クマゼミの夏
すーっと水がしみ込んでいきます。
「たっぷりと、やっておこう」
赤いサルビアが、咲いています。ヘチマも、弦を伸ばしてきました。
重要な任務の一つ、水やりです。
今日は、学校に来ています。
お盆の休みとはいえ、定期的に学校に来るのです。
教頭と校長が、交代です。教室のある棟を歩いて回ります。
「やめておこうか…」と思いましたが、やっぱり3階まで上がります。締め切った廊下は、蒸し風呂状態です。
「クーラーのない時代は、こんなに暑かったっけ」
「そもそも、夏休みでしたけどね」
そんなことを考えます。
スニーカーを手に持っているので、外に出てみます。そして、校舎周りを歩き、見上げます。
「今日も、雨はなさそうだな」
校長室は、あらかじめクーラーをつけておいたので、しばし休憩です。
「そうそう、メダカさん」
「あまり餌をやり過ぎると、水が濁るな」
水面に広がった、細かい粒をめがけて、メダカさんがやっています。
「お腹すいていたかな。ごめん、ごめん」
郵便物とメールをチェックして、ひっそりとした学校を後にしました。
とある、お盆の早朝です。
クマゼミが、夏を惜しむようにひとしきり鳴いています。
☆夏にちなんだ記事です。よろしければ、ご覧になってください。