木村花選手とSNSについて

SNS上の誹謗中傷が原因で不幸な事件が起きてしまった（原因の真相は分かりませんが）テラスハウスを見ておらず、木村花さんも今回初めて知ったのですが、自分なりに思ったことを書いてみたいと思います。

この事件はいろいろな要素があると思うんだけど、日本人は、外面が良い、奥ゆかしい、本音より建前、周りの目を気にする、臭い物には蓋をする、異常な潔癖性、公共の場で他人との摩擦を避ける、といった国民性も関係してると思うんだよね。

中国人が日本に来てビックリしたことは「喧嘩をしている人がいない」という話がある。日本人は声を荒げたり、揉めたくないからその場では我慢して、後で陰口を言ったり、その店のホームページやブログ、SNSに書きこんだりすることが海外に比べて多いように思う。欧米人は特に自分の感情を表に出す事をためらわないし、ハッキリと自己主張をする。

一方、日本人は自分の感情を素直に表に出す事は良しとしない風潮がある。うれしさも怒りも飲み込む事が美しいという美意識がある。だから表立って波風を立てる事を嫌がり、全てがキレイに整った社会を好む。（1分も遅れない電車、ゴミがこれほど落ちていない国は世界でもめずらしい）街の外観的にも他人との関わり合いでも良く言えば「キレイ好き」悪く言えば「異常な潔癖性」だ。海外で外国人が「日本人は感情表現が乏しく何を考えているのか分からない」という話はこの美意識と関係しているのだろう。

これは良い悪いではなく日本人の国民性であり美意識、文化だと思う。試合で勝っても喜びを前面に出すのは下品と思われたり。理不尽な事があっても我慢して文句を言わない。（欧米人とは正反対の性格かもしれない）公共の場で他人と摩擦を起こすのは上品ではないと考える。ただ、この性格のおかげで、スポーツではフェアプレーだし、欧米のようにスポーツでも国でも頻繁に衝突し、喧嘩することを防いでいるのかもしれない。

しかし、我慢強い日本人でも当然人間だからイライラ、ストレスの感情が溜まる。それをどこで発散するかというと、家庭だったり、仲間内の飲み会だったり、SNSだったりする。日常生活で文句を言わない日本人のSNSは「匿名」という事もあり、より発言が「過激」になるような気がする。

会社の同僚や友人、家族の誰かを攻撃するよりも芸能人を攻撃する方が簡単だし、自分にダメージがない。最近は会社も学校もコンプライアンスが厳しいからむやみに誰かを攻撃出来ない。もちろん道を歩いている他人に罵声を浴びせるなんて事は出来ない。SNSで一般人を攻撃すると反撃がくる恐れがある。結局、一番手っ取り早いストレス解消法が「SNSで芸能人」という結論になる。もしその人がお金に困っていれば、比較的裕福な芸能人を妬む気持ちも同時にあるのかもしれない。

日本人は真面目だからテレビ番組の「ヤラセ」といった些細な部分にも非常にこだわる。バラエティーのゲームやらドッキリだとか、そこまであからさまでなければ「ただのフィクション」なので自分は気にしないが、中には細部まで清廉潔白じゃないと絶対に許さないという人がいて、時々それで番組が炎上する。（テラスハウスにしたってバラエティー番組だ。テレビ番組で演出も編集もないのは生中継のスポーツと夏祭りくらいだろう。それだって、片方のチームを意図的に長く映したりして製作側の意向が入る）

SNSも一部の外国人は、そこまで真面目に向き合っていないという。（匿名制でどこの誰だか分からない人が書いているのでそれも当然だろう。著名人は別として）新型コロナの情報もSNSではなく、友人や家族、信頼出来る新聞などから入手し、SNSから自分の安全に関わる情報を入手する事はないという意見もある。（もちろん全員ではないが日本人よりSNSに対する信用度は低いのではないか。半分遊び感覚ということか）

それに比べて日本人はSNSにも真面目に向き合い、本気でリプしたり、リプされた事を深刻に受け止めて吸収してしまう傾向が強いように思う。リプを送る方もマジで、リプを受ける方もマジなのだ。軽く流すことが出来ない。

つまり今回の事件は、不倫で芸能人を叩くように「芸能人を集団攻撃する日本人の国民性」と「日本人のテレビ番組への向き合い方」「日本人のSNSへの向き合い方」の3点が関連しているように思える。

人間は聖人君子ではないので他人をほめるリプだけではなく、他人に文句を言ったり中傷するリプは必ず存在する。それらの誹謗中傷リプを抑えるために、ツイッター社やインスタグラムがこれから規制を強めるか？それとも「言論の自由」を貫き、良いリプも悪いリプも何でも言いたい事が言える環境を継続するのか？少しだけ規制を強化するか？ネット上の言論に対して国が法律を強化するのか？それとも、もっと日本人が職場や公共の場でも言いたい事を言って、ストレス解消でSNSにコメントしたり陰で言う性格を変えるのか？

それは日本国民の選択になる。

テレビ番組にもSNSにも真面目に向き合ってしまう日本人にはもしかすると、もう少し規制を上げる必要があるのかもしれない。