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シュタイナー子育てで良かったこと(1)〜知識偏重でない学び

シュタイナー教育。もうすぐコンプリートします。次男が、来週。シュタイナー学校12年生(高校3年生)卒業です。

長男、次男ともに、生まれた時から父母シュタイナー教師でシュタイナー教育。その後、シュタイナー幼稚園からはじまり、12年生までシュタイナー教育だけで育ちました。

長男は昨年卒業。次男は、先週、12年生プロジェクト発表を終え、今週は、スペインへクラス旅行に行っています。来週、卒業式。

正直言って、幼稚園3年間+小中高教育12年間の中でいろいろありました。納得しないこともありましたが、やはりシュタイナー教育でよかった・・・ということは数限りなく・・・。

シュタイナー教育で育ててよかったーーーということを、これから何回かにわたって思いつくまま列挙してみようと思います。

日本で見た「優秀」な生徒たち

我が息子たちは、テストで点を取るための暗記、暗記・・・という作業からは無縁の12年間でした。

ある程度、知識が頭に入っていることは大切です。でも、暗記だけではなく、自分で考える時間は絶対に必要。

私が日本で高校数学教師をしているとき、自分の頭で考えていない生徒にたくさん出会いました。「よくわからないけど、解き方を覚えておく」と。彼らは偏差値の高めの生徒たちなのです。さっぱり、数学の本質を理解していない。それでも、解き方を暗記することで、いい成績をとる。

下手をしたら、もし私が間違ったことを言ったとしても、そのまま暗記してしまう感じ。

特に、暗記科目ではない数学を教えている教師として、生徒たちが、考えもせず暗記していることに、危機感を覚えました。そして、私は何をやっているんだろう、と。こうやって暗記することが勉強だと信じ、実際、暗記することでいい成績をとることができている教育に何の意味があるのだろうと。

数学は、考える学問。考える力を育てる学問です。数学の理論、定理を知っても、それを直接的に人生に活かせる人は数少ない。でも、その抽象的な理論を論理的に思考する力を自分のものにした人は、ものごとを俯瞰してみる能力だとか、具体的にはわからないけれど抽象的にしか見ることができないものを思考の力で理解することができたりとか、目に見えないものさえも論理の力で理解できたりとか・・・・そんな能力を獲得することができる。

それを、試験対策として一番効率的なのは解き方を覚えること!・・・となっては、もう、数学を学ぶ意味がねじまげられている。

あ、熱く語ってしまいました・・・。

暗記という作業

息子をシュタイナー学校で学ばせていて、「暗記」に時間をとられることは、ほとんどなかった。これは、ほんとうにありがたいと思うのです。

でも、日本の中高生が、どれだけ「暗記」の作業に膨大な時間を費やしているか・・・ということを目の当たりにすると、もったいないと思うのです。彼らは、何百時間と言う時間を単純な暗記作業に費やしていますよね。とにかく、与えられた情報を暗記すればテストで点がとれる。点をとるためにただただ暗記する。一生の限りある多感な時期の膨大な時間を、そんなことに費やしている。心が病むほどに。

それでいいのでしょうか。
それに何の意味があるのでしょうか。

教えられるまま、考えることなく、記憶する情報は、テストが終わったらさっぱり忘れてしまうものです。

テスト終わった翌日にはさっぱり忘れていた・・・という経験はありませんか? わたしはたくさんあります。そんなことばかりです。

そういう「勉強」って・・・
辛くないですか?
無意味だと思えることに時間を費やすことに力果てませんか?
押し付けられる感じがありませんか。
自分の気持ちや意見が、尊重されていなくて、自分らしさがどんどん押し殺されていくような気がしませんか。

知識は必要。でも、世界のいろいろな出来事に目をむけていたら、どうしてなんだろう、どういうことなんだろう・・・と、疑問や興味がわいてきて、いろいろ考える。考えたり調べたりしているうちに、知識はどんどん増えていく。

その知識は、教えられるまま、考えることなく、記憶する情報より、ずっとずっと人生の役にたつものです。


中高の多感な時期を、暗記に費やすことはもったいない。勿体なすぎる。


シュタイナー学校では暗記をほとんどしなかった

シュタイナー学校では、暗記をほとんどしません。

たとえば歴史を学ぶとき、その時代に描かれた絵画を見る。そこから何を見るか。何に気づくか。何が描かれているのかをディスカッションする。

武器が描かれている。戦っている人がいる。女性が小さく描かれている。・・・その絵画が描かれた背景には、どんな事情があったのか、人々はどんな思いを抱えていたのか、どんな思想が基盤にあるのか、その結果、何が起きたのか、そうせざるをえなかった理由はなんなのか・・・そんなことを話し合う。理解し合う。

それを理解するため、たくさんの資料を読みディスカッションを重ね、実際にその擬似体験をしてみたりする。

そこまでやるから、本質を理解できて、そこから学ぶことができる。

そこまでやるから、暗記しなくても、その学びを通して重要なことは自然に頭に入っている。

どちらが、本質的に、役にたち、価値のある学びでしょうか。



その、暗記に頼らない学びを、12年間をとおしてしてもらえたことは、本当にありがたい。感謝しかない。

特に今の時代、情報を得ることは簡単です。必要以上の情報がどんどん耳に入ってくる。知らないことも、すぐに調べることができる。情報に溺れるくらいまで。

その時代にあって、大事なものは、まず第一にその情報が正しいか判断できる力。そして、その情報についてどう感じ、どう考えるかという感覚と思考の力。さらに、その思考から、どんな行動を起こすかという行動力。


シュタイナー教育で育った子どもたちは、それがバランスよく、とても強い力になっている。


12年間って、長いですよね。
その期間を、与えられるものを覚えるだけの作業ではなく、情報を感じ取り、考え、自分の軸をもって自分の考えをしっかりと持つ学びに注力できたことは、ほんとうにありがたかったと思うのです。


いやーーー、わたし、無駄が嫌いなんですよ。
中高時代って、一生の中でもとても多感な時期じゃないですか。このときの煌めき、思考のするどさ、感性の輝きは、特別です。一生の中でもこんなに特別な時期って、他にない。

その時期に、言われたことだけをして、わけわからなくても暗記作業をしているって・・・・

自分で考えるな!・・・って訓練されているようなもの。



だから、そういう教育で育って、それが当たり前で、そういう勉強がいいと信じ込んでいる子たちがたくさんいることが、悲しくて仕方ない。それは、子供達のせいじゃないです。教育が、そういう人間を育ててしまっているんです。

すくなくとも、世界に1000校以上のシュタイナー学校があって、自分の頭で考える力を育んでいる子どもたちがいること。そして、私の息子たちもその教育をうけてきたことは、感謝でしかない。


そういう子どもたちが、世界中で育っていることが、未来の希望、なのです。


そして、我が子が、そういう人たちの一人であること。
なんと誇らしいことでしょう。

シュタイナー教育で育った我が子を見て、私は世界一の幸せものだと確信しています。シュタイナー学校は世界で1000校以上。自分の子供たちを育て上げ誇らしく見守っている親は、きっと、わんさかいる。

自分の子供をみて誇らしいと思える。
そんな子育ては夢のようなことでもない。
すべての親にその思いを味わってほしいと思うのです。



こちらのニューズレターでも、いろいろ書いています。

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かよ|ロンドン在住、楽しく人生をクリエイトするシュタイナー教師&経営者 石川華代
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