キャラクターから心理的安全性を取り上げる
キャラクターが魅力的なのはそれがキャラクターだからではない。キャラクターが魅力に映るのは、それが個性を発揮しようとし、しかし難しく、それでも自らの役目を諦めない…そういうストーリー性が、キャラクターのらしさを引き立てるからだ。キャラクターは自分自身が何か印象深いことをするよりも、そのように心理的安全性と戦うことのほうが、よほどそれらしく見えるのだ。
心理的安全性とは、誰にも邪魔されないままに言動を発揮できる、個人の権利である。私達人間にとってそれはとても大切なものだ。そしてキャラクターひとりひとりもそれを有し、けれども、創作として完全なる心理的安全性とはつまらないものなのてある。
即ちキャラクターは、現実の存在でないがゆえに、心理的安全性を与えられやすい状況にある。架空の人格たちは誰も素直で、順番を守り、なにより突然おかしなことをしたりしない。
だからキャラクターは、ついつい与えられてしまうのだ。完全なる心理的安全性を。言いたいことを言えないというキャラクターなど、そうそう登場しないものだ。
そういうわけで、キャラクターがより魅力的に、そしてリアリティをもって人々に迎え入れられるためには。そこに適応されてしまう過度な心理的安全性に注意せねばならない。
そうやすやすと、心理的安全な状況に見を置くことはできない。それは困難なものであるからこそ、きちんと困難なものとして、キャラクターに適度に与えられている必要がある。
そのようなキャラクター達は、きちんと魅力的である。
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