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ルパン三世と精神医学: 次元大介の診断
みなさま、こんにちは。鹿冶梟介(かやほうすけ)です。
先日、アニメ「ルパン三世」の次元大介役などをつとめた、声優の小林清志様が亡くなりました…。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
私は、子供の頃にルパン三世をTVでよく視聴しておりました(赤ジャケットの「ルパン三世2nd」シリーズが特に好き)。
そして、ルパン三世の中でも、特に敬愛していたのが次元大介です。
その理由は、「渋い」「大人」「カッコいい」「いざというとき頼りになる」…、など挙げればきりがありませんが、いわゆる「ハードボイルド」を体現したような男だから大好きなのです!
子供心に、「大人になったら、次元のような渋いオヤジになるぞ」と勝手に決めておりました…(今の小生は全然渋くないですが...)。
今後、小林清志様(次元大介)のあの渋い声が聞けなくなると思うと、とても寂しいです…。
そこで、今回の記事では、小林清志様を追悼して「ルパン三世と精神医学: 次元大介の診断」というテーマで記事を紹介します!
【次元大介とは】
・ルパン三世に登場するルパンの相棒。
・年齢不詳(20代後半から30代前半と推定)。
・射撃の名手で、「早撃ち0.3秒のプロフェッショナル」と称される。
・愛銃は「S&W M19コンバットマグナム」
【次元大介の生い立ち】
生育歴: 日本にて出生。詳細は不明ですが、ルパンとは幼馴染だったそうです。
家族歴: 妹がいるそうですが、詳細不明。
学歴: 不明。
職歴: 殺し屋、用心棒、軍人など。漫画の初期の設定では、警官もしていたそうです。
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【次元大介の診断】
「殺し屋」という犯罪を家業をしているので、「反社会性パーソナリティ障害」の可能性があります。
反社会性パーソナリティ障害は社会の規範を破り、他人を欺いたり権利を侵害したりすることに罪悪感を持たない障害です。
まずは、反社会性パーソナリティ障害の診断基準を見ながら、次元大介を診断して行きましょう。
301.7(F60.2) 反社会性パーソナリティ障害 Antisocial Personality Disorder
A.他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以上で起こっており、以下のうち3つ(またはそれ以上)によって示される。
1.法にかなった行動という点で社会的規範に適合しないこと。これは逮捕の原因になる行為を繰り返し行うことで示される。
=>YES: 殺人、傷害、窃盗、詐欺などあらゆる犯罪を繰り返し行っている(これは説明不要ですね)。
2.虚偽性、これは繰り返し嘘をつくこと、偽名を使うこと、または自分の利益や快楽のために人をだますことによって示される。
=>YES: 実は次元もルパン同様変装がうまく、他人に成り済ましたこと多数!実は漫画で次元が初登場した時は、「ルパンに変装した刑事役」だったそうです(設定メチャクチャ!)。
3.衝動性、または将来の計画を立てられないこと。
=>YES:次元がローンを組んだり、借金の返済をするなんて…、ありえません。
4.いらだたしさおよび攻撃性、これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。
=>NO: 性格は冷静なタイプ。一貫して「殺し」の仕事を続けている。
5.自分または他人の安全を考えない無謀さ。
=>YES: 仲間や依頼主のために。自分の安全を顧みないことあり。「ルパン三世 2nd 第129話 次元に男心の優しさをみた」を参照!
6.一貫して無責任であること。これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。
=>NO: 依頼された仕事はきっちりこなす職人気質(プロフェッショナル)。「ルパン三世 2nd 第148話 ターゲットは555M」を参照。すごいよ次元!
7.良心の呵責の欠如、これは他人を傷つけたり、いじめたり、または他人のものを盗んだりしたことに無関心であったり、これを正当化したりすることによって示される。
=>NO: 仲間に対しては厳しくも思いやりがある。また過去に守れなかった依頼主のことを思い出し、仇討ちをする。「ルパン三世 2nd 第76話 シェークスピアをしってるかい?」を参照!
B.その人は少なくとも18歳以上である。
=>YES
C.15歳以前に発症した素行症の証拠がある。
=> ???(作中、15歳以前の素行不良の記述なし)
D.反社会的な行為が起こるのは、統合失調症や双極性障害の経過中のみではない。
=>YES
<結論>
基準A, B, Dを満たすが、Cは不明。
以上より、次元大介は「反社会性パーソナリティ障害」の可能性は高いが、確定診断には至らず。
【鹿冶の考察】
いかがでしたでしょうか?
精神科の診断基準(DSM-5)によると、次元大介は反社会性パーソナリティ障害の可能性が高いと考えられます。
...、と言うか、累犯者の多くは、反社会性パーソナリティ障害に該当するため(刑務所にいる人の47%が該当するとの研究あり)、ルパン一味全員がこの疾患に該当するかも知れませんね(笑)。
しかし、小生思うに、ルパン三世の登場人物の中では、次元大介が最も「正常」かつ「常識的」なキャラクターだと思います。
ルパンが無茶苦茶できるのも、次元の「相棒」としての冷静なサポートがあってこそでしょう。
ある意味、ルパンと次元って…、夫婦的な関係…?(次元はときどき、「嫁かよ!」と突っ込みたくなる甲斐甲斐しい態度を見せますよね…)
…、最後は変な方向に話が行ってしまいました。
ここまで書いて何ですが、こういった診断はちょっと野暮だったでしょうか?
もし、小林清志様が、草葉の陰でこの記事を読んだら、あの渋い声でこう言うかもしれません。
「鹿冶、お前がどんな記事を書こうが知ったこっちゃ無いが、俺に言わせりゃ、ロマンに欠けるな…」
【まとめ】
・ルパン三世の登場する次元大介を精神医学的に診断しました。
・その結果、おそらく次元大介は反社会性パーソナリティ障害と考えられます。
・小林清志様、どうぞ安らかにお眠りください。
↓スピンオフですが、最高傑作です!
【参考文献】
1.American Psychiatric Association. Antisocial Personality Disorder: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM‑5), 5th ed. Washington, DC: American Psychiatric Association, 2013:659-663.
2.Serious mental disorder in 23000 prisoners: a systematic review of 62 surveys, Fazel S and Danesh J, Lancet, 2002
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