性別適合手術を前に今の身体を振り返る
中学生の時、切り落としたかった
性別適合手術を目前に、この身体で何か書き残しておこうと思いました。
一番強く残っている記憶は、中学生のころ、どうしても「切り落としたかった」ことです。勇気はなかったけれど、刃物を当てて「あと一歩で解放される?」とお風呂場で震えていました。
ある時はお風呂の洗剤をかけて、「これで病気になって、無理やり取らなくてはならなくなるかもしれない」なんて思っていたこともありました。そんなことをしていた幼かった自分。
同じ悩みをもっている子たちへ…
絶対に自分でやってはダメだよ。しっかりした選択肢は必ず目の前に現れるから。
子どもの頃に知った「ニューハーフ」
小学生の頃、「笑っていいとも」で初めて「ニューハーフ」という言葉を聞いて、頭がそのことでいっぱいになりました。タモリさんが「今、どうなってるの?」と聞くと、だいたい「工事中」と答えていたあのお姉さんたち。私も小さな紙に「工事中」って書いて、そこに貼っていたんです(笑)。
でもある日、その紙が落ちていて、母親に拾われ、「工事中?」と尋ねられた時は、知らん顔でやり過ごしました。
自分を受け入れるのではなく、我慢して生きていた
それから約30年が経ちました。ある日から、自分を受け入れたというより、我慢することにしました。「自分がそこまでやるわけがない」「自分にはその価値はない」と。ひっそりと生きていればいいと、自分に言い聞かせていました。
そしてその結果、30代は暗い部屋で一人息をするだけの日々を10年も続けてしまいました。
絶望からの再生
「もう終わりにしよう」と思ってGoogleで人生を終わらせる方法を調べたら、出てきたのはホットラインや精神科の案内。それがきっかけでジェンダークリニックにたどり着いたのです。そこから、自分を知る1年が始まりました。
初めて「本当の自分」に出会う
ホルモン治療に進み、治療が進むにつれて、初めて「本当の自分」に出会いました。人と話しているとき、なんだか楽しくて…その自分は意外と明るく、社交的な人でした。
そのことにふと気づき「え?これが私?」と驚きました。
面白いと思ったことに対して自然に笑えたことがとても気持ちが良かった。
新しい人生の始まり
来週の火曜日、私はもっと私らしくなります。全身麻酔をして手術を受けます。2022年に、同じ手術で日本人の方が亡くなったことも知っています。でも、私は絶対に翌日、目を覚まします。目を覚ますのが来週の水曜日。痛みや不快感があるかもしれないけれど、私は遅咲きでも花になる。新しい人生の目覚めを心から楽しみにしています。
多様性の世界ならどんな花だってキレイに咲けるんだ。