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シング・ストリート 未来へのうた (2016)
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「憧れのあの子にモテたくて」バンド活動を決意したイケてない少年・コナーが、個性豊かな(勿論イケてない)メンバーを集め、大人の束縛(学校や教師、親など)に音楽の力で対抗し、打ち克っていく。
お話自体は王道中の王道とも言える、音楽にまつわるサクセスストーリー。
ではなぜ、この映画のことを愛さずにはいられないのか?
それは、やはり今作のために書き下ろされたオリジナル曲が、どれも極上の出来だからに他ならないだろう。
東洋的なシンセリフがインパクト大のニューウェーブ曲「The Riddle Of The Model」に、極上のロマンチック・ナンバー「Up」、80s的解釈のモータウン・サウンド「Drive It Like You Stole It」など…
どれも80年代に誠実且つオリジナルなクオリティに仕上がっているので、その時代の音楽に思い入れのある人はニヤけが止まらず、そうでない人でも音楽そのものの良さを感じることができる。
また、80年代の音楽シーンと多感なティーンの時期とを合わせることによって、当時の流れを追体験できるような作りになっているのも面白く、
デュラン・デュランの革命的なMVに魅せられ、オリエンタルな空気や人種混合バンドに惹かれ、異端な化粧や衣装、髪型に憧れ…
観たもの聴いたものを「未来派」な精神性で音楽やビジュアルに反映させていくコナーの姿は、耳だけでなく視覚的にも楽しめるポイント。
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閉塞的な時代、環境を打破するかのように音楽へと昇華していくコナーたちは勿論、
かつての夢をコナーに託し応援するブレンダンや、家庭内暴力の被害者だったバリー、エイダンに友達が増えて嬉しそうにしていた母まで、サブキャラクターにも大きな想像の余地が与えられており、
シンプルなストーリーラインの中、隅々まで至るところに愛の溢れた、最高の音楽映画の一つ。