<読書>大人は泣かないと思っていた
・大人は泣かないと思っていた 著者:寺地はるな
まず登場するのは、時田翼。
翼は、32才、未婚、父親と二人暮らし。
地方在住、農協勤務。
地方の市に在住して、地元に勤務しているので、関わる人たちも子どもの頃から地元に住み続けている人たちです。
『大人は泣かないと思っていた』は短編集なのですが、短編の主人公や登場人物は、翼の知り合いです。
翼の父、翼の友人の鉄腕、翼のお隣さんの孫のレモン、翼の職場の同僚たちは、皆同じ地域に家族と住んでいて、知り合いで、お互いの家庭の事情なども何となく知っていたりします。
みんな仲良しという訳でもなく、家族で少々もめていたりするけれど、何とか生活しているという、その様子がリアルでした。
短編ごとに主人公が変わり、物語の語り手が変わると、人間関係が異なって見えてきて、興味深かったです。
翼もその周辺の登場人物も、それぞれ事情を抱えて生活しています。
そして、その地域から離れていった翼の母の目線も興味深いです。
日常的に関わる人にもそれぞれ事情がある、という基本的なことを思い出させてくれる作品でした。
翼やその他の登場人物は、珍しい人ではなく、読者の周辺に存在しそうな人たちばかりです。
そして、そこで起こる小さな事件も、身近にありそうな話です。
しかし、その小さな事件を乗り越えて、皆生活しているのです。
私もその一人だと感じます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
寺地はるなさんの作品は、2023年の本屋大賞にもノミネートされていますね。
他の著作も読んでみたいと思います。
私K.Kからのごあいさつです↓↓↓
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