「光る君へ」について語る
産まれて初めて大河ドラマを一年間完走しました。とはいえど気になった年の作品しか追っていないライトな大河ファンなので未視聴の名作は過去何作もあったとは思うのですが、今はとにかく「光る君へ」を結末まで見届けることが出来て感無量です。
この感動を冷めやらぬうちに最終回まで見た感想と、「光る君へ」が最後まで見続けられた理由について書き残しておくことにしました。
最終回について
光る君へ、最初から最後までとにかくずっと面白かった。とりあえずパッションがあふれているうちにアツすぎた最終回について語りたいと思います。
まず、先週の放送のラストで放たれた倫子さまの衝撃的な一言。
「あなたと殿はいつからなの?」
倫子様、やはり御存知でしたか。このシーンを見た全視聴者がまひろと同じようにお茶の間で固まったことでしょう(動揺した時の、ピクリと眉を動かす吉高由里子さんの演技、いいですよね)
このシーンで一週間お預けをくらい、この後どんな修羅場が訪れるのかとドキドキしていましたが、倫子様はあくまで穏やかに、まひろに娼にならないかと提案してきます。本妻の余裕……! さすが倫子様!
しかしながらその後まひろから聞かされる道長との馴れ初めが想像以上に長くて深くて重いことを知り「娼にならないか」という話から「一生黙っとけ」に変わりました。道長が大切に保管していた手紙の相手がまひろだったということも発覚し、最初からずっと負けていたことを分からされる倫子様、切ない。
「他にもう隠し事はない?」「はい、ございません」という会話の直後に賢子が出てくるところも演出にくすぎですね。
「その子! 道長さまの娘ですーーーーー!」(視聴者の心の声)
しかしながら倫子様、殿のために最後にできることは何かと考えてまひろを呼び寄せ「殿の魂をこの世につないでおくれ」とまひろに頭を下げるシーンはたまりませんでした。倫子様は本当に道長を愛していたんだな。
まひろとききょうとが最終回で和解するシーン、胸が熱かったです。それぞれの中宮様を支えた二人の才女が年老いて再び縁側で談笑している。最終回の中でここが一番見れて良かったと思ったシーンでした。
「光る君へ」、一年間を通して大河ドラマというよりもまひろと道長のラブストーリーとして見ていた節もあったのですがラストシーンの衝撃たるや。
戦のない世を守り抜いた道長が死に旅に出るまひろ、その道中で鎧を着こみ馬に乗った双寿丸に会います。「今から戦に行く」と言う双寿丸を見送ったまひろの一言、「嵐が来る」。まさかそこで終わるとは……!! 道長が築いてきた世が終わりここから源平の戦いが始まっていくんだとハッとしましたね。最後の最後はラブロマンスではなく歴史のうねりで締めくくる! はーーー、これが大河!!!(卒倒)
光る君へ、一年間大変面白うございました。
「光る君へ」の魅力について考える
冒頭にも述べましたが、「光る君へ」は人生初・完走した大河ドラマとなりました。「光る君へ」の魅力について本気出して考えてみることにしました。
魅力①・恋愛ベースの少女漫画展開
幼少期に出会った初恋の人と大人になって運命の再会。立派に成長した彼はやんごとなき身分の人でそのうえ母親を殺した男の弟だった───
すごい。設定がモリモリ! 原作少女漫画なのでは!?
その後もいろんな出来事があり、愛し合っていながらも二人は別々の道を生きることを選ぶ。それでもお互いを必要とし、陰ながら想い、時に愛を交わす。この道長とまひろの恋愛模様に毎週涙したりドキドキしたりとても面白かったです。さらに道長以外にも、ワイルド系イケメン・散楽の直秀や、なんだかんだで憎めなくて懐の広さを見せてくれた年上夫の宣孝に、宋の言葉を教えてくれた塩顔イケメン周明など恋愛のスパイスキャラクターがいっぱい出てきたのも良かったです。全員死んだけど(そう、これが大河)
魅力②・まひろと道長が最終回まで出てくる
思えば私が過去にハマっていた大河ドラマの「女城主・直虎」の視聴を脱落したのは政次(高橋一生)の死、「鎌倉殿の13人」では義経(菅田将暉)の死が大きな理由でした。そうです。推しの死はドラマを視聴する気力が大幅に削られるのです。
その点、「光る君へ」は1話から最終回までずっとまひろと道長の生きざまを見せ続けてくれたのが完走できた一番の理由だったと思います。最終回に向けて、どんどんまひろへの想いがあふれて顔にも態度にも出まくっていた道長さまの姿にとてもニヤニヤしました。
魅力③・雅
鎧も着ない! 男くささもない! 戦をせずに和歌を詠む! 今年の大河、おそらく男性にはそこまで人気がなかったのでないかと思いますが、こちとら二十年来の遙かなる時空の中でのオタクなので平安時代だーいすき! 京の都に安倍晴明、帝に東宮、呪詛に穢れなど始終「これ進研ゼミで見たやつだ」状態でした。
魅力④・物語を彩る魅力的な登場人物
主人公のまひろや道長だけじゃなく、魅力的な登場人物が沢山出て来たこともとても印象的でした。
代表格として知的で眉目秀麗な一条天皇と、無邪気でかわいらしかった幼少期から紆余曲折を経て美しさと儚さと悲壮感を醸し出していた定子様。内気で奥ゆかしかったけれど紫式部の支えでたくましく成長した彰子。お三方ともとても良かったです。
秋元竜次さんの藤原実資もめちゃくちゃいい味が出ていました。序盤は嫌味な役かと思っていましたが後半グッと魅力が増しましたね。立派に戦った竜星涼(キョウリュウジャーレッド 隆家)のために腑抜けた貴族たちを一喝するシーンはㇲタオベものでした。力及ばなかったけど。
倫子様も最高オブ最高でした。まず黒木華さんの立ち居振る舞いや表情、笑い方など平安貴族のイメージにベストマッチング。その実、誰よりも道長を愛してたのは倫子様なのではないかと思います。
そしてなんといってもファーストサマーウイカさんの清少納言! バラエティでファーストサマーウイカさん見るたびに「あ、清少納言だ」と思う身体になってしまった。生きる気力を無くした定子様に献身的に仕える姿が印象的でした。枕草子って定子様のための詩だったんだねぇ。あとベスト姫カットとてもお似合いオブザイヤー。最終回でまひろと肩を並べて笑いあう姿が本当に良かったです。二人の才女の和解まで見せてくれてありがとうございます。
最後に
一年間楽しませていただいた「光る君へ」の感想を残しておくことが出来て満足です。
来年の大河は ”江戸のメディア王” として時代の寵児になった蔦屋重三郎の人生を描いた「べらぼう」というドラマだそうです。主人公が横浜流星さんとのことなのですでにワクワクしています。とりあえず毎週録画して二年連続完走を目指したいと思います。