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タンポポ
4月下旬、寒さがぶり返した朝のことです。
「手に持っているものは、何だろう。」
タンポポの茎のようです。先は白くて、丸い形をしています。
その子は、私の前を通り過ぎるタイミングで、「ふっ」と息を吹きかけました。そして、ふわふわっと空に向かって飛んでいきました。
「あれ。綿毛の季節は今だっけ?」
なんとなく春先のイメージがあり、つくしやふきのとうと同じ頃だと思い込んでいたので、不思議な気持ちになりました。
「朝のあいさつ」の後、校長室に戻り、ネットで検索します。
そうか、この時期でよかったんだ。おまけに、種ができるまでの経過やタンポポの花言葉なんか、すぐに調べられます。この時代、すごく便利だな。
午後になり、気になって校舎の周りを歩いてみました。こんなに、タンポポってあったんだ!2日に一度は通るはずの体育館の裏側など、あちらこちらに、綿毛を飛ばす準備ができているのです。
見ているようで、見えていなかった景色。気づいているようで、気づけなかった物事。そんなこと、他にもあるかもしれませんね。
一人の子どもに気づかせてもらいました。
来年は、どこで花を咲かせるのでしょうか…
【2023年5月8日 初出】