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iPS細胞と先天性ミオパチー
先日、iPS細胞研究所より、骨格筋幹細胞に関するニュースリリースがありました。
骨格筋幹細胞を純化する方法を確立~筋肉の細胞移植治療の実現に向けて~
今回のニュースリリースでは、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する細胞移植治療の実現に向けて、可能性を示したものでした。
さて、我々先天性ミオパチーの民はこのニュースをどのように受け止めたらよいのか、自分なりの考えをまとめておきます。
【1】今回のニュースリリースの内容
筋肉中にあるジストロフィンというタンパク質が欠損することによって発症するデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の細胞治療に向けて、骨格筋幹細胞の分化の際により純度の高い筋分化性能を持つタンパク質を同定した。
【2】デュシェンヌ型筋ジストロフィーと先天性ミオパチーの違い
発病要因はどちらも遺伝子異常と考えられている。デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、X染色体上に存在するジストロフィン遺伝子の異常。先天性ミオパチーに分類される遺伝子異常は様々なものがあり、まだまだ特定されていないものも多い(下記、難病情報センターの先天性ミオパチーの項参照)。
【3】先天性ミオパチー治療応用への可能性
今回の研究成果では、DMD細胞をゲノム編集により修復したiPS細胞を用いて、より純度の高い骨格筋幹細胞を得るためのタンパク質を同定したというニュースでした。先天性ミオパチーの原因と判明している遺伝子に対してゲノム編集を行い同様にタンパク質を同定できれば、先天性ミオパチーに関しても骨格筋幹細胞移植医療の実現に繋がると考えます。
問題は研究の優先順位で、筋ジストロフィー患者数は推定人口10万人当たり17-20人程度、先天性ミオパチー患者数は推定人口10万人当たり3.5-5人程度とされています。
Photo by 姉
春ですね~
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