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創作物の最大公約数ターゲッティングを考える

誰に何を作って渡すのか。
そのことは何かを作る前に、それが物質的かそうでないかに関わらず、必ず気になることである。
というより気にせねばならず、そして創作の前に決めなければならないとされる項目だ。

そもそも、「誰に」がはっきりしていなければ、どのようなものも「他人に渡して評価してもらう」に値しない。
それはどんどんと顕著になっている。
まだそこまで厳しくはないが、将来、本当にしっかりとターゲッティングをしなければ、あらゆる創作物はその評価が全て「個人の好み」で片付けられてしまう日が来るだろう。

しかし、このターゲッティングは恐らく、本当にしっかりとはできない。
なぜなら、何かを作る前に、それを手に取ってもらう誰かのことを完璧に想像することは不可能だからだ。
その好み、生い立ち、手に取る動機や状況、プロフィールなど、「ターゲットを決める」というとき、その項目は多岐にわたる。

だが、それは結局虚しい仮定でしかない。必ず予想しきれない部分や、現実を反映しない部分が出てくるからだ。
そしてまた、それをきらって綿密にターゲットの人格を作りこめばそうするほど、その創作物は他の誰にも評価されないものになる。
結局、ターゲッティングはある程度広く、ぼやっとした「ある範囲」程度にすることが求められてしまう。

そのことを思うに、きっと、今の世の中に通用するターゲッティングは「最大公約数」的なものなのだ。
これは別に数学的なきちんとした意味でなくて、漠然と、「広い範囲にターゲットを取ろう」という程度のゆるい意味だ。

この最大公約数的なターゲッティングの決め方は簡単である。

①その創作物を最も面白いと思う集団を定める
②その創作物を最低限面白いと思う集団を定める
③ふたつの集団の間も含め、ターゲッティングする

これだけだ。
①は、その創作物の「全ての要素」を受け入れられるような人々がいられるように創作物のクオリティを調整することだ。
そして②は、その創作物の「少なくともひとつの要素」には、納得してもらえる人々がいるように創作物のクオリティを調整することである。
③は、上記の人々の集団の「間の集団とはなにか」を考え、それを含めて全員のためにクオリティを調整することである。

端的に言って最大公約数的なターゲッティングとは、創作物を完璧に受け入れてくれるだけでなく、少しでもそうしてくれる集団にまで、ターゲットを広げて考える、ということである。

これは必ずしも常に正しいターゲッティングかと言われれば、もしかするとやりすぎかもしれない。
しかし、ターゲッティングに際してこの意識を持つことで、自身の想定外の顧客創出や、ニーズの把握、思わぬ利益などに出会いやすくなる。

そういう意味で、この最大公約数的なターゲッティングについて、今のうちに考えてみてもいいかもしれない。

※このテーマに関する、ご意見・ご感想はなんなりとどうぞ





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