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インクこぼした事件

大きな絵をみんなで描こうという幼稚園の工作の日がありました。
ちょっと大きめの瓶にインクを入れてもっていく作業を私はしていました。
ピンクのインクをなみなみといれた瓶をそっと持ってゆっくり歩いていっていましたが、何かの拍子に転んでこぼしてしまいました。
そのこぼしたピンクのインクは同じクラスの女の子の上履きにちょっとかかってしまいました。

「しまった」と思って謝らないとと思い、ふと顔をあげると担任のシスターが手を振り上げてビンタをしようとしていました。
私は危険を感じ、走って教室を出て、教室の横にある倉庫へ隠れました。

倉庫はドアをあけると3つまたドアがあり、3部屋に分かれていました。
私は一番奥の倉庫の部屋に入りました。そこには鉄棒やとび箱などが片づけられていました。

私は跳び箱の後ろに隠れて「これからどうしよう。」と思いました。
それから長い時間が経ち、生徒は帰る時間になりました。
担任のシスターやほかのクラスのシスターも私を探し始めました。

倉庫のドアは開くのですが、中に入ってまで探さないので私は見つからず、出ていく恐怖があり私はじっと隠れたままでした。

その後警察も着て捜索がはじまり、「風紺紺ちゃんどこにいますか?」という放送が流れるようになりました。

ここの倉庫は隠れ場所になると私は思い、今のうちに違う場所に移動してから見つかったほうが安全地帯を確保できるのではないかと考え、そ~と倉庫を出て和室に行きました。

倉庫から和室まではかなり距離があったけれど、なぜか誰にも見つからずにたどり着くことができました。

和室で座っていたら見つかり、ずっと和室にいたのかと尋ねられたので「はい。」とうそをつきました。

私はインクをこぼしたのでシスターからたたかれると思ったから逃げたと大人に伝えたのですが、担任のシスターは「叩こうとはしてない。片付け方を教えようとした」とうそを言っていました。

「まあ、叩こうとしたなんか言わないよな」と思いながら、上履きを汚してしまったことを反省しました。でもいい隠れ場所を見つけたことがとてもうれしく、幼稚園での休み時間のほとんどをその倉庫で過ごすようになりました。

長い時間いなくなったことで母親や大人たちは心配していたけど、叩かれる恐怖、隠れてしまった後悔、出ていくタイミングの難しさなどあり、幼稚園生の私には処理できずにずっと固まっていたのでした。

次の日、上履きを汚したクラスメイトに謝ったら「大丈夫だよ」と言われたのでホッとしました。洗ったらきれいになったそうです。

大人はよく子どもが失敗すると怒ったり、小言を言ったり、注意をしたりします。でも子どもはわざとしているわけではないので笑って大丈夫だよと言ってほしいなと思います。

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