週刊金曜日連載「花巻の風」
2月から、当初半年間の予定でスタートした月イチ連載のノンフィクション記事「花巻の風」が、あっという間に半分まできた。花巻を舞台として「ひと」にフォーカスしつつ、地方から吹き始めている新しい風を紹介する記事。コロナ禍で都市部での暮らしに疑問を抱く人が増えつつあるとのことだが、それでは今地方はどうなっているのか。旧態依然とした「田舎」から、新たな社会にも適応して変わり始めている地方の動きをルポする。
この連載も、今後あと3回は決まっているが、その後はどうなるかわからない。ともあれここで1度振り返ってみたい。
第1回目は、私の拙著「マルカン大食堂の奇跡」の題材にもなった、昭和な老舗デパートの大食堂を再生した上町家守舎の小友社長を取り上げた。東京のIT企業や親から受け継いだ老舗木材店などいくつもの企業を経営に携わる若手経営者の手法は、クラウドファンディングやインフルエンサーをフルに活用し、地方に残っている「資産」に新しい価値を見出し、活かしている。そのしなやかな手法とは?市街地衰退に悩む全国の地方都市にも活かせる事例。
なお本編はあくまで簡単なルポであり、その詳細は拙著を参照して欲しい。
第2回目は3月19日の発行ということもあり、東日本大震災から10年を受けて、大船渡で急死に一生を得、その体験から人生が変わって、いま花巻でお母さんたちに寄り添おうとする助産師さんの話。
岩手県は震災で大きな被害を受けたが、花巻は内陸なので津波の被害を受けてはいなかった。それでも大きな揺れで停電や断水が数日続き、花巻空港や高速道路の花巻ジャンクションが三陸沿岸への救援中継点にもなったため、震災の影響は大きかった。私自身に実体験と、助産師さんの人生を組み合わせて記事化。
そして第3回目は、地方発若手ベンチャーを紹介。コロナ禍で首都圏の企業が地方に移転する報道を目にするが、その前から地方発、全国へ、世界へ、というベンチャー企業の取り組みがあった。もちろん業態にもよるけれど、今や起業は大都市でなければならない時代ではない。
特にここで取り上げたヘラルボニーは最近全国ニュースやドキュメンタリー番組でも取り上げられ、SDGs、共生社会という文脈でも世界的に注目されつつある。彼らが挑戦するに至った経緯とは?
これからの残り3回。伝統芸能の継承をしていくために、様々悩みながら積極的な活動を続けたり、これからの人生を賭けたりしている若手継承者たちの姿や、新規就農で夢を追いかける人々、リノベーションまちづくりに取り組む若手経営者たちを取り上げる予定。乞うご期待。
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