眼鏡レンズのコーティングに傷が入ったんですが、修理できますか?
店頭でよく聞かれる質問のひとつです。残念ながら修理はできないんです。なんとコーティングに傷が入ってしまうと、レンズを交換するしかないんです。おおごとです。
誤解しないでください。商売で言っているのではないんです。レンズの表面にはとても繊細なコーティングが何層も塗り固められているので、再度、削って塗りなおすことは不可能なんです。
こうならない為の日頃の注意点と、傷が入ってしまった時の対処法もご紹介します。
▼目次
コーティングってなに?
コーティングが傷つく原因
日頃の注意点と対処法
まとめ
コーティングってなに?
現在主流となっているプラスチックレンズですが、開発当初は軽くて安全な反面、最大の欠点である“傷つきやすさ”が普及の大きなネックでした。これを解消したのが耐傷性コーティング(以下 ハードコート)です。なんと、今よりも更に傷つきやすかったんですね。
このハードコートのほか、メガネを快適に使用する為に、レンズ表面には様々なコーティングが何層も施されています。
この図はレンズメーカー東海光学さんのサイトから引用していますが、基本的なコーティングの順番や種類は、各社共通です。
・撥水コート:水をはじき、汚れや指紋も付きにくくします。
・反射防止コート:光の反射を抑えてクリアな視界にします。
・ハードコート:レンズを保護し、傷を付きにくくします。
それぞれのコーティングは家庭にあるラップよりもさらに薄く、繊細なんです。見た目にはマッタクわかりませんよね。
コーティングが傷つく原因
①小さなホコリや硬い異物をこする
表面に付着したまま強い力で拭いたり、ティッシュなどで乾拭きすると、傷がついてしまいます。つまり、綺麗好きな方ほど、強くこすって傷をつけてしまう傾向にあります。
②熱膨張によってコーティングが剥がれる
反射防止コートとハードコートでは、暖まった時の膨張の度合いが違う為、レンズに熱が加わると反射防止コートが膨張しきれず、剥がれてしまうんです。
上図はSEIKOさんのサイトからの引用です。図では反射防止コートをマルチコートと書いていますが、同じ意味です。
日頃の注意点と対処法
■乾拭き(からぶき)をせず、水洗いなどで表面のホコリや異物を取り除いてから拭くようにします。面倒でしたら、少なくとも息を吹きかけて、レンズを湿らせてから軽く(サンドイッチをつまむくらい軽く)拭くようにしましょう。
■汚れがひどい時は、薄めた中性洗剤で洗いましょう。酸性やアルカリ性のものはダメです。面倒でしたら、専用クリーナーの購入がオススメです。
少しメガネ屋店員っぽいこと書いてますが、本心です。店頭では“売り付けられるー”とか思うんですが、実際使うと“除菌“や”汚れ防止“や”帯電防止”できますし、スマホに使うと画面がツルツルになります。毎日使う必要もないですので、一度試してみてください。面倒臭がりの私には、とても良かったです。
■サウナや高温の火など、60℃以上の高温のところは避けましょう。また、高温と書きましたが、実際はお風呂やお湯でのメガネの洗浄も良くありません。汚れが落ちる気がするんですが、コーティングが傷む原因になります。
■傷が入ってしまった場合、我慢できるレベルの傷なら、これ以上悪化させない為に長時間の水洗いをしないでください。傷口からレンズの内側に水が入り込んで、コーティングが剥がれる原因になります。また、超音波洗浄もよくありません。傷を広げる可能性があるので、長時間の使用はやめましょう。
まとめ
「え、お湯がダメだったの?聞いてないよー」というお客様も、まだまだいらっしゃいます。我々店員の説明も、もっと分かりやすくしないといけません。
上記の注意点を守っていただければ、確実に傷つきにくくなるはずです。実際、お客様によってはなかなか傷が付かない方もいらっしゃいます。
日々大切に扱っていただき、少しでもレンズを長持ちさせていただければと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考サイト
・メガネレンズのコーティングって?仕組みや種類をご紹介!(東海光学)
・メガネレンズのコーティングについて(SEIKO)
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