一部でも「駄目」が許されぬストーリー事情
1/3が駄目なストーリーは全部駄目だ。つまりあるストーリーの序盤もしくは中盤もしくは終盤のどれでも、面白くなければ他のどこがどうであれ全て台無しということである。
1/3。それだけとも言えるし、そんなにとも言える。ともあれこの割合が駄目なストーリーはどんなに頑張っても全てが駄目だというのは事実である。
それどころか、もはや1/3にとどまらず、ストーリーの「ちゃんとしなければならない」ハードルは上がり続ける昨今だ。
あるストーリーが、序盤も序盤で面白くなければ、もはやそれ以降は興味を持たれなくなってしまうとか。最後の最後のオチが上手くまとめきれなかったということで、「駄作」のレッテルを貼られるストーリーもある。
これらは1/3どころではない、1/10、1/100ほどの小さな部分だ。でもそれだけでも「駄目」なら、もう全部が駄目なのだ。それくらい、ストーリー業界は厳しい目にさらされており、人材難でひっ迫している。
面白いストーリーとは、だから難しい。こと、万人を納得させるのもそうできなくなった世の中で、ほんの少しでも存在する粗が、そのストーリー全体かのように判断される。
1/3でも駄目なら駄目なのだ。
それどころかもっと些細でも、小さくても、目立たなくても。
ストーリーを駄目にする「部分」はあらゆるところに潜んでいる。それらが折り重なって全体を形作るストーリーというクリエイティブは、ますますその「面白さ」を見つけてもらえることが難しくなっている。
ほんの少しでも。
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