「周りと違う」っておかしいこと?
こんにちは、絵本「かぞくです」著者のジェニーです。
この記事では私の生まれ育った家庭や環境について、そして多様な家族をテーマにした絵本「かぞくです」を作ろうと思ったきっかけについて書きたいと思います。
生まれ育った家庭
私には、日本人の母とアメリカ人の父、5つ年上の兄がいます。
今もとても仲が良い家族です。
母は専業主婦で、ずっと家族全員の生活のサポートをしてくれていました。
父は長時間労働や夜勤もある企業で働いていましたが、家にいられる時間は
すべて家族のために使ってくれました。
兄は小さい時は私をからかって遊ぶいやなやつだと思っていましたが、
大人になってからはとても頼りになる、優しい、尊敬できる人です。
私はこの家庭で、愛され、お金にも不自由せず、すくすくと育ちました。
本当に恵まれていたなぁ。。と大人になって振り返るたびに思います。
ひとつだけ周りと違ったのは、私の見た目です。
ミックスルーツを持つ私は、小学校でも中学校でも高校でも、
学年に1人だけいる、見るだけでわかる”ハーフの女の子”でした。
周りと違う? ハーフの女の子
見た目が周りと少し違う。この1点だけで、様々なことが起こります。
「ハーフだから」と母の意向で3歳からモデル事務所に所属させられる。
4年生の時に転校した先の小学校で一時的に人気者になったのち、見た目の違いから無視などされる。
中学の服装チェックで、生まれ持った茶髪を指摘されたのち、「ハーフだから」と許される。
初めて会った人に、「英語しゃべってみてよ」と無邪気に頼まれる。人生で少なくとも30回ほどは出会ったシチュエーション。
見た目が周りと違わなかったら?同じことが起きるでしょうか?
これらの経験を通して、私は「周りと違う」ことに慣れていきます。
日本社会では「周りと違う」ことで除け者にされることがある。
逆にもとから「周りと違う」ことで期待通りじゃなくても受け入れられることもある。特別扱いされることだってある。
どちらにしても「周りと違う」ことは特殊な受け止め方をされるんだな。
日本ではなるべく「みんなと一緒」なほうが、相手が安心してくれて「出る杭が打たれる」ことなく平和に過ごせるんだな。
もうひとつの「周りとの違い」
中学生の時、もうひとつの「周りとの違い」に気が付きます。
「同級生の女の子を好きになっちゃったかも。」
どうしよう。
そういう人がいることは知っているけど。。
まさか自分が?女の人は男の人を好きになるものなのに?
みんなと違う。隠さなくちゃ。
目にする小説、漫画、ドラマ、映画、テレビ、どこをみても、女性が好きになる女性はほどんど出ていませんでした。
出てきたとしても馬鹿にされたり、苦しそうだったり、恋を諦めなくちゃいけなかったり。。。幸せな結末を迎えることはありませんでした。
結果、私は幸せになることはないんだろうな、と考えましたし、「みんなと同じ」が平和だと知っていたので、はじめに出てくる選択肢は「隠す」ことでした。
見た目ではわからないから、ハーフであることと違って隠すのが簡単でラッキー!なんてことまで思っていました。
家族にも、友人にも、自分自身にさえ女性が好きな女性であることを隠し続けて10年。SNSが普及し始め、他の人の生活を覗き見ることができるようになったとき、私にとって大きな転機が訪れました。
女性が好きだと公表している日本のある方のアカウントで、女性2人で結婚式をあげた報告のツイートが目に入ったのです。
ウエディングドレスが二つ並んでいて、お二人も、その周りのみなさんも、とてもとても幸せそうな表情をしていました。
あ、女の人が好きでも幸せになれるんだ。私も幸せになっていいんだ。
ものすごくホッとして、前向きになれたことを覚えています。
家族や友人に隠すことをやめ、女性が好きな女性であることをオープンにしました。
すっごく心が軽くなりました。自分らしくいられるようになり、今まで気がつかない間にとても苦しんでいたんだな、と自分に申し訳なく思いました。
はじめから隠さないでいられてたら。。。
自分で選び取った新しい家族
前向きになって一緒に暮らしていきたい相手を探した結果、いまのパートナーのなるちゃんと出会いました。
なるちゃんと一緒になることを決めて、結婚式を挙げたいねという話になったとき、「YouTubeを通してみんなに届けたい」とわがままを言いました。
私がホッとした時と同じように、どこかで悩んでしまっている次の世代の誰かに、幸せな姿を届けられるように。
なるちゃんも私の願いに共感してくれてYouTubeで生配信をした結婚式。
家族にも友人にも本当にあったかく祝われて、最高の1日を過ごしました。
新しく家族が増えたこの写真はお気に入りです。
なぜ絵本をつくるのか
今はとても幸せに生活している私ですが、振り返ってみると、もっと多様性を受け入れる社会で育ったら、もっと早く女の人同士でも幸せに生きる姿を目にしていたら、苦しいことが少なかったのではないか、もっと早く幸せにたどり着けていたのではないか。。。と考えてしまいます。
そして、身近な親戚の元に生まれてくる赤ちゃんと触れ合ったり、なるちゃんと一緒に子どもを迎えて育てたいねという話をするたびに、次の世代の子どもたちには自分と同じ思いはしてほしくない、と強く感じるのです。
なるちゃんも同じ思いを持っていて、話すうちに、自分たちで絵本を作るのはどうだろう?と思いつきました。
「みんなと同じ」の日本社会で生活してきた大人の考え方を変えるのは簡単なことではないかもしれない。でも、子どもたちだったらどうだろう?
多様性を多様性のまま受け入れる社会を作るには、まだ考え方が柔軟な子どものうちから多様性を目にすることが重要なのではないか。
さらに絵本だったら、読み聞かせをする親世代の目に触れることもできる。メインは子どもたちへのメッセージだけど、親世代の意識も同時に少しでも変えることができたら、より早く多様性を受け入れられる社会に近づくのではないか。
この思いからつくった絵本「かぞくです」が、多くのこどもたちの目に触れることを願っています。
小さい時の私のように、自分と周りの違いに戸惑う子たちへ。
自分と違いを持った子がいたら、おかしいと思ってしまう子たちへ。
ミックスルーツを持っている子も、女性を好きな女性だと気づいちゃった子も、隠さなくって大丈夫。頑張って「みんなと同じ」にならなくていいんだよ。自分らしさを貫いていいんだよ。
世の中には、こんなにたくさん、多様な家族がもう存在しているんだから。
最後に
6月下旬から、絵本「かぞくです」の出版に向けてクラウドファンディングをする予定です。
情報は下記のSNSでも更新していきますので、ぜひあわせてチェックしてみてくださいね。
【絵本「かぞくです」アカウントまとめ】
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