja/cacio-e-pepe/
レシピ:
【パスタ】
・スパゲティーニ(リングイネなど太いのでもアリ)
・塩 カレースプーンで大さじ1杯くらい(茹で汁に入れる)
【ソース】
・チーズ いっぱい(ペコリーノ・ロマーノかパルミジャーノ)
・黒胡椒 いっぱい
・青野菜 アスパラ、ニラなどすきなもの
・きのこ ブラウンマッシュルーム、舞茸など好きなもの
・オリーブオイル 適量
・白ワイン 適量
まず、本来具はいりませんが、素パスタだと手抜きと思われるので最初はなにか入れときましょう。この間、テレビで茨城のニラ農家の方がニラと挽き肉のカチョエペペを紹介してたので作ってみたらメチャうまかったです。食べごたえもあるのでお子さんがいる方はこれがいいかも。今回はアスパラとマッシュルームでやります。なぜなら、冷蔵庫に余ってたから。
まず、お湯を沸かしましょう。できればパスタ用の寸胴がベストですが、大きめの鍋なら何でも良し。沸かしてる間に野菜を刻んだりチーズをおろしたりの仕込みをしましょう。
まず、マッシュルームをスライスします。石づきは捨てず、刻んで使います。コクも出るし、歯ごたえ要員にもなります。
次いでアスパラ切ります。斜め切りが熱の通りも見栄え的にも無難。
そうしてる間にお湯が沸き始めてるのでパスタ投入。
この時のポイントは、多めの塩を投入して茹でること。目安は寸胴ならカレースプーン大さじ1杯。普通の手持ち鍋ならすりきり1杯くらい。パスタ全般に言えることですが、茹で塩で麺に塩気をつけるのと、麺にコシをもたせる意味があるそうです。昔バイト先のシェフが言ってました。なので、塩気のベースは麺でつくり、ソースに塩気は入れないのがイタメシ屋のスタンダードだそうで。ただし、レトルトのソースには塩気がついてますので、レトルトを使う場合は塩を少なめにしましょう。
んで、今回はこの麺。
リングイネです。平麺気味の太麺です。本来スパゲティーニを使うみたいですが、太いほうがチーズものにはバランスが良い気がします。細いとソースが絡みすぎてイマイチ。ちなみに僕はBarilla派です。理由はスキー部時代のアイドルだったアルベルト・トンバの個人スポンサーだったから。
はい。マニアックでどうでもいい話ですな。スルーしてください。
リングイネだと大体10分ですが僕は8分くらいで上げちゃいます。ソースと絡めている間に火が通って茹ですぎっぽくなってしまうので。やっぱりアルデンテがうまい。
茹でている8分の間にチーズソース作ります。できればペコリーノ・ロマーノの塊チーズを買ってきて、卸金でおろします。これがまた結構売っていないので、ない場合はパルミジャーノでOK。
左がペコリーノ・ロマーノ。近所のおしゃれ食材屋で入手。普通のスーパーには売ってないし、なかなかのお値段(150g 1500円くらい)です。でも、羊系の濃厚さがあってワインのアテにも最高なので買って損なし。
で、このチーズを卸金でおろして、ボールに入れます。
チーズ用のおろし金(チーズグレーター)があればベストなんでしょうが、普通持ってないですよ。日本伝統のこれで十分かと。で、50gくらいはおろしときましょう。
こいつに、パスタの茹で汁をお玉3−4杯くらい投入して撹拌します。茹で汁の塩気と、チーズが既に持ってる塩気でちょうどよい感じになります。
とろっとしてきたら黒胡椒投入。結構多めに入れときましょう。カチョエペペは原則、黒胡椒とチーズのみ。胡椒味の輪郭がないと個性が出ません。個人的な見解ですが。
可能な限りミルタイプの粗挽きにしましょう。テーブルコショーだと風味が全然変わります。まじで。胡椒ミルが無ければ、東急ストアあたりに行けばこんなのが売ってます。
実はこれ、赤白黒がブレンドされたやつですが、黒胡椒単体をおすすめします。作る時、家にこれしか無かっただけです。赤胡椒は味が尖っててうまいんですが、チーズクリームだと硬さが目立つ感じがします。黒単体で作ったときのほうがおいしかった。
そして、フライパンにオリーブオイルを引き、最初に刻んでおいた野菜を投入。ざっと火が通ったら、一旦避けておきます。歯ごたえ残したいので。
炒めてる間にパスタが茹で上がるはず(スマホでタイマーセットしときましょう)なので、湯切してフライパンに投入、先程のチーズソースと絡めます。
この時、もう一度茹で汁をお玉で1−2杯掛けてあげて、ざっとチーズを絡めます。時間にして30秒〜1分程度。やりすぎるとチーズが焦げたり固まります。茹で汁はクリーミーさを作るだけでなく、フライパン温度を下げてくれます。お好みで白ワインで香り付けですが、なくてもいいです。
手早く麺をお皿に盛り付け、さっき避けておいた野菜を盛り付けて完成です。お好みで追いチーズと追い胡椒を。
カチョ・エ・ペペはチーズが重たそうに見えますが、胡椒のおかげでかなりスッキリと食べられます。卵やベーコン(正確には豚の塩漬け=パンチェッタ)が入るカルボナーラよりも全然軽いですね。先述のように、ニラと挽き肉もかなりうまいですが、やや重くなります。おそらく、ネギとかエリンギでもうまい。ちなみにワインとかなり合いますので、ディナーのシメにはもってこいかと。
野菜きざみに5分、茹でと平行でチーズソース作りと野菜炒めに10分。盛り付け入れても20分くらいでできますね。おためしあれ。
健康で文化的な最低限度のおっさんが一人でも増えますように。