伝統の音を世界へ 〜博多伝統の音と世界の音楽の融合〜
博多には伝統の筑前博多独楽という伝統芸があります。
私は東京から福岡へと仕事の拠点を移しホテルのエンタテインメントに関わり始めた頃に出会いました。
博多独楽という芸を初めて見たとき、そのバランス感覚に驚き、その博多独楽の当代の筑紫珠楽さんに、体幹のことや体のバランスのことなどを質問攻めにしたことを覚えています。
博多独楽 二十代当主 三代目 筑紫珠楽 氏
それから様々な仕事の現場でご一緒することになります。
海外からのゲストのための祝宴でその芸を披露してもらうために筑紫珠楽さんと一緒に様々な現場、特にホテルへとよく行きました。
楽屋トークがとても面白いのはこの業界の常ですが、珠楽さんはこの伝統の博多独楽と同時にその地方(じかた / 音楽を受け持つ人の意)として博多金獅子太鼓、和太鼓奏者でもあったのです。
その関係で、ハリウッド映画『SAYURI』の音楽を手掛けたり、津軽三味線の吉田兄弟と音楽を作ったりしており音楽家の側面もあったのです。
吉田兄弟 (YouTubeより引用)
私は音楽業界が長いので伝統芸能の伝承者で音楽家でもある珠楽さんの話が面白くてしょうがなかったのです。
そんなお付き合いが7〜8年になろうかという時、このコロナがやってきました。
コロナ禍でエンタメは不要不急と言われ一切の仕事が止まった時、この珠楽さんと猛烈に話がしたくなり当時流行りのZOOM飲みに挑戦したのです。
そのZOOM飲みの中で珠楽さんと私の音楽の仕事における音楽監督を依頼している岩崎大輔氏とのJAZZ×和太鼓の話で盛り上がりました。
福岡のイベントで中洲JAZZというイベントがあるのですがそのイベントのステージでこの二人が共演した過去があることを知りました。
ちょうど博多のイベントは全て止まり、博多を代表する祭りも全て止まってしまっていました。この博多の祭りをJAZZと和太鼓で再現しようと盛り上がり、ステージを中洲のど真ん中にあるホテルオークラ福岡で多くの仲間と作り上げることになりました。
何かとご縁の深い筑紫珠楽さんも、今年25周年を迎えられました。
映えある25周年の記念公演の舞台は、私の大好きなホテルオークラ福岡。
また、演出・制作パートナーとして私を選んでいただき、共にステージを作り上げていく栄誉にあずかりました。
このステージのテーマは"LOTUS=蓮”です。
蓮を意識することは普段あまりないのですが、「清らかな心」という蓮の持つ花言葉は、泥水を吸い上げながらも美しい花を咲かせることに由来します。
苦しい中、あるいは陽の当たらない場所にいても戸惑うことなく成すべきことを継続すれば大きな花を咲かせる。
そんなとてもメッセージ性の強い植物であると思います。
蓮が持つ普遍性のテーマを“音”だけで挑戦する今回のステージには、記念公演にふさわしい豪華なゲストが参加されます。
まずは、私の大好きな映画でもある『座頭市』で話題になったタップダンスのシーンを指導された、タップダンサーチーム「STRiPES」の浦上雄次さん。
そして、パーカッション奏者の奥田真広さんと、ジャンベ(アフリカの打楽器)奏者の池田正博さん。彼らとの共演の際の音源はこちらから。
さらに、今回の音楽監督でもありますが、私が“九州でこの人!”と信頼するJAZZピアニスト岩崎大輔。彼が率いるメロディー楽器隊の面々。
盛りだくさんの試みが私のステージとも言えるホテルエンタテインメントとして表現されます。
今年大きな祭りと言えば記憶に新しい東京五輪。
その東京五輪は賛否両論あったタップダンスや祭りをモチーフとしたパフォーマンスが注目されました。
そのタップダンスと和楽器の掛け合わせで世界にアッと言わせた先駆者が、“世界のキタノ”であり、私も大きな影響を受けました。
そんな音が歴史と土地を飛び越えて様々な共演を見せる1日になりそうです。
こんな大きな試みも博多の伝統と永い歴史を背負ってきた筑紫珠楽さんの人に見せない苦労の中で咲かせた人生の華のようなもの。
その人生の華・LOTUSを福岡の歓楽街・中洲のホテルオークラ福岡で行えること。
そこに演出の一部をお手伝いさせてもらうこと。
私の今年一番の楽しみなエンタテインメントとなりそうです。