【私の仕事】 忘備録(97)中国整体店のママさんからの特命
◆この記事の内容:
整体店の中国人ママさんから特別なお願いをされたことを書いています。
【私の仕事】 忘備録(96)中国整体店のママと不動産調査デート からのつづきです。
ママさんの身の上話
整体店の中国人ママさんは、日本で長年暮らしているが、仕事以外のことをする余裕がなかった。そのママさんの身の上話を長い時間、聞かされた。内容はシンプル。自分の整体の仕事、そして自分の店以外のことは何も知らないということ。
若いときに日本に来て以来、整体店やエステ店で働き、経験を積んで技術を学び、今度は自分が店を経営するようになって約20年。
真面目にずっと仕事だけをやってきた。子供を育てながら家とエステ店との往復。「仕事」以外のことは何も知らない。借金もあったので、家族で旅行に出かける余裕もなかったらしい。自分自身も「遊ぶ」ために、どこかへ出かけたこともない。
ママ:「一度、夜に、常連さんに食事に誘われたことがあったのよ。自分には旦那もいるし、どうしようかなと思ったけど、もう何年も来てくれるお客さんだし、まあいいかなと思って、誘いを受けたのよ。」
僕:「で、どこに食べにいったの?北?(大阪の梅田のこと)」
ママ:「それがね。その常連さんから「ミナミで待ってるから」って電話がかかってきたの。」
僕:「あぁ、道頓堀か。」
ママ:「でもね、ミナミってどこか分からないから。ミナミってどこですか?って聞いたら、わたしが常連さんをバカにしたと思われて。。変な感じなって。。。 結局行けなかったのよ。そのくらい、仕事以外のことは何も知らなかったのよ。」
僕:「そういえば、この前、一緒に自転車で心斎橋の美容機器の商社に行くとき、iPhoneで地図出して必死で場所、調べてたもんな。。。」
このときの様子は【私の仕事】 忘備録(55)ママさんと痩身機器の調査 をご参照ください👇
ママ:「そうよ。だから、こうやって今日、通天閣に来るだけでも楽しいの。」
新世界稲荷神社のルーレットおみくじ
僕:「ふ~ん。せっかくやから、「新世界稲荷神社」に、石のルーレットおもみくじがあるよ。そこ寄ろうか?通天閣から近いし。たぶん、知らんやろ?」
ママ:「なにそれ?」
僕:「じゃ、行こう、稲荷さんは商売の神様やから。」
円形の回転板を回して出た数字のお神籤が左の石版に書かれています👇
ママさんは、「一番」が出るまで何回も石のルーレットを回していた。
新世界稲荷神社で西成らしさを表すのが、
手水舎(参拝者が身を浄めるために手水を使うところ)に「ここで物を洗わないこと」と書かれた札が。
僕は神社巡りが趣味なのでいろんな神社を参拝するが、こんな注意書きはなかなか珍しい。
洗濯ダメ!
もっとびっくりしたのは「浪速神社」。この神社の手水舎で「洗濯」をしている男の人を見たことがある。これほどびっくりしたことはない。
手水舎は禊(みそぎ)と同じように水で清めるための場所。そこで物を洗ってはダメ。「洗濯」なんて絶対ダメ!
禊(みそぎ)とは。。。
現在はコロナの影響で感染予防のために手水舎から水を抜き、「花手水」を入れるところもある。
なんばでナンパ?
さて、「新世界稲荷神社」で一番が出るまでルーレットを回し続け、ママさんは非常に満足した。稲荷神社は商売の神様だから。
神社参拝の帰りに、ママさんが面白い話を始めた。
ママ:「あたしね、JRなんば駅のプラットホームで電車を待ってたのよ。そしたら、70歳くらいの男の人に声をかけられたの。」
僕:「ナンパってこと?プラットホームで?」
ママ:「そう、『あなたみたいな綺麗な方と出会えてうれしい。』って。」
僕:「いきなり言ってきたの?ヤバイおじいさんやな。」
ママ:「それがね、すごくダンディで、お金持ちなのよ。」
僕:「なんで金持ちってわかる?」
ママ:「信貴山で旅館を経営してるんだって。そのオーナーさん。」
僕:「えっ!信貴山? そのおっさん、知ってるわ、たぶん。背、高いやろ? ハンサムなおっさんやろ?」
ママ:「知り合い?」
僕:「まぁね。あのおっさん、土地ころがしや。いっぱい物件持ってるよ。若い時、極道やってたらしい。そう本人が言ってた。たぶんハッタリやろうけど。」
ママ:「ころがし・・? ゴクドウってなに?」
僕:「まさか、電話番号教えてへんやろ?」
ママ:「教えてないよ。」
僕:「ああ、よかった。それにしても、あのおっさん、元気やな。電車のホームで女、ひっかけるか。。さすがやな。」
このおっさんは、仕事上何かトラブルがあったときのために先輩を通して、以前に紹介してもらった。前科もいくつかあり、極道ではないんだけど、僕としてはこの人とはちょっと距離を置いている。
ママの好物?柿の葉寿司
ママ:「ねぇ、信貴山って奈良でしょ。わたし、柿の葉寿司食べたい。」
僕:「柿の葉寿司ってよく知ってるね。好きなの?」
ママ:「食べたことないよ。だから食べてみたい。」
僕:「そんなん聞くと、かわいそうやな。上本町の近鉄百貨店で買ってきてあげる。」
ママ:「違う。奈良に行って、食べたいの。一回食べたら気が済むから。」
柿の葉寿司は、やっぱり、奈良の吉野。でも、この前、台湾人のママと吉野に旅行したしなぁ。なんか、また同じところに行くの嫌だなぁ。。
僕:「あのさ、近鉄奈良駅の商店街に確か有名な柿の葉寿司の店があったと思う。そこに行こう。それで、奈良公園にでも行って鹿を見ようか。」
ママ:「わたし、鹿、嫌い。」
僕:「そうか、嫌いか。。奈良で鹿は神様やぞ。まあ、いいわ、じゃ、今度、一緒に柿の葉寿司だけ食べに行こう。」
ママ:「朝に行って、昼に店に帰れる?」
僕:「なんで? 一日、お店休んだらいいやん?」
ママ:「ダメよ。お店休むなんて。」
僕:「わかったよ。じゃ、難波から近鉄特急で行こう。お店が10時から開いてたら、すぐ食べて、昼には戻ってこれるやろ。。。でも午後1時は過ぎるで。」
ママからの特命
ママ:「やった!楽しみ。誰も私の言う通りにしてくれないの。」
僕:「あなたの”特命”に従う日本人は俺だけだと思うよ。世の中で。」
ママ:「特命じゃないよ。」
僕:「特命って言葉知ってるの?」
ママ:「知ってるわよ。TV番組で聞いた」
TV? おそらく、「相棒」の警視庁特命捜査官のことだと思う。
ママにバレているKちゃんのこと
ママ:「あなた、最近はKちゃんと会ってないの?」
僕:「げっ!なんでK店(韓国アカスリ店)のこと知ってんの?」
ママ:「なんでも知ってるわよ。Kちゃん、美人だからね~。」
くそっ、ほんとに狭いな。この業界は。考えてみれば当たり前かもしれない。ママさんの店とKちゃんの店との距離は、自転車で10分程度。
ここでママさんに嘘をついても仕方ないので、
僕:「最初の頃は毎日、K店に行ってたよ。手伝った後、そのまま店に泊まったりしてた。最近はもう行ってないよ。本当に。行ってないから、あなたとこうやって一緒に会ってるやんか。」
焦って、聞かれてないことまでしゃべってしまった。。。
ママ:「ふ~ん。。K店は儲かってるの?お客さん多い?」
僕:「あそこは、儲かっても、儲からなくてもいいんや。Kちゃんには金持ちのおっさんが後ろにいるから大丈夫。」
ママ:「ふ~ん、いいわね。Kちゃん、美人やもんねぇ。」
僕:「両親もすごい金持ち。元々、お嬢さんや。お金には困らないと思うよ。」
ママ:「ふ~ん。。。いいわねぇ。。。」
3つの仕事
ママ:「ねぇ、柿の葉寿司、いつ行く?明日は?」
僕:「明日か。。ちょっと待って。前に言ったよね。俺、広告の仕事だけやってるんと違うんやで。貿易業務サポートとネームプレート制作の仕事もやってる。神社からもプレートの注文を貰うようになったんや。けっこう忙しい。でも、俺一緒に行きたいから。。。調整してラインで連絡するよ。」
実際のところ、仕事は忙しくなってきていた。顧問が業者さんを紹介してくれたり、お客から注文をとってくれたりした。プレート制作については自分は商社の立場。納期を自分で調整できないため難しい点もある。
ただ、値引き要請をしないお客さんを先に選んで営業をかけているので、利益率は良い。この調子ならなんとかやっていけそうだ。
。。。。。と思っていた。これはコロナウイルスが流行する数か月前の出来事。
この後、コロナが日本でも一挙に流行した。ママさんの整体・エステの仕事も影響を受け、お客さんは激減した。ママさんは、もう柿の葉寿司のことを言わなくなった。
僕の方も整体店やエステ店からのホームページ制作の注文もすべてキャンセルになった。
それから4月、一旦、コロナは収まったかな?という状況になったとき、売上を挽回するために「タイ式マッサージ店」へ営業拡大をした。
【私の仕事】 忘備録(98)タイマッサージ店へ営業拡大とIT社長 へつづく。。
*このnoteで書いてある記事はすべて実話です。「忘備録」として自分のために書いています。
◆ご注意:一部の記事はnoteのシステムによって18歳以上向けに分類されていますが、すべて18歳以上向けです。
よい子の皆さまは読まないでくださいね。