ホテルはもっとエンタメをそして文化を
ホテルとは泊まるためのものであるか。
この問いについてずっと考えています。
その答えは否です。
私の場合には。
私のホテルの原体験は幼少期まで遡る。
何か大きくて他所行きでキラキラとしていて。
そう言ったものの象徴であったと思います。
槇原敬之さんと松本人志さんが共作で作った曲、チキンライスにおいてホテルは高級そのものを表す場であり体験そのものでありました。
「赤坂プリンス押さえとけ。スイートとまではいかないが。」と。
私は知らない時代、日本経済が繁栄を謳歌していた時代。
バブルの時代の象徴だったのでしょう。
時は移りゆきそのプリンスホテルが外資へと売られる時代となっていくのですが。
ホテルには体験そして非日常があったのです。
そして圧倒的に憧れの場所であった。
そこには豪華な空間、行き届いたサービス、そして贅を尽くした食がありました。
その中で私が憧れた場はホテルのメインバーであったのです。
このnoteでも何度も取り扱っていますがホテルのメインバーには音楽がありました。
私の好きなバーはホテル日航福岡の夜間飛行というバーです。
このホテルにはとても美しいピアノが置いてあります。
ホテルの創業時からあるピアノ。
実は世界に3台しかないそうです。
ウォールナット製のピアノでショパン生家にあった物と同じデザインをヤマハが再現した希少価値の高いピアノで、世界に3台しかないと言われています。
このピアノの音色とともにジャズを味わい、キープボトルのウイスキーでその日の自分と向き合う。
これが私の生活のサイクルの一部になっていました。
帰宅前の自分を内省する時間であり、使い切った頭をクールダウンさせ、プライベートへとスイッチを切り替えるための大切な時間となります。
私にとっては泊まる空間ではなく、日常における文化との接点、そしてエンタメとの接点なのかもしれません。
ジャケットを着て背筋を伸ばし、英国の館の書斎をイメージして作られたこのバーであるならそうやって英国紳士然として大人の嗜みを覚える場になるのかもしれません。
ホテルの役割は私にとっては社会との接点であったり、文化やエンタメの接点としての要素の方が高いのかもしれません。
渋谷のTRUNK HOTELではホテルのコンセプトを"SOCIALIZING"と打ち出していました。ソーシャライジングとは、自分らしく、無理せず等身大で、社会的な目的を持って生活すること。
とあります。このコンセプトには私もとても共感を持ちます。
そして私はそんなSOCIALIZINGのベースとしての基地をホテル。
そしてバーに見出しています。
ホテルというのはその空間であり、サービスであり、文化であり、実は宿泊という手段よりも大きな”意味合い”を担っているものであると最近は感じるようになっています。
ホテルのバーにいるゲストはそこに何を見出してくるのだろうか。
そこに必要なホスピタリティは何なのであろうか。
それを音で見出したのがCocktail musicです。
空間にある音楽はBGMとして聴き流すものです。
しかし、聴き流すとはどういう行為なのか。
あってもなくても良いものであればそもそもBGMなど必要ないと思うのです。
BGMというのは体験のために必要なものなのだと思うのです。
それであれば空間におけるそしてホテルにおけるBGMとは何なのだろう。
それはホスピタリティ、”もてなし”なのだという答えに行きつきました。
私が尊敬するジャズピアニストと話していた時にその答えをもらい、すっと身体に溶け込んでくるような感覚を得ることが出来たのです。
ホテルとは”もてなし”を通して文化やエンタメを提供してそれを通し社会と繋げていってくれる。
そんな場所なのだと思います。
私が考えるホテルのエンタメそしてバーという空間の”もてなし”を一つの動画にて表現しています。
少しオーセンティックで少し懐かしい。
そんな文化、エンタメを感じられる場所がホテルであると私は考えているのです。
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