〈読書〉シェニール織とか黄肉のメロンとか
久しぶりに江國香織作品を読みました。
・シェニール織とか黄肉のメロンとか 著者:江國 香織
3人の50代の女性が主人公です。
読み始めると、主人公たちやその家族や親戚や知り合いたちの日常が迫ってきます。
本当に様々な人の日常が読者の前で展開されていきます。
それぞれの人の細々とした日常に圧倒されているうちに、話が進んでいくのです。
ルーティンになっている細々とした雑務をこなしながら、登場人物たちの日々が過ぎていく。
それは、私も同じです。
何気ない、いつもと同じ日が続くように見えるけれど、少しずつ変化していく状況。
他人の日常を読むのは、つまらない、退屈だ、面倒だ、と思う人もいるでしょう。
しかし、『シェニール織とか黄肉のメロンとか』の登場人物たちのように、単調だけどわりと平穏な日常を過ごしている人は多いはずです。
小さな決断をしたり、よい変化を感じ取ったり、ささやかな喜びを見つけたりできると、単調な日常も豊かになる。
あとは、身近な人との良好な関係は大切。
その様なことをしみじみ感じた作品でした。
今回、久しぶりに江國香織作品を読んだきっかけは、娘でした。
高校の定期テストに出題された作品が、すごくいい話だったとのこと。
「犬の話なんだけど、知ってる?」
と娘にきかれて、
江國香織の『デューク』だと確信しました。
娘が持ち帰った問題用紙を読ませてもらって、『デューク』と再会しました。
江國香織作品を最初に読んだのは20年以上前でした。
『きらきらひかる』がよかったので、短編集を数冊読んだ記憶があります。
『デューク』は短編集に収められている作品ですが、とても印象的でした。
『デューク』は、試験に出題されやすい作品とも言われているようですが、私は好きな作品です。
江國香織作品は都会的で、大人で、さらっとしているという印象でした。
私が読んだ作品は、どれもさりげないのですが、印象に残る場面や、言葉がいくつかありました。
そして、心の中に沈んでいたはずのその場面が、ある時、ふとよみがえってきたりします。
久しぶりに読んだ『デューク』も、やはり記憶していた通りいい話でした。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
私K.Kからのごあいさつです↓↓↓