見出し画像

【私の仕事】 忘備録(20)防衛省担当営業マン


前記事【私の仕事】 忘備録(19)「他社」とはどこの会社?のつづきです。

◆この記事の内容

初めて防衛省の営業担当になったときのことを書いています。


焦る気持ち

コスト低減に成功し、会社に利益をもたらしたのは事実だが、それは一時的なもの。最終的には裁判沙汰になり、顧問弁護士との打ち合わせや説明資料作成や、他部署との対策会議など、本来の仕事以上にやることが増え、余計なコストがかかった。

つまり、失敗したのだ。やらないほうがよかったのである。

画像6

サラリーマンとしては当然ながら焦ってくる。会社で単なる仕事ミスをしました。。のレベルではない。プロジェクト案件で失敗しているのだ。

画像7

次の大きな仕事で挽回しなければ。。と悶々としている頃、

人事異動で、以前自分の上司だった人、Mさんが、同じ部署にきた。そして、自分の直の上司になった。この人は係長から課長、次長、まで出世は早かった。次は部長、執行役員だか、同期には完全に抜かれていた。彼自身、とっても焦っているのが僕にはわかった。

日々のルーティン業務をほとんどしないで、大きな案件ばかり狙っていた。もともと目立つのが好きで一般釣りをするタイプだ。あまり好きな上司ではなかったが、自分自身も前回の仕事における失敗で何かの案件で挽回を。。。と焦っていた。

ここあたりはその上司と同じ気持ちだった。そのため、業務時間中によく打ち合わせをした。会社帰りにも対策会議と称して、飲みながら仕事のことをよく話した。お互いアイデアや意見も出した。


画像1


酔っ払いながらの対策会議

僕はお酒を飲まない。飲めない体質。その上司、Mさんはお酒が大好き。ビールから始まり、焼酎、最後は日本酒と。。。ピッチが早い。ぐてんぐてんに酔っ払うまで飲む。「鼻血」が出たら終了の合図だ。

だから最初の15分くらいが密のある打ち合わせだ。Mさんは海外駐在も長く、様々な資格や経験を持ってた。ちょっとした話を聞くだけでも、当時まだ経験不足の自分にはとても勉強になった。

僕は第一印象が苦手な人だと感じた場合は、積極的に深く関わろうとしない性格だった。でも現在はそう思ってもコミュニケーションを積極的にとるようにしている。自分の場合は、こちらが誤解や思い込みをしている場合が多い。

後でとても仲良くなり信頼関係を築く場合もある。もちろん、その逆もある。

画像2


防衛省案件

そんな上司、Mさんと僕の二人だけの作戦会議を日々していた頃、自分たちの海外事業の部署ではないが、国内営業本部が担当する防衛省の大きな機材調達案件があった。入札金額はかなり大きな金額になる。

本来、国内営業部が、日本国内で機材を調達し防衛省に収めるのだか、今回は大きな入札。その入札に参加する会社はこちらがよく知っている日本の専門商社、3社。

防衛省の場合、案件の規模に応じて各入札に参加できる会社は最初から決まっている。自分の会社を併せて4社の競争となる。当然だが入札は提示した最低金額の会社に落札する。

自社以外の3社は既に「話し合い」がきているようだ。以前、こちらの会社から転職した人が競合他社にいるので、ある方法を使って情報を抜いている。

しかし、その情報が本当かどう疑う必要もあった。大きな金額の入札では、寝返ることもしばしばあった。これより以前に中規模な入札で裏切られて落札できなかったことがあった。

画像3


再びF社登場

情報の信憑性を確認するために、競合他社が取引するD国やO国のメーカーへ既に、日本の防衛省で大きな機材入札があることを聞いているかどうか、既に材料を手配を初めているかなどの情報をとるために短期海外出張した。

このあたりは時間と経費がかかっても仕方ない。メールや電話は証拠が残るし、こちらの情報や行動が洩れる場合があるからだ。

また、例えば、D国やO国に行っても、自分が動くことはない。現地のホテルを借り切って、防衛庁の案件とは関係のない会社にその「調査を依頼する。そんな芸当、三味線をひけるのは、あの「F」社だけだ。

画像8

もちろんそ、んな簡単に重要な情報はとれない。相手が話すわけがない。そのメーカーの下請け、孫請けまで訪問し、もうすでに材料の確保や納入が完了状態なのか、工場の活気はどのくらいか、非正社員から聞きだしたり、どんな小さな情報でも集めるようF社に指示した。


画像5


サービス残業

そして数時間ごとに情報をまとめて日本にいる上司の自宅へ報告する。国によって10から12時間の時差がああるので、こちらが昼ならは日本は夜。もちろん就業時間外だ。こちらも通常の給料や出張費、経費は当然ながら会社から出るが、時間外勤務の分はつけることができないので、サービス残業だ。

通常の営業活動の名目として海外出張していることになっているので、もし、この分の残業代を申請すると、総務部、経理部から質問され、自社内でも自分の動きが洩れてしまう。身内から漏れないようにしないと。。

画像4

入札の納入期限はその年の年度末、3月末だ。官報での入札公示は2月14日。


【私の仕事】 忘備録(21)【入札】 仲良く相談して入れましょう  へつづく。。。




*このnoteで書いてある記事はすべて実話です。「忘備録」として自分のために書いています。

◆ご注意:一部の記事はnoteのシステムによって18歳以上向けに分類されていますが、すべて18歳以上向けです。

よい子の皆さまは読まないでくださいね。