<読書>星を掬う
今年(2022年)も町田そのこさんの著作が本屋大賞にノミネートされています。
・星を掬う 著者:町田そのこ
千鶴の母親は、子どもの頃、千鶴をおいて出ていきました。
その後、父や祖母をなくし、一人になってしまった千鶴。
結婚生活も上手くいかず、離婚したものの、元夫の弥一のDVをうけ続けています。
ある日、母との思い出をラジオ番組に投稿し、それがきっかけで、行方が分からなかった母とその同居人たちと繋がることになります。
そして、心も体も傷ついた千鶴は、母・聖子や同居人の綾子、恵真と、母の持ち家・さざめきハウスで生活を始めます。
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千鶴の心の傷はなかなか癒えません。
優しい彩子や恵真も心に深い傷を負っています。
自身も苦しいのに、自身の傷も癒えていないのに、千鶴の味方に、理解者になろうとする彩子や恵真の姿勢には心を動かされました。
しかし、傷を負った人は素直にはなれません。
ぶつかり合いながら、お互いを認め、許し、共同生活をしていきます。
その様子は、人と人とが理解し合う難しさを改めて考えさせられる内容です。
きれいごとでは済まないのだな、と重い気持ちになりました。
しかし、話の終盤で、かつて千鶴をおいて、出ていった母・聖子が、千鶴を忘れたのではなく、心の底でずっと想っていたいたことが明らかになります。
聖子は、千鶴を置いてきたことを、後悔したり、仕方がなかったと思ったりしていたようです。
長年、千鶴を想いながらも、葛藤があったのでしょう。
親子の難しさを感じる内容です。
しかし、親子関係の難しさも乗り越え、自分の弱さを親や育ちのせいにせず、辛くても自身で受け止めることで、前に勧めるということが描かれています。
千鶴、聖子、彩子、恵真、それぞれが抱える過去は重く、読んでいて苦しくなります。
しかし、過去に辛い事があっても、希望があるということが感じられました。
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著者の作品からは、弱者に寄り添おうとする想いが感じられます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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